『Anthem』のBioWareが、ルートシステム・戦闘バランス・アイテム作成・ゲーム内ストア管理&報酬制度の各種システムデザイナーを募集中
Electronic Artsの求人リストに、BioWareの新作『Anthem』のスタッフ募集要項が掲載された。募集中の役職は、ハクスラ要素の要となるルートシステムのシニア・システムデザイナーのほか、アイテム作成&バランス調整(Itemization)、ゲーム内ストア管理&報酬制度、戦闘バランスそれぞれのシステムデザイナーである。
やはり気になるのは、本作の根幹ともいえるルートシステムのシニア職を募集している点だろう。求められているのは、AAA級タイトルのゲームデザイナーとして5年以上シニア職に就いた経験があり、かつルートシステムの構築経験のある人物である。託されるタスクとしては、スケーラブルかつプレイヤーの体験をデータとして可視化できるような、サーバーサイドのルートシステム構築が挙げられている。
そのほかの求人はシニア職ではないものの、アイテムの作成&調整、ゲーム内ストア管理&報酬制度、戦闘バランスという、ゲームのコア部分に関わる分野ばかり。ここにきてチームを強化もしくは補充しようとしていることがうかがえる。いずれも『Anthem』が問題を抱えている部分とも言い換えられるだろう。現にゲームプレイと関わらないストア管理という面でも、同作では今年3月、アーマーパックと同価格という、それまでのゲーム内ストアの相場からして異様に高い61000コイン/850シャードのビニール/デカールが販売され、コミュニティから強い反発を受けたことがある(reddit)。
また本作のルートシステムについては、『Diablo III』のシニア・ゲームデザイナーを務めていたTravis Day氏が長文の改善案を公開したことがある(関連記事)。装備品のボーナス効果の扱い、リスクとリワードのバランス、プレイヤーの動機付け、エンドゲームの構造など、多岐分野において改善の余地を残していると指摘されていた。
海外メディアのKotakuが掲載した『Anthem』の開発過程に迫るレポートでは、プロジェクトリーダー陣の前で『Anthem』と『Destiny』を比較するのはご法度であったと記されている。ゆえに同ジャンルの先例から十分に学ぶことができなかったと。そもそも開発の終盤までルートシューターになることは決まっておらず、BioWareとしても本作のようなルートシューターを開発するのは初めての試み。そう考えると、ルートシステムの構築経験が豊富な人材というのは今まで不足していたのかもしれない。
なお先述したTravis Day氏はローンチ時の『Diablo III』ではなく、Loot 2.0および『Diablo III Reaper of Souls』以降のバランス調整に関わった人物である。『Anthem』においても、あらたな人員次第では『Diablo III』のようなルートシステムの抜本的な見直しが実現されるかもしれない。そんな望みが残っていると信じたい。
今回の求人情報が掲載されたのは4月12日のこと。同作は発売から1か月半が経過し、その間にさまざまな課題が浮き彫りになっていった。そうした苦しいローンチを経たこの段階で出された求人情報である。EAとしてもBioWareとしても、まだゲームの運営を継続する意向があるのだとも読み取れるだろう。
ちなみにredditでは先日、『Anthem』プレイヤー1000人以上を対象とした非公式アンケートの結果が公開された(imgurリンク)。開発陣の対応満足度(最低1点、最高5点)調査では、回答者の約74%が2点以下。ルートシステムの満足度は85%が2点以下と答えている。一方でジャベリンのコスメティック要素の満足度は高めで、約半数が平均の3点以上と回答。今年4月には、ジャベリンを使って『ポケモン』やマーベルコミックのキャラクターにコスプレするファッションランサーたちの存在が注目を集めた(関連記事)。