『The Culling』2度目の開発終了へ。続編の失敗を受けて基本プレイ無料化&原点回帰したバトルロイヤルゲーム
基本プレイ無料のバトルロイヤルゲーム『The Culling』のデベロッパーXaviant Gamesは3月18日、同作のサービスを終了させることを発表した。2019年5月15日をもってサーバーが停止し、オンラインプレイが不可能となる(オフラインモードは引き続きプレイ可能)。また今回の発表にともない各種ストアページおよびゲーム内ストアは近日中にクローズされる。本作は、後述するように2017年12月に1度開発を終了している。2018年9月に基本プレイ無料タイトルとして再出発を切ったが、あえなく2度目の開発終了をアナウンスすることとなった。
『The Culling』は最大16人で対戦する一人称視点のバトルロイヤルゲーム。銃器ではなく手製の弓矢や槍を中心に戦うプリミティブな作風、攻撃・防御・防御崩しの三すくみの近接戦闘、さまざまなステータス異常効果やトラップの活用といった、特徴的なゲームメカニックの組み合わせにより、発売当初注目を集めた作品だ。
2016年3月にSteam早期アクセス販売が開始され、初月には同時接続ユーザー数1万人超えを達成する賑わいを見せていた。しかしながら、その後のアップデートによる仕様変更が不評。プレイヤー人口が大幅に減り、2017年10月に正式リリースを迎えるころには同時接続ユーザー数が2桁にまで低迷し、正式リリースからわずか2か月後の2017年12月に開発終了が発表された(関連記事)。
その後Xaviant Gamesは2018年6月、シリーズ続編となる『The Culling 2』を発表。同年7月に発売された同作は、初代『The Culling』の特徴をほぼ全て取り払い、近年主流の『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』『H1Z1』といった大規模バトルロイヤルゲームのフォーマットに沿った作品となっていた。オリジナリティがなくなったこともあって注目を集めることはできず、ローンチ初日からほぼまともにマッチングしないという不穏なスタートを切り、わずか9日で販売およびサポート終了に追い込まれた。
この続編の大失敗を受けてアナウンスされたのが、『The Culling』の復活である。それもただアップデートを再開するのではなく、本作が一番賑わいを見せていたリリース初期の仕様に近づけた上で、基本プレイ無料タイトルとして再出発するというものであった(関連記事)。この基本プレイ無料化と原点回帰により人口ブーストがかかり、2016年の早期アクセス開始からの累計プレイヤー数は300万人を突破するまで伸びていったが、すぐさま低迷モードに戻り、PC版の平均同時接続数は再び2桁台にまで下がっていった。
Xaviant Gamesの運営ディレクターであるJosh Van Veld氏はサービス終了の告知文にて、基本プレイ無料化にともない実装したゲーム内課金要素により、開発・運営を継続する上で十分な収益を得られるようになると期待していたが、実際にはそうはならなかったと語っている。数千ものデイリーユーザーがゲームにアクセスしていたものの、そこから得られる収益は運営を支える上で必要な額には遠くおよばなかったという。そのため開発チームを縮小せざるを得なくなり、ゲームを成長させる上で欠かせないサポートやアップデートの継続が困難になったとのことだ。
近年では『フォートナイト』や『Apex Legends』といった大手パブリッシャー/デベロッパーのバトルロイヤルゲームが成功をおさめる一方で、サービス終了へと追い込まれる、もしくは売り切り型から基本プレイ無料モデルへの変更を余儀なくされるバトルロイヤルゲームが複数出てきた。また、基本プレイ無料化&ゲームメカニックの原点回帰による再出発を図った例としては、今年3月にPC版を『Z1 Battle Royale』へと改名した『H1Z1』が挙げられる(関連記事)。人口が減少傾向にあるゲームを、一番注目を集めていた時期の仕様に戻すことで、またコミュニティに寄り添う形で最初からやり直すというパターンだ。原点回帰によりユーザーからある程度の支持は得られるのだろう。だが、そこから継続的な収益につなげられるかどうかは、また別の話だ。
なおVeld氏は最後に、誰か『The Culling』の開発を引き継ぎたい方がいれば連絡してほしいとのメッセージも残している。ポテンシャルを秘めているタイトルだけに、基本プレイ無料タイトルの運営ノウハウと開発リソースを持ち合わせたチームであれば、また本作を再起させることができるのではないか。そう考えているようだ。2度目の開発終了に追い込まれた『The Culling』であるが、開発の引継ぎを名乗り出る者がいれば、もしかしたら3度目の正直が見られる日が来るかもしれない。