
先月1月25日に発売されたPlayStation 4及びXbox One専用ソフト『キングダム ハーツIII』において、特定のムービーシーン中に、謎の「文字列」が表示されていることが海外コミュニティで話題になっている。
問題の場面は、「アナと雪の女王」を原作とした世界「アレンデール」において、自身の氷の力が他人を傷つけること恐れ、一人雪山の奥地でなら自分らしく暮らせると、王女エルサが氷の城を高らかに歌いながら築き上げるシーン。力の拘束具であった手袋を投げ捨て、開放した力を振るう最中、「Arnold」というロゴがちらりと1フレーム分挿入されてしまっている。同様の現象は『キングダムハーツ 0.2 バース バイ スリープ -フラグメンタリー パッセージ』のムービー中にも一瞬確認されており、一体これは何だとコミュニティ内を賑わせている。なお、『キングダム ハーツIII』国内版(バージョン1.3)においては、この現象は確認されていない。海外版でのみ、生じている症状だと考えていいだろう。

このArnoldという文字列は、3Dアニメーション制作やモデリング、シミュレーションを全て一つのソフトウェア内で行うことができる総合ツールセットMayaの機能に関連しているようだ。Arnoldは、Maya 2017より標準搭載されているレンダラーである。体験版もしくはライセンスのない状態で、Maya内でArnoldレンダリングを用いると強制で画面中に“透かし(ウォーターマーク)”が挿入される仕様があるという(Autodesk)。この透かしが、Arnoldという文字列の正体であるとみられる。経緯は定かではないが、とにかく適切ではないライセンス状態でソフトウェアを使用したことにより、発生する現象であることが濃厚なようだ。
This also happened with KH0.2, @Soraalam1 noticed it lol pic.twitter.com/0aveZvs7LT
— ???? ?????? ~ (@ligero_miguel) February 10, 2019
Mayaは、ハリウッドをはじめとした大規模映像制作の現場で主だって使用されるハイエンドソフトの一角。導入している制作スタジオとしては『キングダム ハーツIII』にもゲスト出演した「トイ・ストーリー」や「モンスターズ・インク」で知られるピクサー社も有名である。また、ゲーム業界においても3D作品を作る上では、もっぱら採用されているソフトウェアとしても知られる。Arnoldは、そのMayaのレンダリングを支えるツールのひとつだ。
前述したように、Arnoldの文字列は海外版にて1フレームのみ映る仕様である。しかしながら、山場のシーンにて映ってしまったことから、その正体が発見され、確認されてしまったようだ。海外版のみ発生しているという該当シーンは、今後修正されるのだろうか。
【UPDATE 2019/2/12 23:00】
TwitterユーザーKage氏は、このArnoldのロゴはライセンスによる問題ではなく、DRMの問題である可能性も指摘している。DRMが非常に重いゆえに、インターネット環境が安定していなければ、ウォーターマークが入ってしまうという説だ。確かにこちらの理論ならば、1フレームのみ入ってしまったことも説明がつくだろう。あくまで「ひとつの可能性」を提唱する論拠として、参考にしてほしい。
The program they used has really heavy DRM. It uses the internet to check the software license for every frame of animation you do. The watermark is what happens if you don't have a stable internet connection. It's incredibly easy to miss even if you're looking for it.
— Kage (@Lord_Vulkan101) February 11, 2019