『GTAオンライン』のチートツール業者に1560万円の賠償請求下る。ゲーム内に混沌をもたらす悪質ツールを開発・販売

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昨年2018年にTake-Two Interactive(以下、Take-Two)が、自身の子会社であるRockstar Gamesの運営するオンラインゲーム『Grand Theft Auto Online(グランド・セフト・オート オンライン)』(以下GTAオンライン)内で用いられていたチートツール販売業者を起訴、被告側が出廷しない欠席裁判の結果、ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所は販売業者に対し15万ドル(日本円で約1650万円)の損害賠償を命じていたことが明らかとなった。海外メディアであるTorrentFreakなどが報じている。

加えて、業者側はTakeTwoが用意した弁護士に関する費用7万ドル(日本円で約770万)も支払うこととなったため、負担する金額は計22万ドル(日本円で約2400万)となる。また、裁判所側は業者に対し製品を製造することに対する恒久的差し止め命令を下している。(リンク先pdf)

訴訟の原因となったチートツール「Elusive」は、ゲーム内アイテムや通貨の無制限化といった単純なModから、なにもない空間から車をはじめ巨大なオブジェクトを自由に呼び出したり、物理演算を崩壊させるもの。指定された地域が突如大爆発を起こし続けるといった、利益を得る領域が個人にとどまらないものまで、多様な現象を引き起こすことが可能なハッキングツール。ゲームバランスを崩壊させ、通常のゲームシステムに則った遊び方をするプレイヤーに対して多大な被害をもたらしていた。そればかりでなく、10ドルから30ドルまでの3つの形態で売られていたこのツールは、Take-Twoに対し、少なく見積もってもおよそ50万ドル以上の損害をもたらしたとされる。販売業者が得た利益に関しては、引き続き捜査中とのことだ。

販売業者側はこの判決を受けて、企業、そして『GTAオンライン』のプレイヤー達に対し、「私達は、自身のソフトウェアがGrand Theft Auto Onlineコミュニティにもたらしたあらゆる問題に関しお詫び申し上げます」との声明を残している。なお、今回の訴訟を経てTake-Two側が得られた賠償金は、同社が指定する慈善団体に全て寄付されるとのことだ。

現状として、オンラインゲームのメーカー、及び運営側と、チートツール販売業者との戦いは、イタチごっこの様相を呈し、完全な解決の目処が立たずにいる。2017年にはBlizzardが同社の運営する『オーバーウォッチ』のチートツールを販売する複数の業者に向けて計850万ドルの損害買収を請求し、昨年10月にはEpic Gamesがチートツールの販売、宣伝を行っていたゲーム配信者ならびにそのパートナーへ著作権の侵害として訴訟を起こしている。さらには、『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』に関しては141人の業者が検挙された。

今回Take-Two側が販売業者に請求した15万ドルという額は、個人の侵害行為に関する法定損害賠償において最大額とされており、この判例は今後チートツールを開発、販売する業者に対し抑止力として機能していくだろう。これを受けて、人を身勝手な行為に仕向ける種をばらまく人間が少しでも減り、やがてコミュニティからチートが一掃されることを切に願うばかりだ。

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