『Forza Horizon 4』から一部ダンスエモートが削除される。『フォートナイト』で訴訟中のものと同じ元ネタのダンスエモート
『Forza Horizon 4』の最新アップデートにより、ゲーム内からダンスエモート「Carlton」と「Floss」が削除された。この2つのエモートは昨年12月、エモートの元ネタとされるダンスを創作した人物らが『フォートナイト』を運営するEpic Gamesを起訴したことで知られている(関連記事)。今回『Forza Horizon 4』からダンスが削除された理由は明示されていないが、エモートの利用を巡る訴訟案件が続いていることから、イメージダウンや訴訟リスクを避けるために先手を打った可能性はあるだろう。
「Carlton」ダンスは、90年代の海外シットコム「ベルエアのフレッシュプリンス」にて俳優Alfonso Ribeiro演ずるCarltonが披露していた、同キャラクターの代名詞的なダンス。もうひとつの「Floss」ダンスはInstagram上で人気のBackpack KidことRussel Horning氏が、米国のバラエティ番組「Saturday Night Live」にて2017年に披露したことを機に有名になったダンスである。『フォートナイト』では、著作権者の許諾なくダンスをコピーおよび商用利用したとの主張を持って、Ribeiro氏およびHorning氏が『フォートナイト』の運営元Epic Gamesに対し訴訟を起こしている。
※Backpack Kid自身は、『フォートナイト』で実装されたおかげでダンスがさらに有名になったと肯定的なコメントも残している
『フォートナイト』では訴訟案件がさらに増える
『フォートナイト』に関してはRibeiro氏とHorning氏だけでなく、ラッパー2 Millyが考案したMilly Rockダンスが「スワイプしよう(Swipe It)」という名称でコピーされているとして、2 MillyがEpic Gamesを起訴。またEpic Gamesが主催したオリジナルダンスコンテスト「BoogieDown」に応募した「Orange Shirt Kid」ことMcCumbers少年のダンスをEpic Gamesが無断で使用したとして、McCumbers氏の母親が訴訟を起こしている(Variety)。いずれも米国カリフォルニア州の法律事務所Pierce Bainbridgeが案件を担当している。
「Orange Shirt Kid」のダンスはコンテストの勝者とはならなかったものの、ネット上でバイラルヒットとなり、Orange Shirt Kidをコンテストに勝たせるための署名活動が巻き起こるほど注目を浴びた。最終的には「オレンジジャスティス」というダンス名で、シーズン4のバトルパス報酬の一部として採用されている。「Orange Shirt Kid」自身はダンスが採用されたことを喜んでいたものの、権利の主張となれば話は別。氏の母親は事前の許諾なくダンスを再現および商用利用したとしてEpic Gamesを訴えている。
https://www.youtube.com/watch?v=g_SIPWSJIiU
ただし、「Orange Shirt Kid」のダンスは、そもそもゲーム内で使用してもらうために応募したものであり、他の案件とは毛色が異なる。またダンスコンテストの規定上、「出場者はスポンサーに対し、投稿作品を世界中のあらゆるメディアで、いかなるスポンサーの目的においても使用、修正、複製、派生作品の作成、流通、上映、表示できる非独占的、恒久的、解約不可な、世界規模の、譲渡可能な、サブライセンス可能な、著作権使用無料のライセンスをここに与えるものとします」「出場者は投稿作品もしくはスポンサーへの権利付与に対して、特別に支払いを受けることはありません」とも記載されている。他の案件と比べて原告不利な条件が揃っていると言えるだろう。
なお米国では、ダンスが著作権の保護対象として認められるにはダンスムーブ単体やシンプルなルーティンではなく、複数のダンスムーブから成り立つ振り付け/コレオグラフィーである必要があると考えられており、一連のダンスエモート訴訟でも、Ribeiro氏やHorning氏のダンスがそもそも著作権保護の対象とみなされるのかどうかが、ひとつの論点となってくる。
また「Carlton」や「Floss」は有名なダンスだけあって、複数のゲームにて採用されている。例えば「Carlton」ダンスについては『フォートナイト』『Forza Horizon 4』以外にも『Saints Row The Third』『Guild War 2』『Destiny』『NBA 2K18』など複数の作品で確認されている。ダンスエモートに関する著作権侵害の主張が通るかどうかは、エモート機能を実装する幅広いタイトルに影響を及ぼすゆえに、今後も判決の行方を追っていきたい。