「クッパ姫」が公式設定になる可能性が正式に消滅。クッパを「女体化(ピーチ化)」するというアイテム設定が公式に否定される

Image Credit : 犽(@kuroko_14)
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昨年2018年にSNS上で話題となった、ファンコミュニティから生まれた二次創作キャラクターのクッパ姫が、公式設定になる可能性が正式に消滅した。もともと二次創作キャラクターということで、公式になることはまずありえないという見方が強かったが、その設定が否定されたことで、クッパ姫のキャラクターとしての生い立ちが不明瞭になり、設定としてもクッパ姫の存在が公式として否定された形だ。

あらためてクッパ姫について説明しておこう。クッパ姫は、今月11日にNintendo Switch向けに発売される新作『New スーパーマリオブラザーズ U デラックス』のとある設定から生まれたキャラクターだ。とある設定とは、新たなプレイアブルキャラクターであるキノピコが、スーパークラウンを取得することで、キノピーチと呼ばれる人型のキャラに変身することだ。キノピーチは2段ジャンプができたり、空中に浮くことができたり、落ちても一度だけ自動で戻ってくることができたりと、優秀な性能を持つ。

しかし、そうしたキャラ性能よりも注目を集めたのはその設定。キノコ族であるはずのキノピーチが、アイテムを取得することで人間のような姿に見た目を変える。種族自体が変わるという設定に、ネットコミュニティは注目を集めていた(関連記事)。この変身については、キノピコの遺伝子に起因するのではないかという考察がなされていたが、とあるユーザーhaniwa氏はスーパークラウンを「取得したキャラクターを、ピーチのような女性キャラ(もしくはピーチ化)にさせるアイテム」と認識。クッパがスーパークラウンを獲得することでクッパ姫になるという設定を“二次創作”し、これをきっかけに非公式キャラクターであるクッパ姫が生まれ、爆発的な人気を呼んだ(関連記事)。これが一連のあらましだ。

ではどのようにクッパ姫の設定は、否定されたのだろうか。任天堂は、『New スーパーマリオブラザーズ U デラックス』の英語公式サイトを更新し、スーパークラウンについての説明を設けている。この説明は以下のようになる。

「キノピコがこれ(スーパークラウン)を見つけると、スーパーパワーを持つキノピーチに変身することができます(ごめんね、ルイージ-キノピコだけがこのアイテムを使えます!)。」

なんの変哲もない、ごく普通の説明に見えるが、最後の文に注目してみよう。スーパークラウンは、キノピコだけが使えると記されている。つまり、ルイージを含んだ、キノピコ以外のほかのキャラはスーパークラウンを使えないということになる。それはクッパやキングテレサ、ワンワンについても同様だろう。クッパがスーパークラウンを獲得して女体化(ピーチ化)するという設定がなければ、クッパ姫はそもそも生まれていない存在。静かに、そして力強く、クッパ姫の礎となる設定が否定された形だ。海外メディアKotakuNintendo Everythingも公式による否定を大きく取り上げ、話題を呼んでいる。

米任天堂ホームページより

もともと二次創作から生まれたキャラクターが公式設定になる可能性が消滅したと表現するのは、いささか違和感があるかもしれないが、とにかく今回は設定上のルーツを失ったことになる。ファンとしては公式からさらに遠のいたことを嘆きたくなるかもしれないが、一部のクッパ姫ファンは、署名活動によってクッパ姫を公式キャラクターにしようとしたり、もしくは『スマブラSPECIAL』への参戦を希望したりと、公式化を迫っていた。また、背景を知らなければ、クッパ姫を公式キャラクターと勘違いしてもおかしくはない。それこそ、見る人によっては、公式と非公式の境界は曖昧に感じられただろう。

※クッパ姫の設定を考案したhaniwa氏が12月に公開したファンアート

クッパ姫は、当時の公式設定から生まれたキャラクターであるが、疑いなく二次創作の産物だ。米任天堂スタッフが意図的にこの否定の設定を加えていったのか、もしくはそうでないのかは気になるところであるが、クッパ姫というコンテンツはルーツの時点で公式設定から外れていると区切られたことになる。結果的に、二次創作であることがさらに強調された形だ。

任天堂は昨年11月、ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドラインを公開し、そこには「(中略)任天堂の知的財産の利用や創作は、各国の法令上認められる範囲内で行ってください。」と記載されている。少なくとも法令を遵守していれば、二次創作自体を取り締まらない意図があることが汲み取れる。つまり、クッパ姫が存在すること自体は禁じられているわけではない。また、設定が失われたとしても、クッパ姫という創作キャラクターの魅力が失われたわけではない。ブームは去っていったが、クッパ姫はSNSを風靡した二次創作キャラクターとして、今後も愛され、そして思い出される存在となるだろう。

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国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)