『ARK』開発元の新作『ATLAS』に76%の不評が押し寄せる。接続障害や発売前映像との比較など、厳しい批判を乗り越えられるか


インディースタジオGrapeshot Gamesは12月22日、海賊サバイバルMMO『ATLAS』の早期アクセス販売をSteamにて開始した。価格は3090円で、2019年1月3日までは2565円で購入可能だ。同スタジオは、恐竜サバイバルアクションゲーム『ARK: Survival Evolved』を手がけたStudio Wildcardが『ATLAS』のために設立した姉妹スタジオで、『ARK: Survival Evolved』に携わったスタッフを擁する。

『ATLAS』は、4万5000平方kmの広大な世界にて海賊生活を送れるMMO。700を超える大陸に最大4万人のプレイヤーを許容できるとされており、ほかのプレイヤーと交流しながら、略奪や宝探し、クエスト攻略や領土制服、あるいは海賊船の建造や砦の建築などをおこなうのだ。サバイバル要素もあり、大小さまざまなモンスターが生息するファンタジー世界を生き抜く。

The Game Awards 2018にて初めて披露された本作は、その約1週間後に早くもローンチを迎えると発表されたが、何度も延期を繰り返したのちようやく発売される(関連記事)。準備不足の印象を与えたままの不安な船出ではあったが、本作のコンセプトに惹かれた多くのプレイヤーが未開の世界に押し寄せることとなった。ただ現在のところ、その評価は芳しくない。Steamでは、本稿執筆時点ですでに約1万件ものレビューが投稿されており、好評と評価しているのはそのわずか24パーセントという状況である。

評価を下げたポイントは多岐にわたるが、まずなにより、サーバーへのログイン失敗が頻発し、多くのプレイヤーにフラストレーションを与えることとなった。ゲームをプレイする以前の問題のため、Grapeshot Gamesおよびサーバーを提供しているNitradoは現在まで繰り返し対策を講じており、状況は徐々に改善されてきているようだ。また、当初は大きなラグがゲームプレイの妨げとなっていたが、こちらも改善が報告されている。

ちなみに、Nitradoは『ARK: Survival Evolved』のパートナーでもある。サーバーに接続しづらい状況が続く中、同社は実況配信者に対しては本作のプレイを続けられるよう特別な配慮を見せており、これに対しては「本作にお金を払った人が後回しとはどういうことか」「他人のゲームプレイを見たいわけじゃない」といった厳しい声が寄せられている。プロモーションの観点では正しい判断だろうが、こうしたところからもファンの苛立ちがうかがえる。

上の映像では、公開されたトレイラーと実際のゲームプレイを比較しており、その未完成さを訴えている。本作は早期アクセスとして、これからバグを取りコンテンツを拡充させていくことになるため仕方ない面はあるが、調整不足が評価に影響を与えていることは否めない。また、海賊生活を送れることに期待するプレイヤーが多いなか、そのゲームプレイはサバイバルに重点を置きすぎているという指摘もある。リスポーンしては強力なモンスターとの戦いに追われたり、あるいは無法者なのにバランスの良いビタミン摂取のための食事を求められる点は、頻繁に挙げられている不満要素のひとつだ。

このほか、本作の評価に直接影響を与えているわけではないかもしれないが、本作のメインメニューに隠された項目があり、それを選択すると『ARK: Survival Evolved』のメニュー画面が出現することが確認されている。姉妹スタジオが手がけているため、技術的にあるいは一部アセットに共通する部分があってもおかしくはないが、メニュー画面まで出てくるのは不自然だろう。一部のプレイヤーは、その内容から本作はもともと『ARK: Survival Evolved』のDLCとして計画されていたのではないかと推測している。また、それならせめて同作で築き上げてきたクオリティと同等な状態でリリースしてほしかったという声も聞かれる。

ともあれ、『ATLAS』は早期アクセス販売が始まったばかり。多くの不評が集まる厳しい船出となったが、開発元Grapeshot Gamesは連日アップデートを配信し、バグ修正やバランス調整に取り組んでおり、最新バージョンはすでに6.2となっている。こうした積極的な姿勢は、今後に期待できる材料のひとつとなるのではないだろうか。本作を評価する声の中には、不具合はあるもののポテンシャルが感じられ将来的な発展に期待する意見もある。またTwitchでは、本作はトップクラスの視聴者数を集めており注目度は依然として高い。Grapeshot Gamesはこれから、どのようにファンの期待に応えていくのか注目される。