『フォートナイト』ダンスエモートを巡る訴訟が相次ぐ。ラッパー、俳優、Instagramスターから著作権侵害の訴え
『フォートナイト』で使用されているダンスエモートについて、著作権侵害の訴えにより複数の著名人がEpic Gamesを起訴している。まず12月頭には、同作のダンスエモート「スワイプしよう」について、元ネタとされているMillyRockダンスを発案したラッパー2 Milly氏が著作権侵害の訴えにより提訴。損賠賠償およびゲーム内からのダンスエモートの削除を求めている(関連記事)。
そしてこのたび、ウィル・スミスが主演した90年代の海外シットコム「ベルエアのフレッシュプリンス」にて「カールトン・ダンス」を披露していた俳優Alfonso Ribeiro氏が、『フォートナイト』に実装されているダンスエモート「フレッシュ」について、カールトン・ダンスをコピーしたものとして訴訟を起こしている。
また同様に、『フォートナイト』のダンスエモート「フロスダンス」の直接の元ネタとなったと主張しているBackpack KidことRussell Horning氏も、Epic Gamesを被告側とした訴状を提出しており、一連の様子をTMZ、GameIndustry.biz、Game Informerなどが報じている。2 Milly氏、Alfonso Ribeiro氏、Russell Horning氏いずれのケースも米国カリフォルニア州の法律事務所Pierce Bainbridgeが担当している。なお2 MillyとAlfonso Ribeiroの2者に関しては、2K Games(『NBA 2K』シリーズ)に対しても、同様の主張を持って訴えを起こしている。
他者が創作したダンスを、パフォーマンスや映像作品の中に取り入れることは珍しいことではなく、ビデオゲームにおいても『フォートナイト』に限らず複数の作品にて、元ネタが存在するダンスエモートが実装されている。今回の訴訟で対象となっているカールトン・ダンスについても、『Saints Row The Third』『Guild War 2』『Destiny』など複数の作品でオマージュされてきた。
だが『フォートナイト』が世界規模での大ヒット作品となったことや、ダンスエモートが直接マネタイズモデルにつながっていること、元ネタのあるダンスエモートの数自体が多いことから、本作においては特に話題にのぼる機会が多い。そしてここにきてようやく、ダンスの発案者を名乗る者たちが具体的なアクションを起こし始めた。とはいえ、米国においてはダンスムーブ単体やシンプルなルーティンだけでは著作権保護の対象とはならないとみなされている。著作権保護が適用されるには、複数のダンスムーブから成り立つ振り付け/コレオグラフィーである必要があるのだ。
振り付け/コレオグラフィーの場合、著作権登録を行っていなくても保護対象となるが、著作権侵害の訴えにより訴訟を起こす場合には登録が必要となる。今回訴訟を起こしているメンバーに関しては、それぞれ著作権登録の手続き中であると説明している。ただ登録にあたっては先述したように、単体のダンスムーブではなく振り付け/コレオグラフィーであると認められるかどうかが、ひとつのポイントとなってくるだろう。
今回訴訟を起こした3人以外にも『フォートナイト』にて自身のダンスが無断で使用されていると不満を漏らす著名人はいる。たとえば海外ドラマ「Scrubs」にて「Poison」ダンスを披露した俳優Donald Faisonは、『フォートナイト』にて酷似したダンスが使用されていることを受けて「あいつらダンスを盗みやがった」とコメントしていた。これまでは潜在的な不満にとどまっていたが、今後は法的措置に踏み切るケースが増えてくるかもしれない。