文明崩壊後の世界が舞台の自由度高いRPG『Kenshi』正式リリース。ゲームの序盤のポイントをあらためて紹介

ポストアポカリプスRPG『Kenshi』が正式リリースされた。開発に12年かけた本作はソードパンクを謳うRPG。本稿では戦闘から探索まで自由度の高い『Kenshi』の序盤部分のポイントを改めて紹介。対応プラットフォームはPC(Steam/Humble/GOG)。

インディースタジオLo-Fi Games 126日、ポストアポカリプスの世界を舞台にしたRPGKenshi』の正式版を販売開始した。対応プラットフォームはPCSteamHumbleGOGで、価格は3500円となっている。日本語にも対応済みだ。

Kenshi』は、ソードパンクを謳うRPGだ。舞台となるのは、地球とは異なる世界。かつて栄華を誇っていた文明は、人為的なものか、はたまた自然によるものなのか、大規模な災厄によって失われ、今や人々の生活は中世レベルにまで後退してしまった。さらに世界には盗賊や危険な野生動物が溢れ、いくつかの力ある勢力が起こり睨み合うという、混沌とした世紀末的様相を呈している。

プレイヤーはこの危険に満ちた世界へ、何の力も持たない最弱の存在として産み落とされる。定められた使命などはなく、どのように生きるのも自由だ。探検家となって災厄の真実を解き明かしたり、野盗となり他者を糧として生きる。あるいは苛酷な労働を課される代わりに最低限の食料を得られる奴隷となることすらも可能だ。苛酷な世界を望むままに生き抜いて、自分だけの物語を紡いでいこう。

ゲームを開始すると、まずは自分の分身たるキャラクター作成から始めることとなる。自身の出自と種族を決めていこう。選べる出自は多種多様で、開始地点や状況がそれぞれ異なる。もっともオーソドックスな「放浪者」は、僅かなお金と貧弱な装備で、比較的安全な街からのスタートとなる。他にもポストアポカリプスものの定番で、愛犬と共に旅する「男一人、犬一匹」。人喰い人種に取り囲まれた絶望的な状況から始まる「カニバルハンター」など、バリエーションは豊富だ。

種族は、ヒト、スケルトン、ハイブ、シェクの4種から選ぶことができる。ヒトは文字通り我々人間に近い存在で、もっとも平均的な能力を持つ。スケルトンは全てが謎に包まれた機械生命体だ。その外見に反して人間のような感情を宿し、何千年もの時を生きた個体も存在するという。ハイブは枯れ木のような身体を持つ、虫のような外見の種族だ。通常は群れをなして生活し、ハイブ社会存続のため行動する。シェクは頑丈な外骨格を持ち、頭部の角が特徴的な種族だ。戦いと誇りを重んじ、強き者が地位を得る士族社会を築いている。

キャラクターの作成が終われば、いよいよ冒険の始まりである。この先、どのように進めるかはプレイヤー次第だ。世界に眠る遺跡を荒らして回り古代の技術を蘇らせるか、旅商人として街から街へと交易をしていくか、その他の生き方を選ぶか、選択肢は無限大だ。とはいえ本作は、その自由度の高さから最初に何をすれば良いのか戸惑う向きも多いかもしれない。そのため、簡易的ながら冒頭の進め方を紹介させていただく。当然ながら、優先すべきなのは生き延びることだ。命を落としてしまえば、すべての夢は儚く消え去る。死は無慈悲で、蘇生手段のないこの世界では事実上の終焉となる。まず避けるべきは餓死と危険な戦闘だろう。

餓死を避けることはそう難しくない。食料を常に携帯しておけば良いからだ。キャラクターたちは、空腹になれば勝手に手持ちの食料を消費していく。食料は店で購入する、あるいは動物を狩ってその肉をキャンプファイヤーで調理することで入手が可能だ。お金が無ければ、深夜にこっそり店へと忍び込み、盗んでしまうのも手だろう。ただし店で購入する以外の手段はいずれもリスクを伴う。野生動物の中では最弱の存在であるヤギですら冒険を始めたばかりのキャラクターには強敵で、窃盗は見つかれば袋叩きにされた上で拘留されるので注意が必要だ。

なるべくリスクを冒したくないならば、街の近くで鉱脈を探してみよう。採掘を行えば、鉱脈に応じた鉱石が手に入る。鉱石はクラフトなどにも利用できるが、それはまだまだ先の話だ。しかし店で換金すれば、いくばくかのお金を手に入れることができる。そのお金で食料を購入したり、装備を整えよう。また、鉱石はそれなりに重量もあるため、輸送中に筋力も鍛えられていくことだろう。本作はキャラクターの成長にスキル制を採用しており、なにがしかの行動で対応するスキルが成長していく。盗みを働けば「窃盗」、食事を作れば「料理」、採掘で「労働」が上昇するといった具合だ。どのように生きるにせよ、そうして得た技術は無駄にはならないはずだ。

戦闘技術は、飛び掛かる火の粉を払うためにも重要だ。ましてや、ここは秩序など存在しない世界である。盗賊や奴隷狩り、人を襲う野生動物といった危険を避けるためにも鍛えておいて損はないだろう。しかしながら、プレイヤーキャラクターが「最弱の存在」というのは伊達ではなく、敵とまともに戦って勝利するのは非常に困難だ。最初は守備兵の居る大きな街を、なるべく離れないようにすべきだろう。仮に敵に追われても、街まで逃げれば守備兵が後を引きついでくれるはずだ。そこに加勢するもよし。そのまま逃げるも良しである。あるいは街への侵入を計った盗賊が守備兵に倒され、街中で気絶していることもある。いささか卑怯だが、彼らが意識を取り戻した時に攻撃を加えるのも手だろう。経験を重ねていけば、やがては多少の危険にも立ち向かえる戦士となっているはずだ。

戦闘をすれば、少なからず怪我を負うことになるだろう。キャラクターには全身の各部位それぞれにHPが設定されており、腕に重傷を負えば武器の扱いに、脚ならば移動にペナルティを受けることになる。さらには最大HPの倍以上のダメージを受けると、四肢ならば切断。頭部などの重要部位の場合、そのまま死に至る。出血状態になると時間経過でHPが失われていくため、早めの治療が肝心だ。怪我の治療には「応急処置キット」(スケルトンのみ、専用の「スケルトン応急処置キット」)が必要となる。これらは店で買うか、盗むことで入手が可能だ。危険に備えて常備しておこう。「医療士」ボタンを押せば、所持しているキットを使うことができる。

生き延びる手段を確保したならば、あとは心の趣くままに冒険を進めていこう。お金を稼いで装備を整え、酒場で頼れる仲間を集める。そして十分な食料を準備して、まだ見ぬ世界へ飛び出すのも良いだろう。あるいは売り家を購入するなどで拠点となる場所を手に入れて、さまざまな生産設備を設置したり、失われた古代の技術を研究することもできる。時には貴重な研究素材を求めて古代遺跡を荒らして回る必要に迫られるかもしれない。力を付けていけば、他国を攻めて廃墟としたり、強大な力を持つ人物を倒して名刀と呼ばれる最強の武器を手にすることも可能だ。あるいはこの世界最強の生物であるリヴァイアサン討伐を目指すのも良いだろう。すべてはプレイヤー次第だ。

プレイヤーを縛る要素を可能な限り無くした本作は、真にサンドボックスと呼ぶにふさわしい作品となっている。映画のような華々しい物語こそ提供されないが、絶体絶命のピンチに偶然NPCたちが駆け付けてきてくれたり、あるいは幾多の苦難を乗り越えて貴重な宝を手にした時の感動など、プレイヤーの数だけ異なる体験とシチュエーションは、言葉で語られる以上のドラマを生み出してくれるはずだ。時には想像力こそが、雄弁な語り手となるのである。自由な冒険というキーワードに心惹かれる方は、正式版リリースのこのタイミングにチェックされてみては如何だろうか。

Kouzou Suzuki
Kouzou Suzuki

子供の頃からアイディア勝負の変わったゲームを好む。気が付くとインディーゲームの魅力に取り憑かれており、人々を同じ沼へと引きずり込むべく記事の執筆を開始。

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