『スマブラSP』発売2週間前にして流出をめぐる攻防が熾烈に。YouTubeなどでのリーク映像に要注意
来月12月7日に発売されるNintendo Switch向けソフト『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL(以下、スマブラSP)』。シリーズおよびNintendo Switch史上最高数の予約が入っていると報告されているように、大きな期待が寄せられている。そんなビッグタイトルのゲーム本編が、発売2週間前にして流出していることが海外で報じられている。実際に、動画投稿サイトではプレイ映像やサントラなどが確認されているのだ。
波紋を広げる流出動画
今回の流出についてはっきりとした発端は不明であるが、11月22日時点で4chanのユーザーがゲームのパッケージとみられる画像を投稿していたことが確認されている。Motherboardによると、パッケージ版はメキシコの小売店から流出したと報告されているとのこと。このパッケージ版がベースになっているかは定かではないが、Discordのハッキングコミュニティにベースとなるデータがわたり、そこから解説や分析が進められコミュニティ全体で共有されるような段階になったという。以前YouTuberやメディアに対して配ったレビューコピーをきっかけに発売前のROMが流出したというケースが存在したが、今回はパッケージ版ベースの流出であるとのこと。
そこからプレイヤーたちは、YouTubeなどに「灯火の星」のカットシーンやサウンドの映像もしくは音源を投稿しており、発売前にしてゲームの要素がバラされていることになる。一方で、それらのユーザーを規制にかける動きも出てきている。たとえば、YouTubeにてサウンドを流したユーザーDystifyzer氏は、著作権違反として『スマブラSP』の投稿曲が削除されたほか、近日中にチャンネルも削除されるという。同じくCrunchii氏も当該曲はすべて削除され、チャンネルも削除された(Nintendo Insider)。
I have also been copyright striked and the Dystifyzer YouTube channel will be deleted in 7 days. I knew the risks when uploading a soundtrack 2 weeks early, but I didn't want to be left behind other uploaders. Tough luck.
— Dystify Music (@DystifyMusic) November 25, 2018
YouTubeでは原則的に3回の著作権侵害の警告を受けるとチャンネルが削除されるという方式が採用されているが、両名ともにここに引っかかってしまったという。Dystifyzer氏は、発売の2週間前にサウンドトラックを投稿するリスクを理解していたが、それでも他投稿者に先んじて再生数を稼ぐために、投稿を我慢できなかったとTwitter上で話している。Dystifyzer氏のチャンネルでは、ほかの任天堂作品のサウンドは削除されておらず、新作のみがピンポイントに狙われたことになる。この著作権侵害への対応がYouTube主導によるものか任天堂主導によるものなのか不明であるが、サウンドに限っては取り締まりが進められている。
この時期での流出は、ハッキングコミュニティにとっても驚きだったようで、同コミュニティの一員であるJJ氏はKotakuに対し、2週間前のリークは前代未聞であり、驚いたと語っている。なぜこうした流出が起こってしまったのかは不明であるが、実際にYouTubeにはさまざまな映像が投稿されているように、どこかから漏れてしまったことには間違いないだろう。単にフライングゲットが起こったというだけでなく、不正入手という点もひとつの問題である。任天堂は不正入手に強い反対の姿勢を見せていることから、こうした不正入手についてはなんらかの手が打たれると予想される。
実害は
流出によって明らかになった新情報としては、灯火の星のカットシーンやスピリッツなど細部の情報が、攻略を進めたリーク者によって伝えられている。『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズでは、発売後にならないとわからない隠しファイターが仕込まれることもあったが、今作ではゲーム内に参戦するファイターは、Nintendo Directによってすべて明かされたと発表されている。つまり、コアな情報についての被害は出ておらず、その点については不幸中の幸いであると言えそうだ。とはいえ、同作に期待を寄せているユーザーはリーク情報を見ないことを強く推奨する。
任天堂は『スマブラSP』の参戦ファイターの情報については、見事に情報漏えいを防ぎ続けた(関連記事)。ただ一方で、小売店をルーツとしたROMの流出についてはプロテクトできなかったようだ。Rockstar Gamesはこうした小売店を介したリークを嫌い、『レッド・デッド・リデンプション2』のパッケージ版は、発売直後は大手にのみ配り、その後中小の小売店に渡すという手法をとっていた(IGN)。今回のような事件を予防する意図があったとすれば、その選択はより説得力を持つだろう。今思い返せば、今年発売されるビッグタイトルは、『アサシン クリード オデッセイ』『Call of Duty: Black Ops 4』『Fallout 76』どれをとってもなんらかのリーク被害を受けている。どれだけ大きな企業だとしても、注目作のリークについて回避しづらい状況になりつつあるのだろう。ファイター情報が漏れなかったのは、せめてもの救いかもしれない。
大きなネタバレはないとはいえ、流出は楽しみにしているプレイヤーにとってはひどく気を害する事例ではある。YouTubeなどの関連表示には気をつけつつ、本日より公式が開始しているカウントダウンと共に、発売日を待っておこう。
【あと10日】
来る12月7日!『スマブラSP』がいよいよ発売します!
残る日数もあと10日!ゲーム業界のお祭りをみんなで盛り上げましょう!#スマブラカウントダウン #スマブラSP pic.twitter.com/89uRyHpGT8— 大乱闘スマッシュブラザーズ【スマブラ公式】 (@SmashBrosJP) November 27, 2018