『PUBG』のパフォーマンスを改善する「FIX PUBG」キャンペーンが終了。すべてのタスクは完了していないが、3か月をもってひと区切り
PUBG Corpは今年8月、『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』(以下、PUBG)のパフォーマンスを向上させることを目的としたキャンペーン「FIX PUBG」を打ち出した。これは既に計画されていた開発の方向性を大幅に変更し、3か月間という長い期間をかけ、ゲーム内に存在する多くのバグを修正するというものだった。「FIX PUBG」の発表当初に修正予定のバグが一挙に公開され、その後アップデート毎に進捗が報告されていた。
「FIX PUBG」を発表してから3か月が経過した先日、予定通りキャンペーンは終了となり、これまでの成果が公開された。当初に公開された修正予定のバグやゲーム改善のリストは100個にのぼり、これら全てが完了したとのことだ。サーバーやクライアントのパフォーマンス最適化、マッチメイキングシステムの改善、チート対策など、修正項目は多岐にわたる。
まず、クライアントのパフォーマンスに関しては大幅に向上したと報告されている。移動中のレベルストリーミングの負荷が低減され、1レベルの平均ロード時間が14.4秒から5.6秒に短縮された。また、フレームレート低下の原因となっている特定のエフェクトを最適化し、今後も改善を加えていく予定とのことだ。サーバーパフォーマンスについても、Update #19を皮切りに試合序盤のパフォーマンスが改善され、平均フレームレートは以前と比べて20%以上の向上が見られる。
しかし、キャラクター動作の修正を試みたところ、実際の動きとは異なる足音が発生するといった他の問題が生じたりと、一部の不具合に関しては解決に至っていないようだ。また、コミュニティ間でたびたび議題に挙がっていたマッチメイキングの問題だが、いくつかの改善が見られるものの未だ問題を抱えており、完全に最適化されたとは言えない状況となっている。現在はリージョンの選択が取り除かれており、マッチメイキングを開始したプレイヤーがもっともキュー待機人数の少ないマップに自動的にマッチングされる仕組みとなっている。
また、『PUBG』を悩ませ続けるチート問題に関しても言及されている。「FIX PUBG」キャンペーンを実施した3ヵ月間では、200万件を超えるアカウントをBANしたとのことだ。PUBG Corpはこれまで通りシステムの分析や監視、ポリシーの強化を続けるとしたうえで、警察の調査や訴訟などの外部的要因での解決も検討中であると語っている。今年7月には、法的機関との協力によってチートツールを開発・販売する中国の業者が一斉検挙され、141名が逮捕された事例もあった(関連記事)。
「FIX PUBG」キャンペーンの実施をきっかけに開発の方向性は大きく見直されたようで、2019年の『PUBG』ロードマップを設計する上でも、ビルドの安定性と品質を優先し、それをベースに新しいコンテンツの構築をおこなっていくとしている。方向性を変えたことで開発の速度は遅くなるかもしれないとしつつも、最終的には以前のように新たなコンテンツをハイスピードで提供したいと考えているという。『PUBG』エグゼクティブプロデューサーの張泰徳氏は「改善すべきことがたくさん残っていることは理解しているが、(FIX PUBGキャンペーンを通して)プレイヤーが必要としているものを正確に感じ取れるようになった」と語っており、今後も開発プロセスの改善に努めるとしている。
一方で、これらのPUBG Corpの報告に関して賛否両論の声が挙がっている。事の発端となったのが、とある海外ユーザーによるRedditでの現状報告である。「FIX PUBG」において修正済みとされた100個のリストのうち、一部のタスクが未だ修正されていないことや、リストに表記されていない不具合が多数存在するとし、その膨大なリストを書き出している。スレッドは現在、マッチメイキングの問題など、その他の話題にも飛び火している状況だ。早くも正式リリースから1年が経とうとしている『PUBG』。今後の開発によって、コミュニティの募る不満を和らげることはできるだろうか。