『CoD BO4』サーバー送信レートの低下が物議を醸す。ベータテスト時の三分の一になった数字について 、Treyarchが説明

 

『Call of Duty: Black Ops 4(コール オブ デューティ ブラックオプス 4)』のネットワーク周りのある変化について、コミュニティサイトRedditにて注目が集まっている。きっかけは、RedditユーザーのSmcro氏が10月20日、本作のプレイ中にクライアントとサーバー間でやり取りされるデータのSend rate(送信頻度)に注目し、実際に計測した結果を公開したことにある。

Image Credit: Smcro

Send rateには、クライアント(ユーザーのゲーム側)からサーバーに1秒間に何回データパケットを送信しているかを示すClient send rateと、その逆にサーバーからクライアントへの送信頻度を表すServer send rateがある。サーバーを利用するオンラインマルチプレイでは、各プレイヤーの操作を含め、ゲーム内で起こったことをデータとしてクライアントとサーバー間で伝達し合い、すべてのプレイヤーのゲーム画面が更新されていく。そのためSend rateが高ければ、プレイヤーのゲームプレイがより正確に反映されることになる。ただしその分負荷も大きくなるため、サーバーにかけるコストなどを勘案し、タイトルごとに落とし所を見つける必要がある。

 

60Hzから20Hzへ

Smcro氏は、10月19日時点での最新アップデートを適用したPS4版にて、パケット取得・プロトコル解析ソフトWiresharkを使い本作のSend rateを計測。アメリカ国内の4つの異なるサーバーに接続されおこなった計7戦での結果のうちのふたつが上と下に掲載した画像だ。赤いグラフがClient send rateで、緑のグラフがServer send rateを表しており、これを見ると本作はClient send rateは60Hzを上限とし、一方のServer send rateは20Hzを下限に設定され、ほぼ固定されていることが見て取れる。細かな値の揺らぎの違いはあれど、ほかのサーバーでも同じ結果となっている。なお、値が大きく落ち込んでいる部分は、ゲームプレイを休止していた所なので除外して見てほしいとのこと。Smcro氏が計測したのはPS4版のみだが、コメントの中にはXbox One版でも同様の問題が見られるとする人もいる。PC版については不明。

Image Credit: Smcro

本作のコンソール版では60fpsを上限としているため、この結果から、クライアント側からは毎フレームごとにサーバーにデータが送信されており、一方サーバーからはその3分の1の頻度でクライアントに送信されていることがわかる。Server send rateが20Hzというのは、他タイトルにて例がないわけではないが、競技性の高いFPSタイトルにおいて望ましい数値ではないだろう(関連記事)。

Redditでは、20Hzという低い数値に落胆する声がある一方で、怒りの声も上がっている。というのも、本作は発売前にマルチプレイのベータテストが実施されていたが、その当時、同じようにSend rateを計測したYouTubeチャンネルBattle(non)senseが、Client send rateとServer send rateのどちらも60Hzを上限としていたと報告していたためだ。つまり、本作のローンチ時(あるいはローンチ後)にServer send rateが3分の1に引き下げられたことになる。販売元Activisionおよび開発元Treyarch Studiosからはこの変更は公表されておらず、ベータテストにてスムーズなゲームプレイを披露し期待を高めておいて、実際にはグレードダウンさせたものを販売していたという形となり、ファンの怒りを買ってしまったわけだ。

 

ローンチ時だからした調整

こうしたファンの反応を受けて、Treyarch Studiosは10月22日、本作の最新アップデートの内容を報告する中でこの話題に触れた。同スタジオはまず、ゲームの最適化をおこなっていく中では、最高のオンライン体験をプレイヤーに届けるために、特にネットワークのパフォーマンスに注力しているとコメント。しかし、ローンチ時には世界中のサーバーに一度に膨大なプレイヤーが押し寄せるという事情があり、ほかのどの要素よりも優先して、ゲームの安定性を確保するためのインフラを構築する必要があると説明している。

つまりServer send rateを引き下げたのは、ローンチ直後に跳ね上がるサーバーへの負荷に対処するためだったようだ。本作はコンソールの現行世代において、発売から3日間での総プレイヤー数、プレイヤー1人あたりの平均プレイ時間、そして全プレイヤーのプレイ時間の合計が、シリーズでもっとも多かったことが発表されている(関連記事)。

そしてローンチから一定の日にちが過ぎたいま、同スタジオはこれまでに集めたデータをもとにネットワークパフォーマンスの微調整に取り組んでおり、今後2週間のうちにいくつかのアップデートを実施するとのこと。具体的にServer send rateを引き上げるとの言葉はなかったが、プレイヤーのゲーム体験を向上させるものであるとしている。そして、ローンチは改善や調整、要素追加を続けていく旅の始まりに過ぎないとし、同スタジオとして本作を、これまで手がけたどのタイトルよりも手厚いサポートが提供される作品にすべく取り組んでいくと決意を述べている。

Treyarch Studiosは、アップデートの内容など本作にて取り組んでいくことについてファンに逐一報告しており、コミュニケーションを重視している姿勢はこれまでにも見られた。とはいえ、ローンチを控えてパフォーマンスを引き下げることを公表することは難しかったのかもしれない。いずれにせよ、改善に向けて取り組んでいるとのことなので、ファンの間でまた改めて検証されることだろう。

なお、本日配信されたアップデートは、各ゲームモードにおける細かなバグ修正や調整に留まっている。また先週末には、PS4版先行でブラックマーケットが実装されている。これまでのシリーズ作で見られたルートボックス形式ではなく、ゲームプレイを重ねることで、カスタマイズアイテムやプレイアブルキャラクターが段階的にアンロックされていく仕組みだ。この中ではイベントも開催され、現在はハロウィンをテーマにしたアイテムを入手できるイベントがおこなわれている。ブラックマーケットは、PC/Xbox One版には7日遅れで実装されるとのこと。さらに11月には、限定アイテムを直接購入できるBlackjack’s Shopも実装予定となっている。