手持ちのヘッドセットをモーションコントローラーに変えるPC用ウェアラブルデバイス「Tilted」開発中。頭部を動かし、直感的な操作を実現

手持ちのヘッドセットをモーションコントローラーに変えるウェアラブルデバイス「Tilted」が開発中。50ドル以下の低価格、簡単セットアップでFPSのリーンや体勢変更といった操作を直感的に行えるようにするデバイスだ。「Tilted」はKickstarterキャンペーンを実施中、既に初期目標額を突破している。

手持ちのヘッドセットをモーションコントローラーのように扱うPC用ウェアラブルデバイス「Tilted」が開発中だ。Akila Zhang氏が発案し、Get Tilted, LLCにより開発されている「Tilted」は10月2日よりKickstarterキャンペーンが開始されており、わずか6時間で初期目標額の約169万円を突破。10月22日時点で約310万円の出資を募ることに成功している(キャンペーン期間は日本時間11月2日まで)。

https://www.youtube.com/watch?v=ThMwSFlCEqw

「Tilted」はPCゲーマー向けの多目的ウェアラブルデバイス。手持ちのヘッドセットに小型デバイスを付着させることで、着用者の頭部の動きをトラッキングする。これまでどおりキーボード&マウスでプレイしつつ、50ドル以下のお手軽価格かつ簡単な事前準備で、より素早く、より滑らかで、より精度の高い直感操作を実現するのだ。

Kickstarterキャンペーンページで紹介されている動画では、『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』を例として使い、頭部の左右移動をゲーム内の左右リーン、頭部の上下移動を体勢変更、頭部の前後移動を銃覗き込み時のズームイン・ズームアウト操作に設定してプレイする様子が確認できる。

本製品は発案者であるZhang氏自身が『PUBG』をプレイしている際、キーボードによるリーン操作に苦戦していたことから着想を得たという。操作が楽になるだけでなく、画面の傾きにあわせて実際に頭を傾ければ臨場感が増し、またエイムおよび距離/弾速落下の計算がしやすくなるというメリットもあることに気づき、製品化を開始したという。キーボード&マウスによる操作が困難な方向けのサポートデバイスとしても重宝する可能性を秘めているだろう。

「Tilted」は最大8つのコマンドを登録可能。感度調整オプションもあり、どのキーにでもバインドできるものの、頻繁に使用するキーにバインドすることは推奨されていない。たとえば頭部の上下・左右移動をFPSにおける銃の発射ボタンとして登録してしまうとヘッドバンギングを続けることになり、常人ではまともにプレイできないことが容易に想像できる。あくまでも先述したリーンや体勢変更といった使用頻度が比較的低い操作時に活用するべきなのだろう。なおゲームに応じてコマンド登録設定を変更したいプレイヤー向けの、プロファイル切り替え機能は3万5000ドル(約395万円)のストレッチゴールとして計画されている。

https://youtu.be/YYWZI86XNRU

ジャイロセンサーを利用した独自技術、カスタムデザインした電気回路によりゲーマーにさまざまな恩恵をもたらす「Tilted」。操作スキームが複雑なゲームに限らず、キーボード操作がともなうPCゲームであれば、そのほとんどで「Tilted」を活用できる。ワイアレスデバイス部分が頭部の動きをトラッキングしPCに伝達する仕組みとなっていることから、必ずしもヘッドセットに付けて利用する必要はない。ジョイスティックがわりに使うといったクリエイティブな用途も可能性として開かれている。

「Tilted」はWindowsをフルサポート。Mac/Linuxは部分的サポートとなっており、事前にWindowsデバイスでコマンド/キーバインド設定を行って「Tilted」デバイス上に操作設定を保存しておく必要がある。また現状はコンソール対応されていないものの、将来的にはファームウェアアップデートによる対応も視野に入れているそうだ(KickstarterキャンペーンFAQ)。

バッテリーの充電時間は約2時間で、持続時間は使用方法により変動。サンプルとして『PUBG』でテストし、1分間平均4回の頻度で使用したところ20時間以上持続したとのこと。なお本デバイス特有の遅延要因としては、ジャイロ/MCU(マイクロコントローラユニット)の分析とモーションデータの演算、身体移動そのものから発生する遅れが挙げられている。後者に関しては個人差があるものの、これまでテストを行った限りでは許容範囲内の遅延時間が計測されているという。

キーボート&マウス操作を置き換えるのではなく補完するウェアラブルデバイス「Tilted」。Kickstarterキャンペーン出資者への製品お届け予定時期は2018年12月となっている。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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