『The Walking Dead』など数々のADVを手がけたTelltale Gamesが、事実上のスタジオ閉鎖。200名以上が解雇される
『The Walking Dead』などアドベンチャーゲームの開発・販売元として知られるTelltale Gamesは9月22日、スタジオの大部分を閉鎖する難しい決断をおこなったと公式SNSを通じて発表した。これによって同社のスタッフは、会社およびパートナーへの義務を果たすための25名を残し、今朝全員解雇されたとのこと。同社の規模は250名ほどとされていたため、大規模な人員整理となった。
— Telltale (@telltalegames) September 21, 2018
Telltale Gamesが非常に難しい状況にあることは、今回解雇されたスタッフのソーシャルメディア上での発言から漏れ伝わってきていたようだが、同社は正式に認めた形だ。CEOのPete Hawley氏は発表の中で、この1年は会社として新しい方向を模索する非常に厳しい年であったが、それも時間切れとなってしまったと述べる。そして、今年は素晴らしいコンテンツをリリースし、多くの高い評価も得たものの、結果的に売り上げに結びつくことはなかったと振り返っている。
Telltale Gamesは、LucasArtsの元スタッフらによって2004年に設立された。当初からエピソード形式のアドベンチャーゲームを中心にリリースし、映画やドラマとのコラボレーションも積極的におこない一定の評価を受けていたなか、2012年発売の『The Walking Dead』にて大ブレイク。その年のGame of the Yearを多数獲得し、同作はシリーズ化された。それからも、『The Wolf Among Us』や『Tales from the Borderlands』『Minecraft: Story Mode』などを立て続けにリリースしてきた。
一方で、同社内では2014年ごろからスケジュールに追われて激務が続くという、いわゆる“Crunch状態”にあり、ゲームのクオリティに影響し始めていたことや、経営陣の開発現場への介入により会社を離れるスタッフがいたことなどが報じられていた(USGamer)。そして昨年、同社の設立メンバーであり前CEOのKevin Bruner氏は辞職し、大手ゲームメーカーのZyngaから迎えたPete Hawley氏が新CEOに就いた。Bruner氏はCEO辞職に関する金銭的な被害を訴え、Telltale Games相手に係争中だが、今回の閉鎖の報を受けて、多くのスタッフが解雇されたことや、会社そのものを失うことを悲しむ言葉を綴っている。
同社は、新CEOのHawley氏のもと財務基盤の回復を目指し、昨年には『The Walking Dead: The Final Season』や『Batman: The Enemy Within』『The Wolf Among Us: Season Two』を同時発表。またNetflixとタッグを組み、『Minecraft: Story Mode』のインタラクティブコンテンツの放送と、「Stranger Things」のゲーム化を発表していた。ただ同社は、昨年11月に大規模なレイオフをおこなっており、『The Wolf Among Us: Season Two』も発売延期されるなど、苦しい状況に変わりはなかったようだ。
今回のTelltale Gamesの発表の中で触れられている「会社およびパートナーへの義務」とは、特定のタイトルの開発を最後までおこなうことを指しているようだ。同社に残ることになったあるスタッフによると、それはNetflixと制作している『Minecraft: Story Mode』だという。Netflix自身も、海外メディアVarietyを通じて同作の制作続行を認めている。一方で、「Stranger Things」については別のオプションを模索中だという。また、前出のスタッフによると、『The Walking Dead』の開発チームも解雇されてしまったため、現在展開中の『The Walking Dead: The Final Season』は、今月配信されるエピソード2にて打ち切りとなるとのこと(USGamer)。
https://twitter.com/petehawley/status/1043256818154143744
なお、Telltale Games CEOのPete Hawley氏は、あくまで25名のスタッフが開発を続けているため、同社が完全に閉鎖してしまうわけではないとコメントしている。開発タイトルに関するTelltale Gamesからの正式な発表は今後数週間以内におこなわれるとのことで、詳細はそれを待ちたい。