Steamにて、ついに“無修正アダルトゲーム”の配信が解禁。新システムにより、パッチを当てることなく成人向けタイトルがプレイ可能【UPDATE】

ゲームスタジオDharker Studiosは9月11日、『Negligee: Love Stories』を9月14日に配信することを発表した。本作は、セクシャルな表現をひとつの特色としている作品であるが、Steamでリリース上では“無修正のまま”で配信されるという。外部パッチの適応なども必要としないのだ。

ゲームスタジオDharker Studiosは9月11日、『Negligee: Love Stories』を9月14日に配信することを発表した。『Negligee: Love Stories』は、その名のとおり“ネグリジェ”をテーマとした美少女ゲームだ。本作は、セクシャルな表現をひとつの特色としている作品であるが、Steamでリリースする上では“無修正(100% uncensored)”で配信されるという。外部パッチの適応なども必要としない。同作はSteamにおける最初の無修正ゲームになるとのことだ。

【UPDATE2 2018/9/12 20:00】
補足として、本稿における無修正は「モザイクが無い」という文脈ではなく、Valveに「検閲/規制されない(100% uncensored)」という意味で用いている。ただし、今回配信が解禁されるタイトル(海外タイトル)のいくつかは、モザイク無しの無修正でもある。規制されていないことで、モザイク無し状態で配信可能になったという側面もある。一方で後述するように、国内向けに配信するには、モザイクを入れたバージョンが用意されることが予想できる。つまり、これまでSteamで配信することが難しかった「無規制のアダルトゲームの配信」が解禁され、それら(海外タイトル)の多くはモザイクが入らない。ただし、日本向けに展開するにはモザイクが入るだろう。そのように整理していただくとよいかと思われる。

『Negligee: Love Stories』

これまでSteamでは、乳頭の露出や性行為の描写を“メインコンテンツ”に据える作品は、配信が禁止されるか、もしくは全年齢版を配信しつつ、そこにValveが黙認する形で外部パッチにて成人向け表現を解禁する形式が普遍的であった。今年に入り、その外部パッチによる解禁を導入するタイトルが表現内容の変更を迫られるなど、Valveにとっての許容の基準が定まっていないことが議論を呼んだ。その後、Valveは荒らしと違法行為を除くすべてのコンテンツを容認することを発表しており、それを実現するためのフィルターの開発が進んでいることが報告されていたが、ついに性表現を含むアダルトゲームが配信されることが明らかになった。

配信が解禁された美少女ゲームは『Negligee: Love Stories』だけでなく、4か月以上差し止められていた『Shining Song Starnova』は、“全年齢版”が9月13日に配信される予定。また日本とアメリカ開発者が協働して取り組んだ“eroge”とされている『Meltys Quest』は本日実施された1.2アップデートによって、無修正版になったという。こちらもやはり、パッチをあてる必要はないとのこと。新作無修正ゲームが配信されるだけでなく、既存のゲームもアップデートにより無修正にすることが可能であるようだ。『Negligee: Love Stories』の販売元であるDharker StudiosがKotakuに語ったところによると、無修正アダルトゲームを配信する上では、コンテンツについても問題なく、手続きとしてただ必要な事項の記入を進めていくだけだったとのこと。際どい内容のコンテンツだったとしても、特別な手続きをする必要なく配信できるようだ。

Valveの公言どおり、アダルトゲームの配信が容認されるようになった一方で、これらのタイトルのSteamページにたどり着くまでのプロセスは、かなり複雑になってきている。たとえば、該当のSteamページのリンクを踏んだ場合、ページの閲覧をするためには、まずSteamへのログインが必要になる。ログインをしたのち、個人設定のフィルタリングの部分で「成人向けコンテンツ」の表示を許可し、さらに「Adult Only Sexual Content(成人向け性的コンテンツ )」の表示を許可している場合のみ、ストアページの警告画面が表示される。警告画面では、どのような表現が含まれるのか描写されており、このページ説明を確認すると、ようやく当該タイトルのSteamストアページが閲覧できるという流れだ。

つまるところ、Steam IDを持ち、その上で「個人設定」にて成人向けコンテンツを表示すると選択しており、警告ページを承認するという3段階のプロセスを経て、初めてストアページを確認することができる。一度ページを閲覧していれば、ログアウトしていてもアクセスできたりもするが、基本的にこの手続きを踏んでアクセスするという流れになる。デフォルトではストア検索からも除外されるようになっており、タイトル名で検索すると除外されたという告知が出るものの、単にあてもなくゲームを探している状態であれば、そうしたタイトルにめぐりあいづらくなっている。言い換えれば、この手順を把握していないユーザーは、なかなかこうした無修正ゲームを認識しづらい環境になっているだろう。

Valveは、無修正の成人向けタイトルを解禁にした一方で、フィルタリングを強化することでそれらのタイトルへたどり着くことを難しくしたわけだ。美少女ゲームを嗜む固定ユーザーは無修正のコンテンツを楽しむことができ、そうでないユーザーはタイトルが存在することも認識しづらい。売り手として新しい顧客を獲得するのは難しくなりそうではあるが、フィルタリングとしてはうまく機能しているといえる。性的コンテンツだけでなく、暴力的コンテンツも許容されることもあり、過激な表現を用いるタイトルが、フィルタリングを受けながらも増えていくのではないだろうか。

なお、Valveは先日の発表の際に、フィルタリングを進めてあらゆるコンテンツを容認することを示唆する一方で、Troll(荒らし)の取り締まりを強化するとしている。現在Steamでは「Hentai」のタイトルを含んでいる、セクシャルなパズルゲームが氾濫している。これらのタイトルには、著作権を侵害しているものが多く存在することも確認されている(関連記事)。「Hentai」ゲーム開発者にとって、セクシャル要素の解禁は“釣り”手段が増えることにもなる。フィルタリングの強化だけでなく、こうした荒らし対策が進んでいくことも望みたい。

【UPDATE 2018/9/12 14:30】
『Meltys Quest』を販売するRemtairyは、Steamにて同作の日本語版を別途発売する予定があることを発表した(もともと日本語版は別サイトで販売中)。この日本語版では、“モザイクあり”として配信されるという。国内を視野に入れたタイトルは、今後もモザイクありバージョンとして販売されるのかもしれない。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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