『LoL』新しく生まれ変わるヌヌ&ウィルンプが8月29日実装へ。大冒険へ旅立つ少年とイエティの新たなコンビネーション

『リーグ・オブ・レジェンド』を開発運営するRiot Gamesは、8月29日配信予定のパッチ8.17にてチャンピオンアップデート「ヌヌ&ウィルンプ」の実装すると告知した。『リーグ・オブ・レジェンド』のチャンピオンとしては古株の「ヌヌ」と「ウィルンプ」が、生まれ変わる。

『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』を開発運営するRiot Gamesは、8月29日予定のパッチ8.17にてチャンピオンアップデート「ヌヌ&ウィルンプ」の実装を告知した。雪と氷の地で歌を友とする少年「ヌヌ」と、相棒であるもふもふ毛皮のイエティ「ウィルンプ」が、世界を救うために新たなる冒険へと出発する。

 

ジャングラーの基礎から応用までを司る最古の一体

ヌヌの歴史は『LoL』のアルファローンチ時にまでさかのぼる。『LoL』がこの世に出た当初実装されていた、たった17体のチャンピオンのひとり、それがヌヌだったのだ。Riot Gamesはここ数年、古いチャンピオンの多くに対してコンセプトの実装面の難点を解決するリワークを施し続けており、ライズやケイルのようにリワークが繰り返されるキャラクターも存在している。一方でヌヌには10年近く大きな性能変更は施されていないため、コンセプトとスキルセットの優秀さが長らく証明され続けてきた稀有なキャラクターと言えよう。

シーズン2(2012年)の世界大会優勝チーム「Taipei Assassins」を記念して制作された「TPAヌヌ」。当時サポートとしてヌヌをプレイしたMiSTakE氏はFacebookにてTPAスキンにも適用されるアップデートを歓迎すると述べた

しかしいかにゲーム内で優秀なキャラクターであっても、時間が経過することによる生まれてしまう、ある種の「経年劣化」に耐えられるものは多くない。最近実装されたチャンピオンたちは、古いチャンピオンに比べるとスキル全体の強さが増しており、各スキル間の相互作用も練り込まれたものになっている。また10年近く前に作られたキャラクターモデルも最近のチャンピオンと比較して大きく見劣りするものであり、新しくスキンを制作しづらい要因ともなっていただろう。今年4月発表のチャンピオンロードマップでは、こういった現状は「うまく年を取れているとはまるで言えない」と表現されており、かくしてビジュアル・ストーリー・ゲームプレイの全てを一から作り直すフルリワークが施されることになった。

スキルで体力を回復しながらジャングルでのファームが可能なため、細かい操作を習得せずともジャングルの基本操作を身につけることができたヌヌ。他方で攻撃的な能力には欠けていたため、カウンタージャングルやガンクといった戦術・チームプレイ面での習熟が要求され続けるジャングラーでもあった。今回のアップデートでは優秀なコンセプトはそのままに、純粋なパワーアップを成し遂げている。ビジュアル・ストーリー面でも少年ヌヌに関する要素が大幅に拡充されたほか、イエティのウィルンプは「誰もが抱きしめたくなる」四本腕のぬいぐるみのような外見へと変更されている。

 

ヌヌ&ウィルンプの能力

ヌヌ&ウィルンプは近距離攻撃チャンピオンで、使用リソースは「マナ」、チャンピオン分類は壁役である「タンク」で小分類は戦闘中に味方を守る「ワーデン」。これらの特性はアップデート前と変わらない。新固有スキル「フレヨルドの呼び声」は旧Wのサポート能力を移したもので、敵チャンピオン・大型モンスター・建造物にダメージを与えると自分と付近の味方1体の攻撃速度が増加する。この効果が発動すると、ウィルンプの通常攻撃が範囲攻撃になるという新たな効果もついている。新Q「丸かじり」はモンスターや敵ユニットをかじってダメージを与えつつ体力を回復する短射程のスキルだが、今回のアップデートで以前はできなかった敵チャンピオンの「丸かじり」ができるようになった。これでとどめを刺した場合、ウィルンプが対象ユニットを飲み込んでしまうアニメーションもついており、見た目的にも非常に楽しいスキルとなっている。もちろん、ジャングル周回中に体力を維持するための重要スキルである面も健在だ。

新E「雪玉連射」もジャングル周回の鍵となる範囲攻撃スキルで、起動するとヌヌが雪玉を指定方向へと投げつける。最初の起動から一定時間以内に全部で3回使うことができるが、追加使用可能な猶予時間はあまり長くない。最初の投げつけモーションが終わったらすぐに2回目を使い、さらに3回目と続けて使用しないと有効に使うことができない点に注意したい。雪玉が当たった敵には「しもやけ」マークがつき、マーク済みの敵がウィルンプから一定範囲内にいればスネア(移動不能)を与える追加効果もある。新W「超特大の雪玉!」は旧Wが固有スキルへ移動したため、完全新規スキルとなっている。ウィルンプが前方に雪玉を転がしながら移動していき、雪玉が当たった敵や大型モンスターに範囲スタンを与えるという強力な行動妨害スキルだ。雪玉は転がしていくと次第に大きくなりスピードも乗ってくるが、方向転換など細かい操作にコツを要求される。こうした点は、サイオンのR「猪突猛進」を思わせる。再発動で特大雪玉を前方に発射することもでき、集団戦やレーンガンク時に役立つスキルとなるだろう。

新R「アブソリュート・ゼロ」はQと同様にほとんど変わっていないスキルで、発動すると周囲に強力なスロウ範囲を発生させ、詠唱が完了した瞬間に範囲内の敵に大きな魔法ダメージを与える。変更点は、詠唱中に身を護るためのシールドが張られるようになったくらいで、敵の視界外から使用した場合に位置を察知されないという長所も健在だ。総合的には旧性能とあまり変わっていないようにも見えるが、集団戦に影響を与える能力が大幅に増加している。昔のキャラクター瀬能だと「味方ADCにWを使って攻撃速度を上げたら、突っ込んでRする」という単調な戦闘パターンを強いられたが、新しいスキルセットで新Wや新固有スキルを活用したければ戦闘の組み立てをしっかり考える必要があるはずだ。Qが敵チャンピオンに使えるようになったため、戦闘中に体力を回復することができ、立ち続けられる能力が増しているのも改善点のひとつだろう。

アイテムビルドやルーン構成は大きく2パターンに分けられると思われる。すなわち「タンク」か「魔力ビルド」かである。タンクビルドであればシンダーハルク・ランデュインオーメンなどの防御アイテムをメインに買い込んで、ルーンはメインを不滅にして耐久力を増し、プレイスタイルはきわめてオーソドックスなサポートタンクが想定できる。魔力ビルドはアップデート発表と同時に公開された開発記事でも言及されており、ヌヌ&ウィルンプのスキルダメージに存在する魔力反映率を生かして、ダメージを与えることに主眼をおいたプレイスタイルになる。とはいえ敵の目の前に飛び込んでいく必要はあるので、ロッドオブエイジスやモレロノミコンといったいわゆる「タンキーAP」向けのアイテムを購入していくことが考えられる。この場合のルーンはダメージを増す目的でメインに魔道を選択したい。機動力が重要なのは変わっていないため、サブルーンには覇道を採用して追撃能力を高めていくのがいいだろう。

なお、『LoL』日本公式Twitterがアップロードしたティーザー動画は、2300RT以上と大反響を巻き起こした。この素晴らしいふたりが、サモナーズリフトで繰り広げる冒険は一体どんなものになるだろうか? 友情を軸に再構築されたヌヌとウィルンプの関係は、設定にも反映されている。アップデートされたキャラクター設定には無垢な少年が持つ希望がイエティを惹きつける様子が描かれている。リサンドラヴェル=コズナーといった彼らとかかわりを持つチャンピオンたちの設定も更新。氷の下にうごめく脅威とそれに対抗するフロストガードたちを描く物語「深淵の瞳」といった小説も数点追加されているので、ぜひ「ユニバース」をチェックしてほしい。

 

チャンピオンアップデートのゆくえ

ヌヌ&ウィルンプのアップデートは告知からPBEテストに至るまでおおむね大好評で迎えられている。しかし今年6月に行われたエイトロックスのアップデートについては未だに批判も多い。旧性能から大きくゲームプレイを変更した結果、問題点の解決には成功しプレイ人口が増える運びとはなったが、プレイヤー人口における割合としては少なかった、エイトロックスメインのファンが離れていく結果となってしまった。この教訓を踏まえて、今後のチャンピオンアップデートでは旧性能をなるべく維持するなど、コンセプトの近い実装を目指していく方向性になるようである。

今年は6月にエイトロックス、7月にアカリ、そして8月にヌヌとアップデートが矢継ぎ早にリリースされている。この背景には、10月の世界大会で使用されるパッチ環境が8.19を予定しているという事情もあるはずだ。とはいえ時期的に世界大会を目指す大きなアップデートはおそらくここで一区切りになるだろう。今後予定されているチャンピオンアップデートで最速のものとなる「エズリアル」は世界大会後のパッチで実装予定であり、その後に新チャンピオンの実装を予定していることも報告されている。

 

新スキン5種もリリース予定のパッチ8.17

「ヌヌ&ウィルンプ」のアップデートを目玉とするパッチ8.17実装のメンテナンスは、日本時間8月29日朝に予定されている。このパッチでは他にも新スキン5種がリリース予定で、西部劇のような世界観の「荒野」シリーズにルシアン・スレッシュ・アーゴットが追加される。

残り2種はイレリアとタロンについて、中国のフィクションジャンルのひとつ「仙侠」(道教風の世界で神・仙人・武人が登場する中華ファンタジー)よりインスパイアされた「不滅の旅路」シリーズのスキンが発売予定だ。アルファテスト中の実験的ゲームモード「ネクサスブリッツ」にも調整が入るとされている。ゲームプレイ面では、複数のチャンピオンに個別の強化が入るほか、攻撃力アップアイテムであるダスクブレードとストームレイザーの調整も行われる予定。この後、世界大会までは大規模な変更は少なくなっていくとされている。

Sawako Yamaguchi
Sawako Yamaguchi

雑食性のライトゲーマー。幼少の頃からテレビゲームに親しむが、プレイの腕前は下の下。一時期国内外のTRPGに親しんでいたこともあり、あらゆるゲームは人を楽しませるだけでなく、そのものが出発点となって人と人を結びつけ、新しい物語を作る力を持っていると信じている。2012年から始めた『League of Legends』について、個人ブログやTwitterにて日本語で情報発信を続けている。

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