『The Elder Scrolls』の料理を再現した公式レシピ本登場。『スカイリム』や『オブリビオン』のあの料理が現実のレシピに
『The Elder Scrolls』の料理を再現したレシピ本「The Elder Scrolls: The Official Cookbook」がAmazonで予約受付開始された。著者は『World of Warcraft』や『ゲーム・オブ・スローンズ』のレシピ本などで知られるChelsea Monroe-Cassel氏。本書は現在予約受付中で、発売予定日は2019年3月19日となっている。
著者のCassel氏は自主出版のレシピ本の世界では広く知られており、再現レシピの第一人者といっていい人物だ。2017年には著書「World of Warcraft: The Official Cookbook」で自主出版に送られる賞であるIndependent Publisher Book Awardsを受賞している。
本の表紙を見たかぎりでは、本書ではスカイリムやモロウィンドはじめ、タムリエル全土のレシピが紹介されているようだ。モロウィンドではネズミやマッドクラブの肉を食べていた記憶があるのだが“焼け焦げたスキーヴァーの皮”といったおなじみのネズミ料理なども、別の食材などを用いて再現するのだろうか。興味は尽きない。
発売前ということもあり、本の外観から読み取れる情報は極めて少ない。ということで、Amazonの商品紹介を見てみよう。紹介文には、次の一文が記されている。
“ノルドやボズマー、カジートのさまざまな料理に魅了されてください。”
筆者の脳裡に、一抹の不安がよぎった。
「おいおい、カジートの料理だって? それはただのキャットフードなんじゃ……」
おっといけない。危うくとんでもない人種差別をするところだった。カジートの手には肉球ではなく指があるので、料理も問題なくつくれるのだ。
Amazonによると、本書で紹介されているレシピは70を超えると紹介されている。例として挙げられたメニューの中には、スカイリムの定番料理である“アップルキャベツのシチュー”や“サンライト・スフレ”、“スイート・ロール”などが含まれる。このなかでもっとも有名な料理といえば、サンライト・スフレだろうか。サンライト・スフレは『The Elder Scrolls V: Skyrim』のクエスト“大惨事の原因”に登場する料理だ。ゲーム内の“美食家”と呼ばれるNPCが書き記したサイン入りのレシピ本「無類の味わい」のなかに、そのレシピが記載されている。プレイされた方の中には、その衝撃的なレシピを記憶している方もおられるだろう。以下に、そのゲーム内のレシピをご紹介しよう。
サンライト・スフレ(ゲーム内レシピ)
・牛のチーズ 70グラム
・バター 30グラム
・小麦粉 30グラム
・牛乳 255ミリリットル
・塩 少々
・コショウ 少々
・挽いたナツメグ 1カップ
なにがおかしいか、おわかりいただけただろうか?国によってさまざまだが、オーストラリアでは1カップは250ミリリットルなのだそうだ。1カップ200ミリリットルの日本と比較すると、海外では1カップの量が少し多いようだ。ちなみに上記レシピによると、牛乳が255ミリリットルとほぼ1カップである。そして、挽いたナツメグも1カップだ。タムリエルの1カップが何ミリリットルなのかは知らないが、サンライト・スフレは“ほぼナツメグの牛乳割り”だということが、ご理解いただけるだろう。
こちらはあくまでゲーム内のレシピであるが、レシピ本で紹介されているサンライト・スフレが万一、原作準拠であるとすると、かなり不味いと断言できる。著者のCassel氏は賞を受賞するほどの人物である。ゲーム内の“美食家”より、人間らしい味覚の持ち主のはず。さすがにナツメグを1カップ投入することはないだろう。
それではここからは、そんな彼女がドラゴンボーンの空腹を満たすために考案したレシピ本のメニューを見てみよう。
前述したように、本書のレシピはまだその多くが謎に包まれている。窺い知ることが出来るメニューは、サンプルとして公開されているページに記載された一品のみだ。その一品がSaltrice Porridge(ソルトライスのお粥)だ。
Saltriceは『The Elder Scrolls III: Morrowind』に登場するプランテーション農場で奴隷たちが栽培する輸出用の作物だ。見た目は稲に似ている。美味で栄養価が高く、疲労回復効果をもち、回復ポーションには欠かせない穀物だ。まれに野生にも存在する。本書が紹介するSaltrice Porridge(ソルトライスのお粥)のつくり方は以下のとおりだ。
ソルトライスのお粥
1,お米と水を鍋に入れ混ぜ合わせ、沸騰直前で止めます。蓋をして、ゆっくりことこと煮込むために温度を下げます。10~15分ほど、あるいは水分がなくなるまで調理をつづけましょう。
2,弱火にしながら、数回に分けて牛乳を加えます。お米が柔らかくなり、あなた好みな硬さに中身が濃くなるまで、5分ごとに牛乳を加えつづけます。
3,味見しつつ、ハチミツ、塩、バニラを入れてかき混ぜます。お好みの甘さに調整しながら、ハチミツ、バター、ドライフルーツ、ナッツ、シナモン、ナツメグ、またはヘビークリーム(乳脂肪の多いクリーム)などをトッピングしてお召し上がりください。
料理に詳しい方であればお判りと思うが、これは日本人が想像するお粥ではなく、ただのライスプディングである。プディングとはすなわちプリンのことなのだが、見た目からしてまったくプリンではない。お米を牛乳で甘く煮るあたり、日本人にはかなりハードルが高い食べ物といえるだろう。お好みでトッピングするナツメグは、もちろんたっぷり入れるのがタムリエル流と思われる。スカイリムで“美食家”を名乗りたければ1カップぐらい入れたいところだが、蛮勇に値する名声が得られるかは微妙なところだ。
いまのところ本書のメニューに含まれるかはわからないが、筆者が個人的に期待しているメニューは“ポタージュ・ル・マグニフィーク”だ。サンライト・スフレと同じく“美食家”によるレシピで、誰かを暗殺するときにはうってつけのメニューといえる。もちろん、自分で食べるときにはトッピングにジャリンの根を入れたりはしない(いうまでもなく、ジャリンの根は闇の一党が暗殺に用いる毒物である)。タムリエルより、ウェイストランドに興味があるという方は、ぜひ弊誌の過去記事「『Fallout』の料理を再現したレシピ本が登場、終末世界の味をご賞味あれ。先行公開中のあの定番料理のレシピをチェック」をご覧いただきたい。