『LoL』狭いマップでキルゲームを楽しみまくる新たなゲームモード「ネクサスブリッツ」テスト開始。 実験的ゲームモードの第一弾

『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』を開発運営するRiot Gamesは8月1日、実験的ゲームモード「ネクサスブリッツ」のアルファテストをライブサーバーで実施予定であることを告知した。ライブサーバーで、それも開発初期段階のコンテンツをテストするというのは「ネクサスブリッツ」が初めてとなる。

『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』を開発運営するRiot Gamesは8月1日、実験的ゲームモード「ネクサスブリッツ」のアルファテストをライブサーバーで実施予定であることを告知した。ライブサーバーで、それも開発初期段階のコンテンツをテストするというのは「ネクサスブリッツ」が初めてとなる。

 

サプライズと安定性、透明性とフィードバック

『LoL』における新規要素は公開テストサーバーであるPBE(Public Beta Environment)でテストされるのが通例で、バグ修正や細々なフィードバックを求めるためのテストが行われている。PBEでの変更内容は有志の手で内容が逐次発信されているため、最近は調整内容等に対するコミュニティの反応を調べるためにも活用されている。

継続的なアップデートでゲームバランスに手を入れ、新規コンテンツを追加し続ける『LoL』のようなオンラインゲームにおいて、第一印象でユーザーを引きつけるためのサプライズ公開と、安定性を得るための公開テストというのは、相反する存在だ。サプライズコンテンツの実装に関しては、ここ最近の『LoL』は着実な進歩を遂げている。今年5月初めに実装されたパッチ8.9では、PBEテストされていない新スキン「ビィーモ」のリリースがパッチメンテナンス日直前に告知された。また、ミッションに関してはPBEでのテストは全く行われない。技術の改善によって実現されたサプライズが、プレイヤーやコミュニティの豊かな体験を引き出しているのであれば、歓迎すべきことだ。

一方で、どうしても安定性が求められる要素は依然として存在している。特に大規模なチャンピオン関連変更や期間限定ゲームモードといったものは、ライブサーバーでいきなり解放すれば、世界中のプレイヤーが遊ぶことで、想定外の不具合が発生しかねない。バグや不具合修正のためのPBE公開テストは欠かせないが、いずれも「ベータテスト」であり、実装がほぼ確約された完成直前のコンテンツという取り扱いだ。

今回の「ネクサスブリッツ」のテストは実験的ゲームモードのアルファテストであり、通常のPBEでのテストとは取り扱いが全く異なっている。Riot社員のMeddler氏は7月25日の投稿で「プロトタイプ段階にある新規コンテンツをもっと広くプレイヤーにテストしてもらうようにする」と発言。初期段階からデータやフィードバック収集を行い、正しく楽しい新規コンテンツを実装することに意欲を見せている。実験的ゲームモード第一弾となる「ネクサスブリッツ」は告知によれば「長く続けられるものを想定しており、今後LoLに恒久的に追加される可能性もある」とされているが、一方で経過が芳しくなければボツになる可能性もあるとしている。

 

ネクサスブリッツ・ファーストインプレッション

そんな実験的ゲームモード「ネクサスブリッツ」は、8月1日から始まった8.16パッチサイクルのPBEで一足先にプレイすることができる。ゲームモード詳細告知によれば、キルゲームが発生しやすい狭いマップで、ランダム発生するイベントによって毎試合ちがった体験ができるという。筆者もさっそくPBEでお祭り騒ぎに飛び込んでみた。

キューを入れる際にはポジション選択が必要だ。このゲームモードでは「ジャングル2人+レーン3人」が標準的なチーム構成となっており、選択できるポジションはジャングル・レーン・どこでもの3種類となる。現在テスト中のバージョンでは、チャンピオンセレクトはブラインドピックで、ランク戦や競技シーンのようなバン&ピックシステムではない。

ネクサスブリッツのマップは、標準的なサモナーズリフトよりは狭く、ランダムミッドで使われているハウリングアビスよりは複雑な作りになっている。半円状の端に両チームのネクサスが位置し、円の下部に沿うように2本のレーンが広がっている。レーンの上側にはジャングルが存在し、決まった地点に中立モンスターが湧くようになっている。マップを上下に分断するように川が流れているが、レーン間の川中央に青バフ、ジャングル間の川中央に赤バフ、川が分岐する地点の上にリフトヘラルドが湧くようだ。

レーン担当をチョイスしてインキューするとすぐに対戦相手が見つかって試合が始まった。マップが狭く、戦場の霧で見えなくなる地点がレーンから近いため、レーン戦はサモナーズリフトよりも気を遣うように感じる。上下2本のレーンの中央にある川は茂みで区切られており、互いのレーンを積極的に移動して攻撃することもできる。ランダムイベント発生が近づくと、予告アナウンスが入る。ランダムイベントにはさまざまな種類があり、勝利条件を先に満たしたチームが勝利し、ボーナスを受け取ることができる。ほかにも連続キルを重ねるとチャンピオンが燃え上がってたくさんの能力値バフを得られるが、被ダメージが上がって倒されるリスクが上がり、倒された時の賞金額が上がるというシステムもある。

「バードルロイヤル:ジャガーノート」は、燃える輪の中で最後まで残ったチームが勝利となるイベント。徐々に縮小していく燃える輪の外に出てしまうと継続ダメージを受けてデッドしてしまうため、サバイバルシューターのパルスやストームを彷彿とさせるルールだ。ほかにも所持サモナースペル2つが強制的に雪玉に変更になり、敵に雪玉を当てて獲得したポイントを競い合う「スノーボールファイト」、オブジェクトとしてマップ状を歩き回る悪魔ティーモを倒す「戦利品ティーモ」、マップ上の指定ポイントを占拠防衛する「キング・オブ・ザ・ヒル」、レーンに出現したカート(ペイロード)を押し進めてタワーやインヒビターを一撃で破壊する「プッシュ・ザ・カート」などがある。イベントで勝利したチームには強力なバフなどが与えられる。

こちらはイベント勝利でベース内に設置される“おもしろシステム”のひとつ「チャンピオンカタパルト」。右クリックで乗り込んでマップ上の着弾点を指定すると、チャンピオンが射出されてその地点に着地する。タダでテレポートがもらえると思うと非常に強いが、飛んでいく最中にキャンセルができないので使い所が微妙に難しい。

カートは非常に強力で、このスクリーンショットでは一撃で耐久度満タンのインヒビターが壊されている。周囲に表示されている円内にチャンピオンが入ることで、カートが進行していく。

ネクサスブリッツの平均試合時間は13~15分で、20分には必ず終了する。なぜかというと……互いのネクサスがベースから歩き出し、マップ上で直接殴り合うからだ! 18分時点で必ず発生するこのイベント「サドンデス:ネクサスブリッツ」は、試合展開をダイナミックに締めくくるとともに、試合時間を無駄に延ばさない工夫となっている。

テンポよく進む「ネクサスブリッツ」の試合はとても楽しく、イベント内容もそれぞれが楽しいミニゲームに仕上がっており、筆者はついつい数試合続けて遊んでしまった。同時にマップの不案内さやジャングル内のオブジェクトの扱いにも困り、『LoL』というゲームの対人戦がこれまでいかに固定された環境で行われてきたかを思い知ることにもなった。

ここまで「ネクサスブリッツ」を実際に遊んでみた内容を紹介したが、このゲームモードはあくまで実験的であり、アルファテスト中のコンテンツであることに注意したい。使用されているグラフィックは仮のもので(既存のグラフィックが数多く転用されている)、ネクサスブリッツ固有のアイテムなどシステム面も今後変更される可能性が高い。とはい個人的にはえ非常に楽しいと感じたゲームモードなので、これまで試合時間の長さの面でプレイをためらっていた層にも大いにアピールできるだろう。今後開発が順調に進めばイベントの種類も増える見込みだ。

実験的ゲームモード「ネクサスブリッツ」は8月2日現在PBEでのテストプレイが可能。また8月15日実装を見込まれるパッチ8.16で、4週間にわたってライブサーバーでのテストプレイも可能になると告知されている。

Sawako Yamaguchi
Sawako Yamaguchi

雑食性のライトゲーマー。幼少の頃からテレビゲームに親しむが、プレイの腕前は下の下。一時期国内外のTRPGに親しんでいたこともあり、あらゆるゲームは人を楽しませるだけでなく、そのものが出発点となって人と人を結びつけ、新しい物語を作る力を持っていると信じている。2012年から始めた『League of Legends』について、個人ブログやTwitterにて日本語で情報発信を続けている。

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