『Portal 2』の大型Mod「Destroyed Aperture」が完成間近との報告。新たな冒険の幕開けに向けて、人気衰えぬ名作のオススメMod3つを紹介

『Portal 2』の大型コミュニティMod「Destroyed Aperture」の完成が間近に迫っている。今夏~今秋にはトレイラーを公開し、年内にはModを配信できる予定とのこと。本稿では、「Destroyed Aperture」の配信を待つ間プレイできる、『Portal 2』のオススメModを紹介する。

Mod製作者であるDayin Creations氏は711日、Valve Software(以下、Valve)が開発した『Portal 2』の大型Modである「Destroyed Aperture」の開発状況をModコミュニティサイトModDBにて報告した。ModDBによると、今夏~今秋にトレイラーを、2018年内に本Modをリリース予定とのことだ。

「Destroyed Aperture」の舞台は、植物の侵食によって腐敗が進んだ化学施設Aperture Science社。セントラルコアの影響により、外界との通信が遮断され、長い年数が経った。Facility 7と呼ばれる施設で目覚めたDavidは、荒廃が進んだ施設からの脱出を図り奮闘することになる。全5章構成のストーリー、20以上のマップ、30以上のパズルを収録。またThe Portable Button(詳細は現在のところ不明)と呼ばれる新要素も追加予定としている。

開発者は上述したModDBにて、本Modのマップは95%まで制作が完了していると語っており、順調な開発状況が伺える。またMod公式サイトでは、2015年の開発開始から現在までの制作時間を計測したカウンターが設置されており、その長い年月から、かなりの大型Modであることが予測される。本Modのさらなる詳細についてはこちらのFAQをチェックしてほしい。 製作者はまだ多くのディテイルを不透明にはしているが、夏後期に公開予定のトレイラーにて、さらなる驚きを提供すると約束している。

 

原作リスペクトと才気感じる非公式のスピンオフ群

『Portal 2』は、2007年にValveより発売された『Portal』の続編であり、2011年にリリースされたパズルFPSだ。2つの空間を繋ぐ青色と黄色のポータルを射出できるポータルガンを駆使し、パズルを解いていく。高低差、空間軸を利用した思考能力の試されるゲーム内容は、世界中のメディアから絶賛され、数多くのアワードを獲得。「空間を科学するゲーム」「ファースト・パーソン・サイエンス」などと呼ばれるようになった。そして、往年のシリーズファンに愛された世界観やコンセプトはそのままに、より練りこまれたストーリーライティング、さらにCo-op機能など新要素を追加したのが続編である『Portal 2』だ。

本作の発売から早7年が経過したが、今でも人気は衰えを知らない。より優れたゲーム体験をユーザーに提供するため、熱心なファンにより情熱の注がれたModが数多く登場している。そこで今回は、これまで公開されてきた『Portal 2』の大型Modのいくつかを紹介する。興味のある方はチェックしてみてはいかがだろうか。

 

時間を超越し、過去の自分と助け合う

Thinking with Time Machine」 はタイムマシンを使用した頭脳派パズルが楽しめる無料の大型Modだ。Valve公認の作品であり、以前こちらでもご紹介した(関連記事)。元々はModDBにて公開された作品であり、度重なるアップデートの末、Steamにて公式リリースに至っている。本作は、ポータルガンを使用した本編での空間思考に加え、時空を超越するタイムトラベル要素を追加した斬新な内容が特徴だ。左手に所持したタイムマシンデバイスを操作し、プレイヤーの行動を記録、再生させることが可能。現在の場所から離れた箇所にある位置にポータルを作成したり、過去と未来の2手に別れてキューブを運搬したりなど、過去の自分と協力しながらパズルを攻略するという、より複雑でエキセントリックなパズルを楽しむことができる。

 

縦横無尽に飛び回る。超アクション派のパズル

同じくValve公認の「Aperture Tag: The Paint Gun Testing Initiative」は、有料だがその分内容の濃いModだ。往年の謎の小部屋からスタートすることは変わらないが、1つ大きく違うのは、所持しているのがポータルガンならぬペイントガンである点。『Portal 2』本編にも登場した、バウンドするブルージェルとスピードが上がるオレンジジェルを照射することが可能だ。本Modでのパズルは、ポータルを作成し2つの空間を繋げ攻略する通常の方法と大きく異なる。トレイラーの映像でも確認できるように、ペインティングしながら縦横無尽に飛び回る必要があるのだ。本編に比べ、かなりスピーディーなアクションがプレイヤーに求められる。これは原作にさらなるアクション性を欲したMod製作者による開発陣に対してのささやかな反論なのだろうか。本編に慣れたプレイヤーも、新たに生まれ変わった操作性に困惑することだろう。筆者もプレイしたが、要求される操作がアクロバティック過ぎて、側にあった緑茶を肘で倒し机を緑一色にペインティングしてしまった。「パズルにはもっとアクション性が必要なんだよ」と思い悩むプレイヤーにはおすすめだ。

 

純粋なパズルをとことん追求

Portal Stories: Mel」はPrism Game Studiosが開発した大型無料Modだ。舞台は1952年のAperture science社。とある実験の被験者として参加した女性Melが、何らかの事件によりコールドスリープされた状態から目を覚ますシーンから始まる。Cave Johnsonと名乗る謎の人物の指示に従いながら、プロトタイプのポータルガンを手に、施設からの脱出を試みる。ゲーム内に登場するポータルガン、加重ボックス等は、レトロチックなデザインとなっており、初代『Portal』へのリスペクトを感じられる。制作には『Portal 2』内でプロポーズする「Marriage Proposal Project」のマップ制作したMod製作者達など、著名なメンバーが関わっているそうだ。ミリ単位の移動や高度な操作を要求されるシーンはなく、純粋にパズルを追求した丁寧な作りである本Mod。『Portal』シリーズクリアを前提とした難易度なので、本編で詰まった方は注意が必要かもしれない。ムービーシーン、前編フルボイス、豊富なBGMなど、本編と比べても見劣りしない完成度を誇るこのModが、無料というから驚きだ。

以上、人間に放置された排他的な研究施設が舞台である『Portal 2』だからこそ際立つ、より洗練された世界観を追求した大型Modをいくつかご紹介した。他にもPORTAL2 MODに、ここでは紹介できなかったMod数多く掲載されているので、興味がある方はこちらも合わせてチェックしてみてほしい。

Yu Naganeo
Yu Naganeo

野生のグラフィックデザイナー。ゲームをプレイすることを「ゲームを食べる」と言う。

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