ソニー幹部が、PS4のクロスプレイ対応についてアクションを起こすことを示唆。『フォートナイト』をきっかけに再熱した議論に反応

『フォートナイト』

スペイン・バルセロナで開催中のゲーム業界関係者向けイベントGamelab 2018にて、米国ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)のトップであり、同社ワールドワイド・スタジオのチェアマンを務めるShawn Layden氏が、PlayStation 4とそのほかのコンソールとの間におけるクロスプラットフォームプレイ(以下、クロスプレイ)についてコメントした。

まず経緯を簡単に振り返ろう。異なるプラットフォームのプレイヤーがオンラインを介して一緒にプレイできるクロスプレイは、ソニーを筆頭にPCとの間ではかねてより推し進められてきたが、『ロケットリーグ』を皮切りにコンソール間のクロスプレイが本格的に導入され始める。たとえば、Nintendo Switch版とXbox One版のプレイヤーが試合をするといった形だ。しかし、ソニーだけはこの輪に加わらず、PC版とのクロスプレイのみを認めるという従来からの路線を維持している。

そして、『フォートナイト バトルロイヤル』のNintendo Switch版のリリースをきっかけに、コミュニティやメディアでのクロスプレイ議論が再燃することとなる。クロスプレイ対応の同作でも、PS4版はPC/モバイル版とだけ接続可能となっているが、同時にゲームの進行状況の記録も、ほかのコンソール版とは共有できない仕様となっている。これは各プラットフォームのアカウントをEpic Gamesアカウントにリンクさせることで実現している機能だが、PS4のアカウントだけはほかのコンソールのアカウントと同時にリンクさせることができない。さらに一度PS4のアカウントをリンクさせると、解除したとしてもそのEpic Gamesアカウントでは、ほかのコンソールのアカウントとリンクできないという制限が設けられている。この不便な仕様には批判の声が高まることとなった(関連記事)。

Shawn Layden氏

こうした状況を受けてソニーは、PlayStationコミュニティが巨大な規模を誇ることや、PS4版『フォートナイト』はPC/Mac/モバイルとのクロスプレイに対応している旨の声明を発表したが、上述した不満の声に直接回答する内容ではなかった。そこでGamelab 2018にて海外メディアEurogamerから、ソニーはプレイヤーの声を聞いていないのではないかと問われたShawn Layden氏は、「そうした声には耳を傾けており、さまざまな可能性について検討しているが、これはひとつのタイトルだけでなく多くのタイトルに影響を与える話だ」と述べる。そして、「コミュニティに理解し受け入れてもらえることができ、同時に我々のビジネスに反することのない解決策を見出すことができると確信している」と、今後何らかの対応をおこなう可能性を示唆した。

ソニーがほかのコンソールとのクロスプレイを認めない背景について、かつてソニー傘下にあったDaybreak Game Companyの元CEO John Smedley氏が、「ソニーは、Xboxで購入されたコンテンツが、PlayStationにて利用されることを好まないからだ」と、ソニーの内部事情を明かしていた(Eurogamer)。該当ツイートはその後削除され、Smedley氏はあくまで自身がソニーに所属していた時代の話で『フォートナイト』のことを指して言ったわけではないとコメントしており、これが現時点においてもソニーが抱えている懸念なのかどうかは不明だが、奇しくもShawn Layden氏は上述の回答の中で、同社のビジネス面をキーポイントのひとつに挙げている。

クロスプレイというと、オンライン越しに一緒にプレイできることがまず挙げられるが、前述した『フォートナイト』が採用するアカウント連携によるクロスプログレッションとの併用が、プレイヤーからすると理想的な姿だ。しかしJohn Smedley氏が述べたように、プレイヤーは自らのプラットフォームにいるにもかかわらず、収益源のひとつがほかのプラットフォームに流れてしまう可能性を考えると、ビジネス面での懸念は確かにある。もちろん、これはPCとの間でも起こりうることだが、直接競合するコンソールの中でユーザー数で大きなリードを持つソニーにとっては、クロスプレイはあえてリスクを冒す領域ではないという判断なのだろう。そんな中で言及されたShawn Layden氏の“解決策”とはどのようなものになるのか。コミュニティからの注目が集まっている。