PC版『ファイナルファンタジーXV』ではどのようなModが生まれているのか。開発側のMod対応を待たずして制作は進む

PC版『ファイナルファンタジーXV』の目玉要素のひとつに、Modのサポートがあげられる。プレイヤーが自由にゲーム内データをカスタマイズするという行為を、開発側が公認している。まだこのサポートは正式に実施されていないが、それでもMod制作はすでに始まっているのだ。

今月3月7日に、PC向けにも発売された『ファイナルファンタジーXV』。Steam/Origin/Windows 10/Humble StoreなどさまざまなPCプラットフォームで、『FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION』として発売されている。

PC版『ファイナルファンタジーXV』では、ゲーム本編に加えて、先行して発売されたPS4/Xbox One版向けに配信された6つのダウンロードコンテンツ、武器などの特典アイテム、そして新規マップ「王都インソムニア」やファーストパーソンモードなどを含む「ロイヤルパック」がまとめて収録される。さらに、NVIDIAの全面協力を得て最新のグラフィック表現が実装され、ネイティブ4KやHDR10もサポートされている。

これらの要素に加えて注目を集めたのは、Modのサポートだ。スクウェア・エニックスの開発チームはPC版『ファイナルファンタジーXV』のModサポートをSteamニュースにて告知しており、すでにサボテンダーModや『Half-Life』とのコラボModをSteam ワークショップにて公開している。開発チームは、Modツールを用意することでPC版『ファイナルファンタジーXV』にて自由にModを制作できる環境を用意すると明かしている。ただ、そのModツールは準備でき次第公開となっており、現時点ではサポートされているという状態には至っていない。そうした状況にも関わらず、多くの職人がMod制作を進めているのだ。

海外プレイヤーからも「なぜこれを用意したんだ?」と不思議がられているサボテンダーMod。インパクトは強烈だ

彼らが活動している拠点はNexus mods。海外の大手Modデータベースサイトだ。すでに30ものModが投稿されている。それでは、どのようなModが投稿されており人気を獲得しているのだろうか。いくつかの作品をピックアップしていきたい。

30ある作品の中で、もっともダウンロードされているのが「Radio Tuner」。このModは、冒険する際に長い時間にわたり乗るであろうレガリアの、乗車中のBGMを好きなものに変えてしまおうというものだ。大まかなやり方としては、Modをインストールし、当該のフォルダにmp3ファイルを設置するだけ。自分の好きなBGMで世界を駆け巡るという体験は、派手さはないものの、プレイヤーの求めていたものなのだろう。また同Modには『ファイナルファンタジーXV』の音楽をファイルで出力するという逆の機能もある。ちなみに音楽関連のModとしては、ゲーム本編のシナリオ展開がシリアスであるにも関わらず、音楽が明るいといった雰囲気の一貫性の欠如を調整する「Darker Tone Music」が存在する。BGMを差し替えるだけであるが、より暗い雰囲気を味わいたい方は、導入してみるといいかもしれない。

次いで高い人気を誇るのは、ノクティスの毛や瞳の色、服の色を変えてしまうというMod「Change Noctis Hair Eyes Shirt Outfit color」。色変えという派手さのないジャンルの作品であるが、手軽にさまざまな部位の色を変えられるとあり、人気を博している。また数は少ないものの、安定した人気を誇るのが「ReShade」系のModだ。ReShadeは、DirectXをいじり、グラフィックの光や色合いを変更しフィルターをかけるツールで、ほかの3Dゲームにも用いられている。ダウンロードランキング上位に入る「Final Flash」と「Umbra」はReShade系のModである。美しいビジュアルを、自分好みにアレンジしたいプレイヤーに人気なのだろう。

「Change Noctis Hair Eyes Shirt Outfit color」

そのほか安定した人気を誇るのがリテクスチャ系のMod。『ファイナルファンタジーXV』のグラフィックは総じて質は高いものの、衣服のテクスチャには一部やや粗いものもあるとされている。それらを高解像度のものに置き換えるというのが、リテクスチャのねらいだ。置き換えられる衣服のテクスチャは、パーティーメンバーの私服から、アーデンのスカーフやフードまで幅広い。これらのModを導入すれば、拡大しても満足できる高品質なテクスチャでメンバーの衣服が楽しめるだろう。

ちなみにアーデンについてMod界隈でもやたらと人気であり、このほかにもアーデンにまつわるModがいくつか制作されている。余談であるが、多くのファンが気になっているであろう、キャラクターの衣服を剥いでしまう「ヌードMod」については、Nexus modを含めたModコミュニティにて探してみたが、ダウンロードして導入できる段階のものは見つけられなかった。テクスチャやモデルを大きく変更するといったものは現在リリースされていないので、このあたりは公式サポート以降に出てくるかもしれない。

「Outfit Retextures」

『ファイナルファンタジーXV』のModは、発売から3週間近くが経過し、研究が進みつつあるここ1週間にてさらに熱を帯びてきている。Modのサポート予定が公言されているにも関わらずModが生まれ続けているのは、『ファイナルファンタジーXV』の人気の高さを物語っているといえる。Modが正式サポートされれば、Mod人気はさらに拡大していくと予想される。

スクウェア・エニックスの担当者は前述のSteamニュースにて『ファイナルファンタジーXV』のMod対応について「これまでスクウェア・エニックスはModをこれほどサポートしたことはないので、大きな一歩になるでしょう。」と語りつつ、「クリエイティブなModを作ること、そして導入することを楽しんでほしい。」とサポートする姿勢を強調している。このModにまつわる取り組みはまだまだ序盤であるが、すでに静かながら盛り上がりの予兆を見せているだろう。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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