功徳を積めるありがたい仏教系STG『摩尼遊戯TOKOYO』Steamで発売。表と裏の世界を切り替え、さまよえる魂を「よしよし」と鎮める
スタジオ常世は3月26日、『摩尼遊戯TOKOYO』をSteamにて発売した。価格は1000円で、4月2日までは10パーセントオフの900円で購入可能。本作は、回すとお経を唱えるのと同じ功徳があるという仏具「摩尼車(マニぐるま)」のように、ゲームをプレイすることで徳を積むというコンセプトで制作された2D縦スクロール・シューティングゲームだ。日本仏教の世界観から影響を受けており、プレイヤーは「さまよえる魂」を鎮めながら、果ての地である「常世」を目指す。
ゲームは縦に並んだサイズの異なる2つの画面内で展開する。本作はNewニンテンドー3DS版の発売も予定されており、その画面仕様に合わせているものと思われる。基本的には縦長のゲーム画面を2つに分割しているイメージだが、ゲーム中は自機は下画面の中でしか移動できない。ちなみに、絢爛豪華な黄金のフレームは変更不可である。
ゲームではチュートリアルの後、10個の質問が投げかけられる。たとえば「いままで嘘をついたことが」という問いに対して、「ある」か「ある(嘘)」のどちらかを、自身に照らして二択で回答する。その回答の内容によって読経何回分の功徳かが算出され、その回数がゲームでのHPの初期値となる仕組みだ。本作では魂を鎮める(敵を倒す)ごとに功徳が溜まっていき(HPが増加し)、魂が発する言葉(敵の弾)や障害物に触れると逆に功徳は減る。ゼロになればゲームオーバーだ。
プレイヤーはお寺で修行する僧侶で、本堂で座禅を組み瞑想するとゲーム開始だ。ステージは仏教の考えである「六道」になぞらえた「天道・人間道・畜生道・地獄道・餓鬼道・修羅道」の6種類があり、好みの順で選択しプレイできる。僧侶は木魚型のマシンに乗り、弾を撃つ代わりに「よしよし」という言葉を撃ちだせる。さまよえる魂たちを「よしよし」して鎮め(撃ち落として倒し)功徳を高める(HPを稼ぐ)のだ。なお、ショットボタンを押し続けると連射。ショット中は移動スピードがやや落ちる。またステージ内では「ナム(南無)のお札」を入手できる。これはいわゆるボムで、3枚までストックできる。
6つのステージにはそれぞれ特徴があり、見た目や敵配置だけでなく一部のゲームシステムも異なる。「天道」はもっとも基本的なステージだが、たとえば「人間道」では魂を救うごとにお金が貯まり、ショットもお金に変化。お金を貯め込むに従って、派手にバラ撒くようになる。また「修羅道」では、一定区間ごとにスクロールスピードが上がっていく。そして「餓鬼道」では徐々に減る空腹ゲージが現れ、鎮めた魂から頂くお菓子やご飯を食べ続けなければならない。
それぞれのステージには「表輪廻」と「裏輪廻」の二つの世界があり、それぞれを任意に切り替えられることも本作の特徴である。ステージを進む中では「む」と呼ばれる黒い壁が現れ、衝突すればHPが一気に削られる。自機の位置取りだけでは回避できない場合もあり、そういう場合に表と裏の世界を切り替えるのだ。世界がガラリと変わり、「む」の配置が変わる。切羽詰まってから切り替えると、その先に「む」が待っている可能性があるので、安全な場所をあらかじめ確認しておくといいだろう。ただし、「地獄道」ステージでは自由に切り替えられず、画面上に表示される質問への回答次第でどちらかに切り替わる仕組みとなっている。また、自機が動物になる「畜生道」では、世界を切り替えるたびに異なる動物に変わる。
各ステージの目標は、最後に待ち受けている観音様をお参りして(ボスを倒して)、悟りに近づくことである。観音様は「如意輪観音・准胝観音・馬頭観音・聖観音・千手観音・十一面観音」の6体。それぞれ巨大な身体からユニークな攻撃を仕掛けてくる。観音様は表輪廻と裏輪廻の2つのライフゲージを持っているため、世界を切り替えながら戦うのだ。そして、すべての観音様をお参りして六道輪廻を抜け出すと、「む」の向こう側である常世にたどり着けるという。
日本仏教をテーマにするこの『摩尼遊戯TOKOYO』は、ゲーム内で見られる言葉の一つひとつに考えを巡らせるべき意味があるようで、奥深さが感じられるゲームである。とはいえ、スタジオ常世の代表であるイラストレーター/アーティストのたかくらかずき氏が描き出すユニークな世界観は楽しげな雰囲気で、小難しいことを考えずにプレイすることができるだろう。ニンテンドー3DS風の2画面スタイルは、率直に言ってプレイしやすいとはいえず、また派手な配色もシューティングゲームとして好みの分かれる所かもしれないが、唯一無二の体験を提供している。前述した通り、今後はNewニンテンドー3DS版が2018年に発売予定となっており、またニンテンドースイッチ版についても検討しているという。