日本のアイドルを裏側まで描く管理シミュレーション『Idol Manager』とは、どのようなゲームなのか。新たに公開された情報をおさらい

ロシアのインディースタジオGlitchPitchは、2018年に『Idol Manager(アイドルマネージャー)』を発売する。本作は、光当たる部分だけでなく影の部分まで描くという意欲的なコンセプトが注目を集めたが、ゲームシステムについては謎を残す。先日明かされた新情報を踏まえてゲーム内容をおさらいしたい。

ロシアのインディースタジオGlitchPitchは、2018年に『Idol Manager(アイドルマネージャー)』を発売する。日本語にも対応予定。『Idol Manager』は日本のアイドル界を舞台とした「アイドル管理シミュレーション」だ。対応プラットフォームはPC/Mac/Linux。本作は、アイドルと信頼関係を築き高みを目指す青春型の作品とは異なり、利益を得るためにアイドルを徹底して管理するというのがコンセプトとなる。成長や成功といった輝かしい部分も描かれる一方で、いじめや嫉妬、スキャンダルや嫌がらせといった影の要素もまた色濃く描かれるという(関連記事)。

本作は、光当たる部分だけでなく影の部分まで描くという意欲的なコンセプトが注目を集めたが、ゲームシステムについては謎を残す。実はKickstarter開始の告知にあわせてリードライターであるJustin Kuiper氏が本作の基本情報を紹介する動画を投稿した。弊誌が以前訊いた情報とあわせてあらためて、ゲームのシステムを紹介したい。

『Idol Manager』では、大筋のストーリーのようなものが存在しており、ランダムイベントやキャラクターごとのサブストーリーが絡んでくるという形式が採用されている。日々のタスクをこなしながらアイドルを成長させ、ストーリーを進展させていく。基本的な流れは、アイドルにアクティビティを割り当てその進行を見守るというもの。このルーチンにさまざまなイベントが絡んでくる。たとえば事務所では時間限定でアクティビティ中のアイドルの頭の上にポップアップが表示される。これをチェックすると、いくつかリワードが得られるという。逆に見逃すことで不幸なイベントが発生するようだ。

事務所の設計もプレイヤーに委ねられる。ステータスを向上させるダンススタジオ、CDを録るためのレコーディングスタジオ、基礎体力を向上させるジム、問題発生を抑制したり経営を最適化するオフィスなど。カフェやシアターでは収益をあげられる。それぞれのスタジオには設置費だけでなく維持費も存在するので、手持ちの資金と相談して賢く配置する必要があるだろう。スタッフの配置によりこれらのパフォーマンスがアップ。スタッフそれぞれにパラメータやアビリティが異なるので、彼らの選択も重要だ。

アイドルは基本的にオーディションによって集める。コストのかかる大規模オーディションほどよい才能が集まる。集まったアイドルをドローすることで、ランダムにアイドルがスカウトできるのだ。それぞれのアイドルにはパラメータ値と複数のアビリティが設定されている。アビリティはアイドルそれぞれで異なり、たとえばスキャンダルに強いといったものから、母性が強く後輩とグループを組むとパフォーマンスを発揮するというもの、逆にソロ活動により真価を見せるというものまで幅広い。アビリティはネガティブなものもあり、イラつかせる性質があるので同じ活動をしている他メンバーのエネルギーを著しく吸い取るというアビリティや、やたらと後ろ向きで心配性のアビリティを持っていれば他メンバーと仲良くするイベントによりスタミナを多く消耗するというものも。

アイドルには体力と精神力ゲージが存在し、体力はいずれのアクティビティをおこなうと減少する。体力は時間経過により自然回復していくという。精神力は適性のないアクティビティを強要sたりランダムイベントなどにより消耗する。体力が0になっても精神力を消費することで活動を続けられるが、精神力は自然回復の量が遅いという。体力が低いと怪我に合うリスクが高く、精神力が低いと鬱に陥る。プレイヤーは精神力が低下中のアイドルと“個人的な関係”を持つことにより精神力を大きく回復させることができるが、スキャンダルのリスクがはらむとのこと。

「昨日の写真撮影会でとったセクシーポーズはひどく不快でした。もう二度とやりたくありません……。」

アイドル活動は、CDの発売やライブ、テレビ/インターネット番組の出演がメインとなる。インターネット番組の出演は小規模であるものの根強いファンを集めるために必要だという。テレビ番組の出演は、大きくファン層を拡大するがそうしたファンはすぐに興味を失う特性もある。拡大した後には、基本的に何か手を打たなければいけないようだ。ライブは利益を生むかどうかは規模によるという点で不確かであるが、名声を生むなどアイドルを支える基盤の活動になるという。

CDの発売においてはジャンルから歌詞の傾向、振り付けまで多岐にわたる点まで指定可能。好き放題カスタムすることもできるが、どのような層が買うかを意識しなければ利益を生むことは難しい。またグループのフォーメーションを指定することもできる。事務所への貢献著しいアイドルをセンターにすることが無難であるとのこと。CDが売れれば利益だけでなく名声値も上昇し個人活動にも良い影響を及ぼす。どのような客層に受けているかというステータスはグラフにて表示される。そのほかにもCM広告や写真集の出版によっても利益を確保できるが、その規模は人気に比例するようだ。全般的にすべてのデータはグラフや統計にて確認できるようなので、そうした数字とのにらめっこも楽しくなりそうだ。ゲーム内に用意されているSNSにてファンの要望を確認することもできるという。

事務所としての基盤ができたら、スペシャルイベントを開催しよう。スペシャルイベントは、コストもかかるがリワードも大きいライブであるならば、会場の設定やセットリストの設定などを緻密におこなう必要もある。こうしたスペシャルイベントはほかのライブなどとは異なり進行経過を見守るシステムとなっている。イベント進行によってトラブルが発生するので、ランダムに手に入るドローカードなどを駆使して大一番の催しを成功させるのだ。もちろん、スペシャルイベントには“総選挙”も含まれる。

芸能プロダクションを運営する上では、ポリシーの設定も不可欠だ。どのようなルールを作り、どのようにSNSを使わせるか。トラブルの未然防止はポリシーにより決まる。たとえば、ファンとのやりとりを許可させればファンは喜ぶが嫌がらせも同様に増えてしまうし、スキャンダルのリスクも増える。スキャンダルへの対処は本作の重要なテーマだ。スキャンダルは基本的にはファンを怒らせるものであるが、スキャンダルを利用することも可能とのこと。無計画なスキャンダル発生は、オファーやファン減少につながるが、計画的な炎上として注目度を集めることも。なおスキャンダル値はスタッフやアイドルの解雇によりコントロールするものであるという。

アイドルとプレイヤーが関係すると前述したが、アイドル同士にも関係性が存在している。アイドル同士の関係はグループ活動や共に行動するアクティビティの多さ、そしてランダムイベントにより生まれ発展していく。関係性はアイドルのパフォーマンスも向上させることも、低下させるものもある。イベントによりこれらのアイドルの関係性は恋愛模様となることもあるようだ。

コンセプトの話題性が先行しがちな『Idol Manager』であるが、あくまでゲームとして楽しめるように制作されているようだ。9000ドルを資金を募るKickstarterキャンペーンは、近日中に開始される予定となっている。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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