Steamのゲームが遊べる携帯型デバイス「SMACH Z」予約開始。RyzenベースのSoC搭載で『ダークソウル3』『ウィッチャー3』も動く
Steamのゲームが遊べる携帯型デバイス「SMACH Z」の予約が公式サイトにて開始された。構成はカスタムすることができ、価格は通常版とされるRAM 4GB、ストレージ64GB、カメラなしの最小構成で税別8万910円から。「SMACH Z PRO」と呼ばれるRAM 8GB、ストレージ128GB、5MPカメラ搭載モデルだと税別10万7550円となる。構成は細かく変えることができるほか、RAMやストレージは自分自身で増設することも可能とのこと。なおWindows 10を搭載する際には、別途でライセンスキーを各自購入する必要がある。出荷は2018年Q4を予定しており、おそらくうまくいって来年の今頃になるだろう。
「SMACH Z」は、SMACH Zチームが開発する携帯型デバイスだ。Steamが遊べる携帯機というアピールをしているが、Valveの公認デバイスというわけではない。「Steam Boy」というコードネームで開発されていたが一度頓挫。紆余曲折を経てIndiegogoとKickstarterでのクラウドファンディングキャンペーンを成功させ、開発されている。昨年まではスペックに対して懸念されていた「SMACH Z」であるが、チームはスペックの刷新を告知。先日にはAMDの組み込み型SoCであるRyzen Embedded V1605Bの搭載が発表された。不安視されていた性能が大きく引き上げられた(関連記事)。
こうしたスペックの恩恵もあり、『ダークソウル3』をミディアム/720p設定で30fpsにて動かせたり、『グランド・セフト・オートV』『ウィッチャー3 ワイルドハント』も同様にノーマルセッティング/720pにて30fpsで動く。『ロケットリーグ』はハイセッティング/1080pを30fps以上で動作させることが可能で、『オーバーウォッチ』はローセッティングにすれば60fpsで動かすことができるという。『リーグ・オブ・レジェンド』『Dota 2』『シヴィライゼーションVI』と見下ろし型のタイトルは1080p/高フレームレートで遊ぶことが可能。この「SMACH Z」がどの構成で動いているかは明かされておらず疑問が残る部分もあるが、3Dグラフィックの表現には一定の期待が持てる。
そのほか詳細なスペックとしては、画面は6インチで解像度は1920×1080まで対応のタッチスクリーンを搭載。3200MAhリチウムイオンバッテリーを採用し、45分のチャージで2時間から7時間まで遊ぶことができる。用意されているポートはUSB-C、USB-A、Micro USB、ディスプレイポート、SDカード、オーディオミニジャック。SDカードは2TBまで対応する。ネットワークはIEEE 802.11nおよびBluetooth 4.0を備えている。
野心はスペックだけでなく、異なる点でもアピールしている。たとえば、両端部分に付いているトラックパッドは十字キーやスティックに付け替えることができる。そのほか、ストリーミングによるPCやPS4のプレイにも対応するといい、テレビへの出力も可能。エミュレーターのプレイにも対応するようだ。こうした幅広いカスタマイズ性も「SMACH Z」の特徴のひとつとなる。シェルを合わせて買えばカラーバリエーションも変えられる。そのほか周辺機器も合わせて販売されているので、気になる方はストアページをチェックしてほしい。
ただ、こうした野心の裏に見え隠れする弱気さが気になる方はいるだろう。出荷が2018年Q4と1年ほど先なのはともかく、ストアでは「今なら10%引きで購入可能。予約はキャンセル可能です。個数限定品なのでお早めに!」と“とりあえず予約させたい”意思が見え隠れする。開発凍結された過去があるほか、延期を繰り返しているだけに、そもそも発売させられるのかという製品化への根本的な疑問も拭いきれない。発売時期もしれっと2018年Q4となっているが、「SMACH Z」はつい最近まで5月の出荷が予定されていたのだ。9万円は決して安いといえる額ではない。「SMACH Z」は夢あふれるマシンであるが、こうした経緯やリスクを十分に理解してから、予約購入してほしい。