『スーパーマリオ64』完全クリアに必要な“Aボタンを押す回数の理論値”が27回へと短縮。「パンチの加速」により新境地
『スーパーマリオ64』にて、スターを120枚取りクリアする上での“Aボタンを押す回数の理論値”が27回へと短縮された。以前までの理論値は28回。「かいぞくの いりえ」でのいわのはしらへひとっとび」のジャンプなしのスター取得が今回の短縮へとつながったことになる。
今回の研究は、『スーパーマリオ64』を長年調査し続けるpannenkoek2012氏を筆頭に続けられている「ABC(A Button Challenge)ラン」によるもの。実機ではなく、エミュレーターやツールを使うTAS(Tool-Assisted Superplay)と呼ばれる手法で進められている。内容は単純で、『スーパーマリオ64』にてスターを120枚集めるには、何回Aボタンを押す必要があるのかという理論値を調べている。
ルールに関してはやや複雑で、Aボタンを半分プレスすればスターを取得できる場合は1回ではなく0.5回という記録がなされる。そのほか細かいルールは多く存在するものの、「いかにAボタンを押さず、完全クリアできるか」というのが主な趣旨だ。メニュー画面やUIを入力する場面も、スタートボタンやBボタンを代用することにより、極力Aボタンを押さずに進行することができる。100枚コインを集めるのも、水中操作もAボタンを押さずに進められている。ただし、縦方向への移動が多いステージ「チックタックロック」については一部5回のAボタン押しを要するコースもある。各ステージ・コースのクリア方法を知りたい方は、氏のプレイリストを見るといいだろう。
*Aボタンを一回押していた頃のチャレンジ
今回記録が短縮されたのは、入江のステージ「かいぞくの いりえ」のコース「いわのはしらへひとっとび」。これまではスターの部分に到達するにはスピードが足りず、柱の頂点にぶら下がった後、Aボタンを押してジャンプすることが必要であった。柱に対して垂直移動すれば勢いはつけられたが、必要なスピードは「150」。使用する柱にて生み出せる速度は「100」となっており、速度を保存しても勢いが足りない状況。しかし他プレイヤーの調査により、パンチによる加速を使えば「150」ものスピードを生み出せることが判明。この方法を使うことで、ジャンプをせずにスターを取得できるようになった流れだ。これで小さくも大きな1回のジャンプの短縮に成功したのだ。
pannenkoek2012氏は取得不可能なコインの発見や多岐にわたる研究で名を馳せている。弊誌では過去に氏へのインタビューもおこなっている。Aボタンを押す回数の理論値調査については、「ただ楽しいからやっている」と記述している(Googleドキュメント)。制限をつけることで、ゲームのメカニクスの深みがさらに見られるという主張だ。氏の尽きることのない『スーパーマリオ64』への情熱が存在する限り、こうした研究は続けられていくことに疑いはない。
ちなみに、TASではなく人の操作による記録としては、ジャンプの回数を46回に抑えてクリアしたプレイヤーも存在する(関連記事)。特殊なチャレンジであるが、挑戦し続けるプレイヤーは一定存在し、世の中広しといったところだろう。