ネズミアクションRPG『Ghost of a Tale』Steamにて正式リリース。動物だけの中世の世界で小さなネズミが旅をする、日本語対応は後日
SeithCGは3月14日、早期アクセス販売を続けていた『Ghost of a Tale』をSteamにて正式リリースした。価格は2570円。海外ではXbox One版も早期アクセスに当たるGame Previewとして販売されているが、こちらの正式リリースは後日。PS4版の発売とともに、2018年内予定となっている。本作は、中世をモチーフにした、動物だけが暮らすファンタジー世界を舞台にする3DアクションRPGだ。
『Ghost of a Tale』の主人公は、小さなネズミの吟遊詩人「Tilo」。とある罪により投獄された彼は、愛する妻「Merra」と離ればなれになってしまった。暗い牢獄にいたTiloはある日、支給されたパンの下から「私を探しなさい」と書かれた謎の手紙を発見する。そして、手紙の下には牢獄の鍵が隠されていた。この手紙の送り主は一体誰なのか、行方知れずとなったMerraについて何か知っているのだろうか。Tiloは脱獄を決意し、手紙の送り主を探すことにする。
この世界には、かつて謎のエメラルドグリーンの炎によって多くの土地が破壊されたという忌まわしき歴史がある。炎に立ち向かった動物たちが魂を奪われ操り人形にされていく中、ネズミの王国がその軍隊によって炎を鎮めることに成功したという。Tiloは旅をする中でさまざまな動物に出会うが、ほとんどがネズミであることは、そういった過去に由来するようだ。
牢獄のある洞窟内には、Tiloよりも大きな身体の看守ネズミが巡回している。吟遊詩人であるTiloは戦いは得意でないため、敵に対してはステルスプレイが大きな部分を占める。敵の頭の上には警戒メーターが表示されており、Tiloの足音を耳にするとゲージが上がっていき、満タンになるとTiloに気付いて追ってくる。もちろん直接目視されると、一気に満タンの赤色表示に変わる。そして何か別の物音を聞いた場合は、怪しいところを確認しにやってくるという仕組みだ。プレイヤーはこの警戒メーターに注意しながら、看守ネズミの目を盗み行動する。ある場面では、寝ている看守ネズミから鍵を入手する必要もあり、そんな場合は抜き足差し足でゆっくり接近するのだ。もし気付かれてしまった場合は、ダッシュで一目散に逃げよう。
マップの中には、木箱や桶、戸棚など、中に隠れて敵をやり過ごすことができる場所がある。何か物を拾って投げ、敵を音で誘導するあいだ身を隠すといった戦略にも活かせるだろう。なお、こういった場所に隠れている間にはクイックセーブが可能だ。また、中からアイテムを入手できることもある。アイテムはインベントリ画面で管理でき、道具・服・食料・書籍・鍵・その他の6項目に分かれている。道具にはたとえば暗い場所で役立つランタンなどがあり、服は文字どおりTiloの装備だ。装備は耳から足まで6項目あり、装備した服によってスタミナの回復速度やダッシュ速度、静音性などTiloのステータスが増減する。装備を変えるとTiloの見た目も変わるので、着せ替えを楽しむのもいいだろう。
食料は体力の回復に必要なもので、マップ内のあらゆるところで入手できる。言い換えると、ネズミであるためあらゆるものを食べる。そのためパンなどだけではなく、捨てられたリンゴの芯や壁に生えているキノコ、畑に植わっている野菜、また足元を歩いている虫なども食料として確保できる。体力ゲージはスタミナゲージと共有になっており、連続してダッシュできる時間は残り体力次第となる。前述したようにTiloは戦いが得意でないため、敵の追跡を振り切り警戒を解くためにはダッシュは重要。そのためにも体力には常に気を配りたい。
旅を進める中で出会うのは敵だけではなく、助けになってくれたり、Merraの行方に関する手がかりをくれる者もいる。会話パートでは複数の選択肢から受け答えを選ぶ形になっており、時にクエストを請け負うこともある。たとえば、独房に繋がれた海賊カエルに酒を飲みたいと言われ看守ネズミの酒を盗んだり、商売道具のハンマーを盗まれたという鍛冶屋ネズミのために、盗賊ネズミからハンマーを取り返したり。こういったクエストをこなし、見返りをもらいながら物語を進めていくのだ。
この『Ghost of a Tale』のゲームプレイは、およそ8〜10時間ほどのボリュームになるという。価格なりの比較的コンパクトな作品ではあるが、ステルス寄りのアクションRPGとして丁寧に作られていることがうかがえる。そしてなにより、濃密に描かれた動物だけが暮らす中世の世界観が見所である。主人公のネズミTiloの見た目や動きも、非常にリアルでありながらコミカルさも兼ね備えており魅力的である。
本作を手がけたSeithCGの代表Lionel Gallat氏は、以前はアニメ映画「シュレック」などで知られるDreamWorksに勤めるアニメーターだっただそうで、こだわり抜かれた本作の世界観も納得である。ただ、ゲーム開発は初めてにもかかわらず、アートワークやコーディングなどおよそ9割の作業をたった一人でおこなったというのだから驚きだ。Indiegogoでのクラウドファンディングの成功から正式リリースまで5年かかったが、Steamレビューの評価も非常に良く、さぞ報われたことだろう。
なお、本作は現時点では日本語に対応していないが、後日対応予定とのこと。会話パートなど文字を読む場面も多く、物語が重要な要素でもあるので、ぜひ早期の対応を期待したい。