ゲーム配信者の12歳少年宅に、虚偽通報(Swatting)により警察が押し掛ける。突然の登録者数大幅増加がきっかけか
ゲームを巡るトラブルによって、無関係の人物が「Swatting(スワッティング)」の被害に遭い、不幸にも射殺されてしまったという事件について以前お伝えした(関連記事)。Swattingとは、犯罪行為などがおこなわれている、あるいは予告する虚偽の緊急通報をおこない、他人の家や企業、公共施設などに警察部隊を出動させる悪戯行為のことだ。アメリカなど海外ではたびたび発生しており、先週また新たなSwattingが実行された。被害者はYouTubeでゲーム配信をおこなっている、わずか12歳の少年だ。海外メディアABCやKotakuなどが報じている。
今回Swatting被害を受けた少年の名はPeter Varady君。彼はRolly ranchersというアカウント名でYouTubeにてゲーム配信をおこなっている。ある日彼は、『Fortnite』を配信している際に、YouTuberのCizzorz氏とマッチングして共にプレイする機会を得た。Cizzorz氏は登録者数86万人という人気配信者で、一方のPeter君は1000人にも満たない、まだまだ駆け出しである。
そして、プレイ中にPeter君の精力的な配信活動に感心したCizzorz氏は、自らの視聴者にPeter君の方の配信に参加するよう呼びかけた。すると、Peter君の視聴者数は一気に跳ね上がり、寄付金を送る視聴者も次々に現れた。突然の出来事に混乱したのか、Peter君は「こんなの受け取る資格はないよ」と涙声で訴えるが、Cizzorz氏は「学校の前にも後にも、多くの時間を注ぎ込んできたんだろう。君にはその資格があるよ」と語りかける。その後、Peter君の登録者数は伸び続け、それまでの100倍以上にもなった。これだけなら良い話で終わったのだが、直後に事件は起きた。
先週の日曜日、Peter君の家に警察と救急隊員が突然押しかけてきた。何者かが、Peter君と母親が自殺しようとしていると緊急通報をおこなったのだ。Peter君は当時のことを、これまでで一番恐ろしかった瞬間だったと振り返っている。Swattingというと、武装した特殊部隊(SWAT)や警察が突入してくるイメージがあるかもしれない。実際そういったケースも多々あり、対応を誤れば撃たれてしまう可能性があるのは冒頭で述べたとおり。それと比べれば、ある意味マシな方だったのかもしれないが、まったく身に覚えのないことで警察がやってくれば、やはり不安な気持ちになるだろう。
Peter君がなにより恐ろしいと感じたのは、知らない誰かが自分の住所を知っているという事実だった。Cizzorz氏の計らいでYouTubeの登録者数が急激に伸びていく中、Peter君は「いずれSwattingされるかもよ」というコメントを目にしたという。Swattingはゲームに関連してのみおこなわれるわけではないが、著名な配信者がターゲットになる例は多い。Peter君は、そのコメントについてジョークだろうと真に受けなかったが、実際に起こってしまった。Peter君は、またSwattingされるのではないか、今度は撃たれたりするのではないかという恐怖を感じたという。
In 24 Hours we helped a kid go from 400 subscribers on YouTube to over 87,000…I was just told that someone Swatted him tonight on his livestream. I feel so awful. There are some terrible ppl in this world. The kid is only 12 years old. I hope whoever did it, rots in a cell.
— Cizzorz (@cizzorz) February 19, 2018
人気YouTuberであるCizzorz氏と出会い、YouTubeの登録者数が大幅に増加した直後の出来事であったが、それがきっかけだったのかは、まだ捜査中で犯人が捕まっていないため断定はできない。Swattingは対象の住所さえ分かれば、誰であれ簡単に実行できてしまう悪戯であるからだ。今回の事件で恐ろしい思いをしたPeter君だが、ゲームの配信は続けていくことを決意しており、「もしまた誰かが僕の家にSwattingしたとしても、もう気にしないよ」と語っている。Swattingはそう頻繁に発生するわけではないだろうが、欧米の著名配信者は、これくらいの覚悟を持っていないと活動を続けられないのかもしれない。