Steamでの昨年12月のVAC BANアカウント数は、過去最高の60万超にのぼることが明らかに。『CS:GO』の基本プレイ無料化が原因か

 

Valveが提供している自動チート検知システム「Valve Anti-Cheat(VAC)」によってBANされたアカウント数が、2018年12月に大幅な増加を記録していたことが明らかになった。SteamユーザーのNors3氏が報告している。SteamのデータをトラッキングしているSteam Databaseによると、昨年12月にVAC BANされた総アカウント数は約60万9000。近年は、月によって増減はあるもののおおむね10万台で推移していたが、その5〜6倍に急増した計算になり、月間のBAN数として過去最高となった。

VACは、『Dota 2』や『Team Fortress 2』などのValve製タイトルのほか、『Call of Duty』シリーズや『バイオハザード』シリーズ『ARK: Survival Evolved』などのサードパーティタイトルでも幅広く利用されている。ただ、先月BANアカウント数が急増したもっとも大きな要因としては、『Counter-Strike: Global Offensive』(以下、CS:GO)が有力視されている。

Valveは昨年12月6日、『CS:GO』を基本プレイ無料化し、同時にバトルロイヤルモード「Danger Zone」を追加している(関連記事)。本作は今なお非常に多くのプレイヤーベースを抱えているが、このところじわじわとプレイヤー数が減少しており、2017年1月から2018年11月までの同時接続プレイヤー数のピークの推移を見てみると、当初の半分程度まで落ち込む月もあった。しかし、基本プレイ無料化された昨年12月には、減少分をほぼ帳消しにするほどのプレイヤー数増加を記録している(Steam Charts)。もともと人気のある作品に流行りのバトルロイヤルモードが追加され、さらに無料でプレイできるとなれば、“新規に本作を取得”するプレイヤーが急増することは想像に難くない。となると、自ずとチートを使用しようというプレイヤーが紛れ込む可能性も高くなるだろう。

実際、『CS:GO』のSteamレビューやRedditなどのコミュニティでは、基本プレイ無料化直後からチーターで溢れている旨の報告および不評レビューの投稿が相次いでいる。チーターが存在するのはDanger Zone内でも同様のようで、エイムボットやESPなどを含む本作のチートツールを販売する業者の中には、Danger Zoneで利用できることを売り文句にしているものが確認されている。こうした状況を受けて、ValveがVACによる対応に動いたのではないだろうか。

冒頭で、昨年12月にVAC BANされたアカウント数が60万超と述べたが、これは月間のトータルの数字であり、1回にBANされたアカウント数としては7万前後と、従来と比べて特別多いわけではない。ただ、これまではこの規模のBANは半年に1回あるかないかだったが、昨年12月に限っては、12月12日からほぼ4日おきに繰り返し実行されており、月間の延べアカウント数として過去最高を記録するに至った。『CS:GO』だけが原因だとは断言できないものの、Valveが異例の対応をもって継続的取り組んでいることをうかがわせる。ただそれでも、本作では未だチーターの蔓延が報告されており、Valveのチーターとの戦いは年を跨いでも終わることはなさそうだ。