『LoL』はいよいよ2018プレシーズンに突入。新ルーン簡略ガイドと今後の見通し

2018プレシーズンの目玉は『LoL』史上最大となる「ルーンの再構築」で、操作キャラクターのステータス等を調整できるプレゲームシステムが根幹から変更されている。さっそく新ルーンの基本と、プレシーズン開始2週間弱が経過した中で見出されたビルドなどを見ていこう。

ドラマティックな結果で幕を閉じた世界大会の余韻に浸る間もなく、11月8日より「プレシーズン」へと突入した『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』。プレシーズンとは例年12~1月より開始される新競技シーズンを見据え、ゲームに大きな変更が行われる時期だ。2018プレシーズンの目玉は『LoL』史上最大となる「ルーンの再構築」で、操作キャラクターのステータス等を調整できるプレゲームシステムが根幹から変更されている。さっそく新ルーンの基本と、プレシーズン開始2週間弱が経過した中で見出されたビルドなどを見ていこう。

 

ルーンの基本システム

今回のプレシーズンに実施された「ルーンの再構築」は、従来のルーンおよびマスタリーを統合・アップデートした内容となっている。旧来のシステムは合計30スロットのルーンと、30ポイントのマスタリーポイントを割り振ってチャンピオンの能力を強化するシステムとなっていた。新たなシステムでは5つの異なる性格を持った「パス」からメインパス・サブパスを1つずつ選択し、メインパスからはプレイスタイルを変えるほど強力な「キーストーン」を1つとルーンを3つ、サブパスからルーンを2つ選択する方式に変更された。スロットの数は60から7へと大幅に絞られたが、代わりに1つ1つの効果は非常に強力かつユニークなものとなり、選択の影響が大きくなっている。能力値の底上げである程度の効果が保証されていた旧ルーンとちがい、新ルーンでは「各チャンピオンとの相性の良さ」が存在することに注意してほしい。相性の良いルーンでプレイすれば、チャンピオンの長所を大きく引き出すことができる。

新ルーンはクライアント上部のプロフィール内にあるコレクションから閲覧・編集できる。ページの上にマウスカーソルを載せるとルーン構成がわかるようになっていて便利だ。

新ルーンにおいては、チャンピオンに影響を与えるシステムとは別に、もう一つ大きな変更が行われている。それはルーンへのアクセスを完全にオープンかつ無料にしたことだ。以前のシステムは、各プレイヤーが持つ「サモナーレベル」に応じてルーンのスロットとマスタリーのポイントが1つずつ増えていく方式となっていた。全てのスロットとポイントを得るためにはサモナーレベルを30まで上げる必要があり、『LoL』を始めたばかりのプレイヤーはサモナーレベル30のプレイヤーと比べた時にチャンピオンの能力で劣るという問題を抱えていたのだ。新たなルーンのシステムはサモナーレベル1のプレイヤーもすべてのルーンを使用することが可能であり、すべてのプレイヤーがプレイ時間に関係なく均等な条件でゲームに参加できるようになった。

 

プリセットページ解説

新たなルーンのシステムでは、チャンピオンの特性に合わせてさまざまな組み合わせを試すことができるが、プリセットページとして5種類のルーンページが提供されている。

天啓:時の超越者
天啓:解放の魔導書/ビスケットデリバリー/先行投資/宇宙の叡智
不屈:超成長/アイアンスキン

天啓のパスは、サモナースペルやゴールド獲得ペースといったゲームの根幹に介入する能力を持っている。「時の超越者」はビスケットデリバリーや先行投資で相手よりもゴールドの獲得とアイテム購入を早く行い、ゲームへの影響力を増していくのが狙いとなっている。状況によって解放の魔導書でサモナースペルを入れ替えるのも良い。序盤はキルレーンを作るためにイグナイトを採用し、後半には敵アサシンやADCのダメージを抑えるためのエグゾーストに差し替えるというような使い方ができる。ダメージを与える能力は他のパスに劣るので、ダメージ以外の強みを持ったサポートチャンピオン向けのセットだ。
相性の良いチャンピオン:ブリッツクランク、スレッシュ

魔道:破滅の災い
魔道:秘儀の彗星/マナフローバンド/至高/強まる嵐
覇道:目玉コレクター/執拗な賞金首狩り

魔道のパスは物理・魔法を問わずスキルを強化したりフォローする能力が多く、メイジ以外にスキルの使用頻度が高いADCとの相性も良い。「破滅の災い」は秘儀の彗星でスキルにさらに追撃を重ねていくダメージ重視のルーンセットだ。マナフローバンドはスキルを使う際のマナ消費を支え、至高と強まる嵐はゲーム終盤に大幅なステータス強化をもたらしてくれる。サブパスのルーンはいずれもキルやアシストが増えることで効果も増大していくので、積極的に戦闘を起こしていっても良いだろう。秘儀の彗星は「場所」に向けて飛んでいくために回避できるという点がポイントだ。強力なスローやスタンといった移動を妨害する効果のあるスキルと絡めて確実に当てる工夫が欲しい。
相性の良いチャンピオン:アニビア、ベイガー

栄華:完璧
栄華:プレスアタック/凱旋/レジェンド:迅速/最期の慈悲
魔道:追い風/強まる嵐

栄華のパスは、通常攻撃を中心に据えたチャンピオンの使用を第一に考えたパスだ。サブに選んでも効果を発揮するシーンが多いのも良く、適するチャンピオンが多い。「完璧」はプレスアタックを主軸として通常攻撃でダメージを重ねていくADCのほとんどで機能するルーンページだ。サブパスで選択されている追い風は移動速度を攻撃力・魔力に変換できるので、加速できるスキルを持ったチャンピオンならさらに有効活用できるだろう。
相性の良いチャンピオン:アッシュ、シヴィア

覇道:処刑人
覇道:電撃/追い打ち/ゴーストポロ/強欲な賞金首狩り
栄華:凱旋/最期の慈悲

覇道のパスは、敵に襲い掛かり一気にダメージを与えるチャンピオンとよくマッチするパスだ。電撃はスキル・通常攻撃の種類を問わないので、アサシンクラスのチャンピオンの多くが活用できるはずだ。追い打ちは相手を捕まえるために持っている行動阻害スキルを先に使っておけば確実に追加ダメージを発生させることができる。ゴーストポロは自動的に起動してしまう点は難点だが、視界確保に一役買ってくれるだろう。相手を倒すことを狙いたい、火力の出るジャングル向けのプリセットページだ。
相性の良いチャンピオン:カ=ジックス、シャコ

不滅:難攻不落
不滅:不死者の握撃/気迫/アイアンスキン/超成長
魔道:魔除けのオーブ/追火

不屈のパスは、その名の通りタフさが長所となるチャンピオンのために用意されたパスだ。いわゆるタンク・タンクサポート・ジャガーノート向けのルーンが揃っており、「難攻不落」はその中でもトップレーンで殴り合いを行うチャンピオン向けのルーンを選択している。通常攻撃を前提とする不死者の握撃や追火で相手にダメージを与え続けたい。またテレポートを使った直後は気迫の効果で敵からのスローの影響を受けづらくなっている点を利用して、敵のもろいバックラインに飛び込もう。
相性の良いチャンピオン:チョ=ガス、トランドル

 

注目されているチャンピオンたち

チャンピオンセレクト時のルーンページ切り替えは従来と変わらないが、構成ルーンが表示されるようになっている。すぐ左の編集アイコンをクリックすれば、その場での編集も可能なので活用してほしい。

導入された新ルーンが一部のチャンピオンと素晴らしい相性のよさを発揮して、一気に使用数が増えたケースも存在している。ここでは新たな力を得て7.22パッチ期間中に華々しく活躍しているチャンピオンたちをポジションごとにピックアップする。

トップレーン

ガングプランク(天啓+魔道)
天啓:ねこばば/ビスケットデリバリー/先行投資/宇宙の叡智
魔道:アルティメットハット/強まる嵐

天啓のキーストーンの中でも群を抜いて注目株であるねこばばを中心に据えたルーンで活躍しているのがガングプランクだ。「偽りの発砲」による攻撃は一発でねこばばの効果を起動できるので、どんどんアイテムやゴールドを入手できる。そこで得たゴールドの有利を装備に変換し、必要ならば借金してでも強力なアイテムを買って戦闘で有利に立つという戦い方となる。残りのルーンはアルティメットスキルである一斉砲撃をいかに短い間隔で使えるようにするかを重視しての選択だ。

シンジド(不滅+魔道)
不屈:アフターショック/気迫/アイアンスキン/息継ぎ
魔道:アルティメットハット/追い風

トップレーンで敵に回すと厄介なことは以前から知られていたシンジドだが、新ルーンでもその猛威は健在だ。息継ぎの導入により以前よりもレーンに残りやすくなっており、彼の特徴でもある速さを支えるスリップストリームと狂人のポーションの移動速度増加は追い風により魔力へと変換される。また、集団戦の際はすくい投げからのアフターショックで耐久力も確保できる。気迫はテレポートからの突入時にも、危機に陥ってフラッシュを使用しての逃げの際にも心強い効果を発揮するだろう。

ジャングル

カ=ジックス(覇道+栄華)
覇道:電撃/サドンインパクト/目玉コレクター/執拗な賞金首狩り
栄華:凱旋/最期の慈悲

現在ジャングルで最も危険なハンターといえばカ=ジックスがその筆頭だ。犠牲者に飛びかかって一気にスキルを叩き込む動きは、電撃・サドンインパクト・最後の慈悲との相性が非常に良い。そしてキルやアシストを重ねれば重ねるほどに目玉コレクターが攻撃力もしくは魔力を増強し、執拗な賞金首狩りからの移動速度増加も相まって、その脅威は一層大きなものになるのだ。従来から瞬間的なダメージとステルス性が強みのチャンピオンだったが、今回のルーンによって一気に飛躍したチャンピオンの一体と言えるだろう。

トリスターナ(栄華+魔道)
栄華:プレスアタック/凱旋/レジェンド:迅速/最期の慈悲
魔道:英気集中/水走り

カ=ジックスがかつての勢いを取り戻して暴れるならば、韓国プロ選手の手によって新たなジャングルのハンターとして名乗りをあげているのがこのトリスターナだ。ヨードルグレネードの仕組みとプレスアタックが完全にかみ合っており、グレネードのダメージを増加させるための通常攻撃がプレスアタックのカウントと同時に行えるのだ。そのため無防備状態になった相手に増加したグレネードの爆発を叩き込むことができる。さらにロケットジャンプによる背後からの強襲、バスターショットによるディスエンゲージやタワー下に逃げた敵を追い出す動き、通常攻撃の強力さに起因するタワー破壊の速さといった点で、新たなジャングルの選択として注目されている。

ミッドレーン

マルザハール(魔道+天啓)
魔道:エアリー召喚/アルティメットハット/追い風/水走り
天啓:魔法の靴/宇宙の叡智

世界大会決勝での活躍の記憶も新しいマルザハールも、新しいルーンによって大いに活躍している。キーストーン選択としては、単純なダメージなら秘儀の彗星の方が高いのだが、マルザハールはアルティメット以外に強力な足止め手段が無いために彗星を当てることが難しい。そのため確実に命中するエアリー召喚が選択される。残りのルーンは移動力を強化してサイドレーンに移動し、ネザーグラスプで相手を捕まえる回数を増やすことに特化したルーンを選択している。まずは強力なプッシュ能力でミッドレーンを押し込み、サイドレーンへ移動したらネザーグラスプで相手を捕捉・撃破。味方と連携してサイドレーンの支配権を握ろう。

ゼラス(魔道+覇道)
魔道:秘儀の彗星/マナフローバンド/至高/追火
覇道:目玉コレクター/執拗な賞金首狩り

マルザハールが左右への移動を重視するなら、ゼラスは強力な遠距離攻撃スキルでミッドレーンを支配するタイプの選択だ。マルザハールとちがってデストラクションアイやショックオーブといった移動妨害スキルを持っているため、問題なく彗星を使うことができる。従来は火力こそ強力なもののすぐにマナ切れを起こすという弱点があったが、現在はマナフローバンドの存在によりこの点をフォローできているのが強みだ。残りのルーンは魔力を増加させる点を主眼に選択されている。強力なスキルで相手を攻め立て、体力を削ることで選択肢を潰していくのが理想的な動きとなる。

ADC

エズリアル(天啓+魔道)
天啓:ねこばば/ビスケットデリバリー/先行投資/宇宙の叡智
魔道:マナフローバンド/追火

ガングプランクの項目でも触れたが、天啓のキーストーンで最も注目されているねこばばを使用し、かつ勝率も非常に高いのがこのエズリアルだ。ミスティックショットを当てればねこばばが発動すること、そしてねこばばで手に入れたアイテムがソーサリーエリクサーのような魔力強化アイテムであっても恩恵を得られる点で、ガングプランクよりも好相性となっている。スキルのダメージに魔力が反映されるので、何をもらっても強くなるという点でさらに強力な組み合わせなのだ。アマチュア大会でもバンされるほどになりつつある彼を是非とも体験してみてほしい。

ヴァルス(栄華+覇道)
栄華:プレスアタック/凱旋/レジェンド:迅速/最期の慈悲
覇道:血の味わい/強欲な賞金首狩り

ADC全般で広く使用されているプレスアタックだが、このキーストーンとチャンピオンの基本的な動きがマッチしている例としてはヴァルスの名を挙げたい。通常攻撃によって枯死の呪いを最大3個までスタックさせ、他のスキルを当てることで追加ダメージを与えることができる。ここにプレスアタックの追加効果である無防備状態を重ねることができれば、爆発的なダメージを発生させて敵チャンピオンを粉砕できるというわけだ。

サポート

レオナ(不滅+天啓)
不屈:アフターショック/気迫/心身調整/息継ぎ
天啓:ビスケットデリバリー/宇宙の叡智

世界大会ノックアウトステージで活躍し、その後のパッチでアーデントセンサーが弱体化したことで一気にのし上がってきたのがレオナだ。強力な行動妨害能力を持っている彼女とアフターショックの相性は抜群で、対峙した相手に常にプレッシャーを与えることができる。他のルーンはレーンでの耐久性をアップさせるものや、アルティメットスキルであるソーラーフレアの回転率を上げるための選択となっている。

ソラカ(魔道+不滅)
魔道:エアリー召喚/マナフローバンド/追い風/追火
不屈:生命の泉/生気付与

新しいルーンの恩恵を大きく受け取っているチャンピオンの一人にソラカをくわえても良いだろう。彼女は回復・攻撃のスキル双方を備えていることからエアリー召喚で得られる恩恵が非常に大きい。また、星のささやきと星の静寂はいずれも生命の泉によるマークを付けることができる。さらには救済の足音で上昇した移動速度を追い風で魔力に変換することすら可能だ。アーデントセンサーこそ大幅に弱体化したものの、新しいルーンは彼女のスキルと多くのシナジーを見せている。

 

他にも新要素が盛り沢山のプレシーズン

7.23で実装見込みの新チャンピオン「ゾーイ」。ゲーム内で動く姿からは元気いっぱいでいたずら好きな少女であることがうかがえるが……チャンピオン設定もぜひ一読されたい。

このプレシーズンの目玉である新ルーンシステムについては、今年5月の予定発表以来多くの公式情報が発信されてきた。サモナーレベルの上限撤廃や、ゲーム内通貨IPの廃止といった他の変更点も要チェックだ。また11月28日夕方までの期間限定でオープン中のブルーエッセンスストアでは、IPの廃止にともなって莫大なBEを抱えることになったベテランプレイヤー向けの高額コンテンツが購入できるようになっている。

何年もプレイしてきたベテランプレイヤーのみならず、システムの根幹に手が入ったこのタイミングこそ、『LoL』を新しく遊ぶにはうってつけの時期だ。世界大会決勝前夜祭コンサート中にティーザーが発表された新チャンピオン「超常の遊び、ゾーイ」も現在PBEでテスト中であり、次パッチである7.23での実装が見込まれている。敵を眠らせたり、サモナースペルを盗んで使ったり、2点をつなぐポータルを瞬間的に行き来したりといった、今までにないユニークな能力を数多く備えているゾーイ。さらには毎年恒例のホリデーイベント等の気配も漂っている。年明け1月16日の2018シーズン開幕まで、新要素満載のカオスをぜひ楽しんでほしい。

 

[執筆協力:ユラガワ]

Sawako Yamaguchi
Sawako Yamaguchi

雑食性のライトゲーマー。幼少の頃からテレビゲームに親しむが、プレイの腕前は下の下。一時期国内外のTRPGに親しんでいたこともあり、あらゆるゲームは人を楽しませるだけでなく、そのものが出発点となって人と人を結びつけ、新しい物語を作る力を持っていると信じている。2012年から始めた『League of Legends』について、個人ブログやTwitterにて日本語で情報発信を続けている。

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