米任天堂、20本のニンテンドースイッチ向けインディータイトルを正式発表。先行発売とコンソール独占路線で独自色強める

米任天堂は本日8月31日に、ニンテンドースイッチ向けインディーゲームを紹介するインターネットプログラム「Nindies Showcase Summer 2017」を放映した。取り上げられるソフトは、単なる移植ではなく、他コンソールよりも先行して発売するものやコンソール機独占の形態をとっているものが多い。

ニンテンドー・オブ・アメリカは本日8月31日に、ニンテンドースイッチ向けインディーゲームを紹介するインターネットプログラム「Nindies Showcase Summer 2017」を放映した。

今回の放送は、春にも開催し数多くのタイトルのリリースを告知した「Nindies Showcase」
とは異なり、ひとつひとつのソフトを掘り下げる内容になっている。取り上げられるソフトも、単なる移植ではなく、他コンソールよりも先行して発売するものやコンソール機独占(コンソール機ではニンテンドースイッチのみのリリース)形態をとっているものが多い。今回放送で紹介されたタイトルをもう一度おさらいしていこう。なお、すでに幾度も報じられている『SteamWorld Dig 2』と『Nine Parchments』の紹介は割愛する。「Nindies Showcase」で紹介されたタイトルの多くは、のちに国内発売されることが告知されているので、国内ユーザーにもこれらのタイトルを遊ぶチャンスはおおいにあるだろう。

最初に登場したのは『Super Meat Boy Forever』だ。大ヒットした横スクロール型“死にゲー”2Dアクションの続編となる。ゲームとしては、2個のボタンを押しながらキャラクターが自動で進行する、いわゆるランニングゲームを採用している。ランニングゲームでありながら『Super Meat Boy』らしい刺激あふれるプレイが楽しめるという。ステージは「自動生成」ではなく「動的構築」により生成されていくとのこと。『Super Meat Boy Forever』はニンテンドースイッチだけでなく、PlayStation 4、Xbox One、Steam、iOS、Androidでもリリース予定だ。

『Shovel Knight King of Cards』は『Shovel Knight: Treasure Trove』の最後を飾る追加コンテンツ。プレイヤーはKing Knightとなり、新たな4つの世界と30以上の新コースを探索する。発売は2018年で価格は9.99ドル。『Shovel Knight: Treasure Trove』所有者は無料アップデートで入手できるとのこと。こちらもニンテンドースイッチだけでなく、他コンソールでも発売される。その次に紹介されたのは『Mom Hid My Game(ママにゲーム隠された)』。モバイルで人気を博した脱出ゲームがニンテンドースイッチでリリースされる。すでに国内向けにはNewニンテンドー3DS向けに移植されている。ニンテンドースイッチ版の国内展開については開発会社であるハップの続報を待ちたい。

次に紹介されたのは、『Golf Story』。こちらはニンテンドースイッチ独占タイトルとして開発が進められている。同作は以前弊誌でも紹介をした、ゴルフとRPGを組み合わせたタイトルだ。ゴルフを通じてプレイヤーが成長する物語が描かれる。キャラクターを成長させるために、雪山や海辺などを探索したり、ゴルフだけでなくフリスビーやドローンを操作する場面も存在する。携帯機向け『マリオゴルフGB』シリーズのエッセンスも感じさせる作品だ。発売は2017年9月となる。

『Floor Kids』は「ブレイクダンス」をテーマとしたダンスバトルゲームだ。フリースタイルのダンスを繰り出し他キャラクターと戦うという。ダンスはリズムや静止などを組み合わせて独自のものを編み出していくようだ。シングルプレイのほか、マルチプレイにも対応するとのこと。2017年末のニンテンドースイッチの先行発売が予定されている。

『Wulverblade』は80年台のアーケードタイトルを目指したアクションゲームだ。舞台は、西暦120年のヨーロッパ。ブリタニアとローマの戦いに巻き込まれた主人公の物語を描く。『Castle Crashers』を彷彿とさせる横スクロールを採用しており、ひとりでも友人とも楽しめるようだ。『Wulverblade』は2017年9月にニンテンドースイッチにて先行発売される。

次に紹介されたのは『Poly Bridge』。Steamやモバイルデバイスで好評を博した“橋作りシミュレーションゲーム”だ。ローポリゴンで描かれるビジュアルが特徴的な愛らしい世界で、物理演算の法則を考えながら橋をかけていく。このジャンルは実は競争が熾烈でさまざまな作品がリリースされているが、本作はカジュアルさと奥深さを両立することで人気を獲得している。『Poly Bridge』は2017年末に、コンソール独占で発売される。

ちょっとしたサプライズとなったのが『Kentucky Route Zero: TV Edition』の発表だ。『Kentucky Route Zero』はSteamなどで発売されている長編アドベンチャーゲーム。ローポリゴンをまじえた陰影表現で描かれるビジュアルや、独特のストーリーテリングが高い評価を得ている。ニンテンドー・オブ・アメリカは同作をコンソール独占と告知しているが、パブリッシャーのAnnnapurna InteractiveはPS4/Xbox One版も発売すると伝えており、ニンテンドースイッチ版の独占や先に発売されるといった情報は今のところ見られない。なおコンソール機の発売にあわせて『Kentucky Route Zero』のAct 5がリリースされ、物語が完結するとのこと。

キャンバス調のグラフィックで描かれる『Earth Atlantis』は、タイのインディースタジオPIXEL PERFEXが手がけるシューティングゲームだ。同スタジオのAnucha Aribarg氏は、以前弊誌に対して「『Earth Atlantis』は『グラディウス』と『モンスターハンター』を組み合わせた欲張りなタイトルになる」と語っていた。ゲームの目的は、茶色の海を自由に探索しながら巨大なボスを倒すことで、敵を倒せば倒すほど相手が強くなるといったシューティングゲームでありながら独自のシステムを導入している。『Earth Atlantis』は2017年秋にニンテンドースイッチにて先行発売される。

『Next Up Hero』は『スクリブルノーツ』などを手がけたDigital Continueが開発する見下ろした型のアクションRPG。オンラインプレイにも対応している。本作では、プレイヤーのヒーローが死んでしまうと「Echo」として蘇り、“次のヒーロー”の戦いをサポートする。道半ばで戦いに負けてしまった「Echo」を率いて、本物の英雄になるべく敵に打ち勝つのだ。『Next Up Hero』はニンテンドースイッチ向けに2018年初頭にリリース予定だ。

『Mulaka』は、先住民タラフマラ族が住まう地方「Sierra Tarahumara」をテーマとした3Dアクションアドベンチャーゲームだ。驚くべき身体能力を持つ先住民を操作し、民族的でありながらどこかスピリチュアルな世界を冒険していく。映像では、プレイヤーが街やフィールドを駆ける姿が確認できるほか、巨大な敵と戦ったり動物に変身するシーンが映し出されており、スケールの大きなオープンワールドゲームになりそうだ。本作は、タラフマラ族の人々や学者の助言を受けながら開発されており、売り上げの10%はSierra Tarahumaraの人々を支援するNPO団体に寄付されるとのこと。『Mulaka』はニンテンドースイッチ向け独占の要素を搭載して2018年初頭に発売予定だ。

かわいらしい象を主人公とした『Yono and the Celestial Elephants』はパズルアドベンチャーゲームだ。以前弊誌で紹介しているので詳細についてはそちらを参考にしてほしい。『Yono and the Celestial Elephants』はニンテンドースイッチのコンソール独占で10月12日に発売予定だ。またインティ・クリエイツが手がける新作『Dragon Marked For Death』と、敵を撃つと大きくなり撃たれると小さくなるユニークなTPS『Morphies Law』も別記事で紹介しているので、それぞれチェックしてほしい。

『Battle Chef Brigade』はファンタジー世界で料理人となるタイトルだ。プレイヤーの分身である人間やオークら料理人たちが現地へおもむき食材をハントし持ち帰り、それらを調理し絶品の料理を生み出す。冒険は2DアクションRPG形式で進行し、料理はパズルゲームのような形式で進行する、ありそうでなかった野心的な料理&ハントゲームになりそうだ。『Battle Chef Brigade』は2017年末にニンテンドースイッチにて先行発売予定だ。

『Sausage Sports Club』は物理演算をベースにした戦いが繰り広げられるパーティーゲームだ。ゲームのテーマは「ソーセージ」となっている。競技は頭を振って殴り合うバトルロイヤルから、協力してゴールを目指すサッカー、針へと落とすデスマッチなどが多種多様。『Sausage Sports Club』はニンテンドースイッチ向けに2017年秋に先行して発売予定だ。

『Light Fingers』はターンベースマルチプレイヤーゲームだ。ゲーム上のボードは自動生成され、プレイヤーはコマを進めていくことになる。映像からもわかるとおり、テーブルゲームをテーマに開発が進められており、画面をタップしてゲームを進行させることができるという。イベント発生時にはボードからダンジョンへ冒険の舞台が移されることもあるなど、アナログゲームとデジタルゲームを融合させたようなタイトルになるようだ。

そしてラストには、グラスホッパー・マニファクチュアが手がけるニンテンドースイッチ独占タイトル『Travis Strikes Again』の映像が公開され放送は終了した。冒頭で述べたように、扱われたタイトルのほとんどが、ニンテンドースイッチコンソール独占もしくは先行発売される。また、いわゆる大作インディーというよりは、前評判が高いながらまだ世に認知されていない渋めのタイトル選定が光る。任天堂は、ニンテンドースイッチにてインディーゲームをただ多くリリースさせるだけではなく、できるだけ密接に展開していく独自路線にシフトしていくことを印象付ける放送であったといえよう。

なお、Nintendo UKは今回扱われなかった数多の作品を含めたニンテンドースイッチ向けタイトルを紹介する映像も前日に紹介されているので、こちらもあわせてみてほしい。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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