恐竜サバイバルゲーム『ARK: Survival Evolved』Xbox One版とPS4版のクロスプレイをテスト中。ただしソニーの承認には悲観的

恐竜サバイバルゲーム『ARK: Survival Evolved』のクリエイティブ・ディレクターなどを務めるJeremy Stieglitz氏は8月19日、同作のXbox One版とPlayStation 4版のクロスプラットフォームプレイが同スタジオ内のテストでは既に実現していることをTwitter上で明らかにした。

Studio Wildcardの共同設立者で、恐竜サバイバルゲーム『ARK: Survival Evolved』のクリエイティブ・ディレクターなどを務めるJeremy Stieglitz氏は8月19日、同作のXbox One版とPlayStation 4版のクロスプラットフォームプレイ(以下、クロスプレイ)が同スタジオ内のテストでは既に実現していることをTwitter上で明らかにした。

これは「Xbox One版のプレイヤーと、PS4版のプレイヤーは一緒にプレイできるようになりますか?」というTwitterユーザーからの質問への回答としてツイートしたものだ。ただし、「現時点では、ソニーは(クロスプレイの実装を)許可しないでしょう :(」とStieglitz氏は残念そうに付け加えている。今のところStieglitz氏は本件についてこれ以上のコメントをしていないため、Studio Wildcardがクロスプレイについてソニーと協議をおこなった結果として「許可されない」としているのか、それともこれまでの報道から判断してそう発言したのかは分からない。

Jeremy Stieglitz氏は直前のツイートで、Xbox One X本体でプレイする場合はPC版のグラフィック設定High相当で1440p/30fps、Medium相当で1080p/60fpsで動作。またホストになるとテザー距離の制限がなくなることも明らかにしている

その報道とは、今年のE3直後のことだ。E3 2017でマイクロソフト/Mojangが『Minecraft』の次期大型アップデート「Better Together」を発表し、Xbox One・Nintendo Switch・Windows 10(Bedrock Engine版)・モバイル版のプレイヤーが共にプレイできるようになるとした。さらに、Psyonixが『Rocket League』のSwitch版を発表し、Xbox One版とSteam版とのクロスプレイに対応することを明らかにしている。どちらもPS4版とのクロスプレイを見送ったことから、海外メディアEurogamerがソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)のセールス・マーケティング部門責任者Jim Ryan氏に説明を求めたところ、Ryan氏は比較的年齢層の低いユーザーの多い『Minecraft』を念頭に、「子供たちがPlayStation Networkの外で何らかの問題に巻き込まれた際にSIEとして対処できない」と、自らの管理の及ばない他社のネットワークに自らのユーザーを送り込むことに懸念を示し、ほかのコンソールとのクロスプレイには参加しない理由としていた。Ryan氏の説明は一定の理解を得る一方、早くからPCとのクロスプレイを推し進める同社が、今あえて子供の安全を持ち出したことについては詭弁だとする厳しい意見もあった。なお、マイクロソフトのXbox事業責任者Phil Spencer氏は、Ryan氏が呈した心配には及ばないとコメントしている(関連記事)。

こういった報道があり、それから(少なくとも表面上は)状況に変化がない中でもStudio Wildcardがクロスプレイをテストしているということは、マルチプラットフォームでオンライン対応ゲームを展開しているデベロッパーとしては、PS4を含むコンソール間のクロスプレイの実現を今なお望んでいるということの表れだと見ることができる。これまでにも、前述した『Rocket League』や『GWENT(グウェント ウィッチャーカードゲーム)』また『鉄拳 7』などの開発者も内部で検証をおこなっていたり、あるいはいつでも実装できる状態であることを明らかにしている(関連記事)。今回の『ARK: Survival Evolved』のクロスプレイ実装テストに対して海外フォーラムNeoGAFなどでは、ソニーの方針転換を期待する声もあれば、「ソニーが承認しないことが分かっているのに、時間とリソースの無駄遣いだ」といった意見も見られる。ただ、Jim Ryan氏は交渉の門戸を閉ざすことはないとも語っていた。ソニーとの交渉のために、あるいは将来の可能性を見据えて同様のテストを内部でおこない公表するスタジオが現れるたびに、このような議論は熱を帯びることだろう。

なお、『Minecraft』公式サイトでは今秋配信予定の「Better Together」アップデートを念頭に、同作の各種フィルター設定やプライバシー設定、ペアレンタルコントロールなど、プレイヤーが安全にオンラインプレイするための方法を詳細に解説する「How to Stay Safe Online」と題した投稿を今月初めにおこなっている。これはユーザーにとって有益な情報ではあるが、オンラインでの安全性に懸念を示したソニーへのアピールという側面もあるだろう。また「Better Together」アップデートのFAQでは、ソニーとは現在も協議を続けており、PS4ユーザーも参加できるようソニーと協力したい旨を記載している。はたしてマイクロソフトのラブコールにソニーが応える日は来るだろうか。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

記事本文: 6895