ジェイソンが若者を襲う非対称マルチ『Friday the 13th: The Game』開発元がサポート継続の声明。別作品の発表に怒るユーザに反応
映画「13日の金曜日」シリーズをもとにした非対称マルチプレイ・ホラー『Friday the 13th: The Game』(以下、F13)について、開発陣がサポートを放棄するのではという憶測がコミュニティ上で広まったことを受け、開発元のIllFonicが噂を否定する旨の声明を出した。
100% untrue; support for F13 has actually increased. Development of Dead Alliance started prior to F13. No resources shifted/affected. https://t.co/0SDet1xnns
— Friday The 13th Game (@Friday13thGame) July 25, 2017
事の発端は、8月29日の海外リリースを控えている『Dead Alliance』という作品の開発元が『F13』と同じIllFonicであると気づいたユーザが、『F13』の公式フォーラムやRedditでスレッドを立てたこと。IllFonicが別のプロジェクトに取り組み始めたことから、『F13』は見捨てるのではないかという、やや短絡した憶測が広まりはじめた。
『Dead Alliance』とは、2017年5月に発表されたチーム対戦FPS。旧名『Moving Hazard』としてSteamにて早期アクセス販売されていたもので、Psyop GamesとIllFonicが共同開発し、Maximum Gamesがパブリッシングを担当している。タクティカルFPSを土台としつつ、戦場にうごめくゾンビの大群を上手く誘導することで、戦況を有利に運ぶというのがセールスポイントとなっている。
『Dead Alliance』が発表されたのは5月であるが、7月27日からオープンベータテストが始まるということもあり、再度注目されてきたタイトルである。上述したスレッドでは『F13』を見捨てる/見捨てないの議論というより、開発チームを2つに分ける余裕があるならバグを直して欲しいという不満と、1つのプロジェクトも満足にこなせないのに2つに増やしたら対応が余計にひどくなるのではという不安がぶつけられている。IllFonicは『F13』のリリース当初から小さなチームであることを強調してきたこともあり、本当はもっと早く対応するためのリソースがあるのではという不信感を募らせてもいる。
ただ不満をぶつけるコメントばかりではなく、上述した公式フォーラムのスレッドでは、ユーザdandop1984氏が「両方とも同時に対応しているんだろう。それがどうしたっていうんだ?」「『Dead Alliance』はおそらく別のパブリッシャーで、予算は別のところから下りているんだろうよ。何が問題なのか分からないよ。彼らはパッチに取り組んでいて、コンテンツも追加するって何度も言ってきたじゃないか」と開発元への理解を示している。Dr. Lecter氏の「両プロジェクトともひどい仕事をしている。どちらか片方に集中したら少しはマシになるのでは」という懐疑的な意見に対しても、dandop1984氏は「そうかもね。でも両方とも低予算、それも出処が別かもしれないよ」と回答。dandop 1984氏の言うとおり、『F13』のパブリッシャーはGun Media、『Dead Alliance』のパブリッシャーはMaximum Gamesと別々である。2つのゲームに取り組むだけの予算があるからといって、一方のリソースを、もう片方のプロジェクトに回すわけにはいかないはずなのだ。
こうしたコミュニティ上のやりとりを受けて、IllFonicのCEO Chuck Brungardt氏が、Reddit上で声明を出した。『F13』を放棄するとの懸念について「100%、真実ではない」とした上で、『Dead Alliance』は『F13』よりも先に着手していたこと、『F13』とは別のチームが対応していること、当初20人であった『F13』チームメンバーは増員により30人近くまで増えておりサポートはむしろ厚くなっていることを伝えている。
開発陣がサポート放棄の噂を否定することは当然として、本当の問題は「ゲームを見捨てるのか見捨てないのか」ではなく、2つのプロジェクトを動かしているという事実がファンを落胆させるほどに、IllFonicの印象が悪いという点だろう。悪い、とは言ってもSteamストアの『F13』ユーザレビューは現時点で「ほぼ好評」。ゲーム自体の評価は高い。また、マッチ中の暴言・ハラスメント、ジェイソンとキャンプ指導員の共謀、バグの意図的な利用が確認できたアカウントはバンするという強固な姿勢(参考リンク:Steamコミュニティ)は好印象を得ている。
開発陣の努力が見える一方で、リリース当初に多発した不具合(関連記事)、6月28日以降途絶えているアップデート、結果としてレトロ・ジェイソンの登場(関連記事)以降増えていないコンテンツと、ユーザが不満をぶつけたくなるような要素があることもまた事実。今回のIllFonicの声明だけでは、「IllFonicが『F13』のサポートを放棄する」という言葉が独り歩きすることを防げても、「ちゃんとリリース後のサポートができる開発者なのか」という一部ユーザが抱えている不満は払拭できない。こればかりは、実際の対応で証明してみせるしかない。
ちょうど今夏にはシングルプレイ・キャンペーンの実装が予定されている。すでに厳しい目で見られている作品であるため、期待ハズレの内容であったり、延期となった場合には再び炎上するだろう。デベロッパーとしての評価を落とさないためにも、この夏『F13』のキャンペーンモードと、『Dead Alliance』プロジェクトを失敗させるわけにはいかないのだ。