『LoL』ついにアーゴットのリワークが発表。恐れを知らぬ6本脚のサイバネ死刑執行人

 

『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』を開発運営するRiot Gamesは7月8日、チャンピオン「アーゴット」のリワーク概要を発表した。アーゴットはシーズン1こと2010年と、『LoL』リリース初期に実装されたチャンピオン。初期チャンピオンにありがちなクオリティの低さからかねてよりリワークについて言及されていたが、実装後7年を経てついにビジュアルとゲームプレイが一新されることとなった。

 

さよならハイパーキネティック・ポジションリバーサー

裸の上半身に突然接続されたサイバネ多脚の下半身──アーゴットはその見た目同様「ツギハギ」的なコンセプトをしていた。敵の攻撃を受けつつも倒れない耐久力を持つ「タンク」でありつつも、遠距離から攻撃を浴びせ続ける「ADC」という相反した2つの役割を課せられたアーゴットは、癖の強いプレイ感触や性能面の弱さからもほとんど注目を浴びることがなかった。防御力を上げれば火力が上がらず、火力を上げれば柔らかくてすぐ死んでしまう上に、消費マナやスキルのクールダウンなどアーゴットを縛るものも多かった。特に旧アルティメットの「ハイパーキネティック・ポジションリバーサー」は自身と対象の敵チャンピオンの位置を入れ替えるという奇抜な能力で、自殺行為になる状況も多く使い所がよくわからない必殺技だった。奇抜さに魅せられたごく一部の熱狂者を除けば、ゲーム中では見たこともないしプレイしたこともないという一般プレイヤーもいるくらいではなかろうか。

それが実感できるのは、スキルの消費コストとクールダウンが大幅にカットされたお遊びゲームモード「ウルトラ・ラピッド・ファイア」だろう。2014年のエイプリルフールを記念してプロがプレイしたエキシビションマッチでは、プロチームCloud9(当時)のMeteos選手がアーゴットをジャングラーとしてピック。Eでデバフをかけた敵に対してQで確定ヒットのミサイルを放つコンボで延々と敵チームを苦しめたが、「かけられた制限を外してしまえば青天井」という初期チャンピオンによくあるアンバランスさがよく出ていたといえる。

新アーゴットはほとんどのスキル性能が一新。固有スキル「エコーフレイム」では、6本のサイバネ脚の膝にそれぞれ装備されたショットガンが通常攻撃に連動して火を噴く。旧Eのミサイル確定ヒットデバフは「ロックオン」として新たに整理された。Qの「コラプトシェル」では離れた一定範囲にダメージとロックオンを与える。Eの「ディスデイン」は全く新しいダッシュスキルで、突進先の敵チャンピオンを後方へと投げつつロックオンする。Rの「デスグラインダー」は指定方向にビーコンを発射し、敵チャンピオンに当たるとロックオンを与える上に、対象の体力が25%を切っていれば再使用で自身の元へ引き寄せることができる独特な能力だ。対チャンピオン戦闘ではこうしたスキルを駆使して近距離に接近してから、Wの「パージ」でシールドを張りつつロックオンした対象に攻撃を加えるというプレイパターンが基本になるだろう。チームプレイでも突進や引き寄せは大いに役立つはずだ。適するロールは不明だが、おそらくトップレーナーが確定であり、調整次第ではジャングラーもこなせる可能性がある。

旧アーゴットの象徴であった「ハイパーキネティック・ポジションリバーサー」は消え去ることとなってしまったが、全体的なコンセプトは「遠距離攻撃をするジャガーノート」として整理された。ゲームデザイナーのRepertoir氏は「いくつかの要素は『維持しなければ』と考えたのだが、なんとかできたのはロックオンと位置入れ替え、シールドくらいだった」とコメントしており、旧コンセプトのちぐはぐさにリワーク担当チームが苦労した様子がうかがえる。

一新されたビジュアルを見ると、下半身は固有スキルの変更もあって旧来の4本脚から6本脚に変更。上半身も死肉のようなブヨブヨさではなく、マッシブに生まれ変わっている。3月にガリオのリワークが実装された際、リワーク作業中のアーゴットの3DモデルデータがPBE更新データに混入していたが、そこからさらに洗練されているようだ。クラシックスキン以外も大きく作り直されている。

「誇り高き処刑人」から、国家の陰謀に虐げられて恐怖を感じなくなった「ドレッドノート」へと変貌した新アーゴットは、次次パッチとなる7.15での実装と推測されている。今週水曜のアップデートが見込まれる7.14パッチでは、新チャンピオン「無情の刃、ケイン」も登場する見込み。ケインおよび新アーゴットは、実装とその後の調整がうまく行けば9月末より開催の世界大会でも、プロのプレイを見る機会が生まれるはずである。