「Nintendo Switch版『マインクラフト』はなぜTVモードでも720pで動くのか」マイクロソフトが回答。将来的な改善も視野に
マイクロソフトより5月12日にNintendo Switch向け『Minecraft(マインクラフト)』が発売された。Nintendo Switch版『マインクラフト』は、Wii U版の追加要素「スーパーマリオ マッシュアップパック」を収録しつつ、マップの広さはWii U版の12倍以上「3072 × 3072」となるなど、アップグレードがはかられている。8人同時のオンラインプレイができるほか、外に持っていけば8人までのローカルプレイにも対応している。家でも外でも楽しめるという点では『マインクラフト』の決定版ともいえるだろう。しかし、このNintendo Switch版は、いくつか問題を抱えているようだ。
海外メディアTIMEは、同紙のレビューにて、Nintendo Switch版『マインクラフト』には言語選択やボイスチャット欠如など、Wii U版に収録されていた機能が一部実装されていないことに言及。ほかにも高低差を生み出すオプション「アンプリファイド」といった要素も収録されていないとも述べている。さらにTIMEは、Nintendo Switch版『マインクラフト』は、TVモードでも携帯モードでも720pで動作しているのではないかとも指摘している。この仕様について、販売元であるマイクロソフトは「TVモードと携帯モードは720pで動いている」と認めている。
スペックの問題か、最適化不足か
Nintendo Switchでは、TVモードと携帯モードでは異なるパフォーマンスを見せる作品が多い。ゲームタイトルのパフォーマンスを調査するメディアDigital Foundryは、『Fast RMX』は携帯モードでは720pで動作し、TVモードでは1080pで動作すると報告している。ほかにもDigital Foundryは『マリオカート8 デラックス』もTVモードでは1080p、携帯モードは720pで動作すると報告するなど、パワーが出やすいとされるTVモードと携帯モード、それぞれのモードで快適に遊べるように最適化がなされているというわけだ。
つまり、「なぜNintendo Switch版『マインクラフト』は、どちらのモードでも720pという携帯モードの水準のパフォーマンスなんだ」というのがTIMEの言い分だろう。Nintendo Switch版については、画面分割モードで、2人でプレイする場合でも、60fpsで滑らかに動くなど、フレームレートについては安定したパフォーマンスを誇る。しかし、PlayStation 4版やXbox One版は1080pで動作する以上、TVモードでは同等のパフォーマンスで遊びたいという言い分は理解できる。
マイクロソフトはこうした挙動について「ハードのパワーの問題ではなく、Nintendo Switchのモードの切り替えによって発生している」とコメントしている。また、マイクロソフトは、数々の不具合や実装されていない仕様について、近日中に修正すると将来的な改善を示唆している。
Nintendo Switch向けタイトルで、最適化不足が指摘されているのは今回の『マインクラフト』だけではない。ローンチタイトルとして発売された『ボンバーマン R』は操作遅延の問題を抱え、『Mr. Shifty』はフレームレート低下の課題を抱えていた。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』でも特定のエリアで、著しくフレームレートが低下する現象が発生していたことも記憶に新しい。こうした問題が発生した時には「Nintendo Switchのスペック不足ではないか」という指摘を受けがちだ。ハードウェアのパワーが足りていないから処理落ちや解像度の問題が発生するのだろうという言い分は、理に適った指摘だろう。
しかし、こうしたタイトルでは、最適化不足を改善するパッチをリリースされており、最新バージョンでは安定したパフォーマンスで動作することが報告されている。マイクロソフトもまた同様の趣旨の説明をしていることから、こうした不具合は、開発の過程で生まれた問題であり、スペック不足が原因ではなさそうだ。もちろん、ハードウェアのスペックがなんらかの形で不具合に絡んでいることには間違いないだろうが、のちに改善されている以上は根本的な原因であると考えにくい。
Nintendo Switchは世界的に売り上げが好調であり、徐々に興味深いタイトルがリリースされてきているが、ハードウェア立ち上げ時期特有の問題報告も多い。新ハードの開発には困難がともなうことが予想されるが、後日ではなく、発売を迎える日に最適化された状態で、ゲームをプレイヤーのもとへ届けてほしい。