Digital FoundryはEurogamerを通じ、MicrosoftのXbox Oneに続く新ゲームハード「Project Scorpio」に関する最新情報を公開した。同ハードは、いわゆるPS4に対するPS4 Proに近い立ち位置のマシンとして昨年6月のE3にて正式発表されており、今回さらに詳細なスペックや仕様が明らかにされた流れとなる。
多くのゲーマーが気にするであろう互換性の詳細について。MicrosoftはXbox Oneと「Project Scorpio」が互換性を持っており、「Project Scorpio」専用のゲームはリリースしない方針であることを明らかにしている。また今回はこれに加え、現在Xbox One上で動作するXbox 360タイトルが、「Project Scorpio」でも全て動作することが発表されている(参照リンク: Eurogamer)。そしてXbox OneとXbox 360タイトルを「Project Scorpio」上でプレイすることで、プレイヤーは5つの恩恵を受けることができるという(ただし「Project Scropio」はアーキテクチャを一新しているため、Microsoftは、ごく一部のタイトルには互換性の問題が生じて、これらの恩恵が受けられない可能性があるとしている)。
まず挙げられるのが「パフォーマンスの強化」だ。30fpsで動作するゲームが60fpsになるといったことは無いものの、Xbox One上では正常にフレームレートやパフォーマンスを発揮できなかったタイトルの動作が改善される見込みがある。これに加え、「動的解像度」を採用している『DOOM』『Battlefield 1』『Gears of War 4』といったタイトルに関しては、常に解像度が最大になるといった恩恵が受けられる(動的解像度とは、フレームレートを維持するために処理が重い場面で一時的に変更される解像度のこと。つまりProject Scorpioのマシンパワーがあれば、解像度を縮小することなくフレームレートが維持できるということになる)。このほか、よりテクスチャを細やかに表現することが可能となる「テクスチャフィルタリング」に関しては、Xbox Oneタイトルの多くで設定されている4倍から「Project Scorpio」上ではシステムレベルで16倍へと到達し、さらにこの仕様はXbox 360タイトルにも適用されるという。
Xbox 360/Xbox Oneタイトルのビジュアルとフレームレートが(オリジナルから大きく逸脱はしないものの)強化される。ではそのほかの点では「Project Scorpio」にはどんな要素があるだろうか。その1つとして、Xbox Oneにも搭載されているプレイ中のゲームを撮影・録画する「GameDVR」機能は、4K60のビデオキャプチャに対応するという。さらに新たにフレームごとに1080pでゲーム画面をさかのぼってキャプチャできる機能も搭載され、プレイヤーは必要な場面を的確かつ高品質に保存することができる。最後に、CPUブーストやハードディスクの帯域幅やRAMの強化により、「ゲームのロード時間が改善」することになる。
こういったプレイヤー向けの利点が見られる一方で、MicrosoftのWindows/Xboxゲームプラットフォームを指揮する幹部Mike Ybarra氏は、「Project Scorpio」の開発は“開発者を取り戻す”という願いが動機となっていたことも明らかにしている。Yabarra氏はXbox 360で多くのデベロッパーを集めることができたあと、Xbox Oneは2013年の発売から2年のタイムフレームで開発者を失ってしまい、彼らの心を取り戻すにはどうすればいいのか考えたと振り返る。適切なツールセットを用意し、デベロッパーたちが“絶対的にベストなバージョン”のゲームを作れるようし、開発者たちの心を取り戻すことを強調している。
今回の発表では、昨年のE3 2016にて語られていたVRヘッドマウントディスプレイの対応、さらには正式なハード名、そして価格は伏せられたままとなっている。「Project Scorpio」の価格はゲーム機の範疇から大きく外れはしないことが先日から伝えられているが、はたしてどのような購入層を意識しているのだろうか。Yabarra氏は本機を「ゲームの絶対的なバージョンに期待するゲーマー、プレミアムな顧客」のために設計したものだと締めくくっている。