『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』自作の“縛りアリ強敵チャレンジ”に挑む戦闘狂リンクが続々と出現

 

『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(以下、ブレス オブ ザ ワイルド)』はさまざまの遊び方が楽しめるオープンワールドゲームだ。一般的な楽しみ方である探索やチャレンジのクリアのほかにも、スピードクリアやトリッキーな手段での祠クリア新たな発明など多くの楽しみ方がある。「強敵との戦闘」もそういった楽しみのひとつだろう。『ゼルダの伝説』シリーズは戦闘に力が入れられており、時代の変化にともなって、その楽しさは姿形を変えてきた。『ブレス オブ ザ ワイルド』でもそうした魅力は継承されており、スリルと爽快感に満ちた戦いがプレイヤーを待ち受ける。道端に陣取る「ボコブリン」相手に剣の舞を楽しんでもいいが、やはり相手が強いほど戦いは燃えるだろう。ちなみにここからの先の文章には敵に関するネタバレが含まれているので注意してほしい。

本作の強敵といえば、やはり「ライネル」だろう。『ブレス オブ ザ ワイルド』の世界には、ギリシャ神話に登場する「ケンタウロス」にも似た半人半獣が存在する。顔面は鬼のような形相で角が生えており、プレイヤーを恐怖へと陥れる。それぞれの地方ごとにライネルが存在し、特性も異なるが、とにかく強力であるのは共通だ。リンクとの間合いに合わせて攻撃手段を柔軟に変化させ、避ける暇もないほど俊敏に襲いかかる。彼らを倒すには、冒険を重ねて屈強な装備を揃えて戦うのが基本となるだろう。しかしそうした戦い方では飽き足らず、独特な方法でライネルに立ち向かう戦闘狂たちが世の中にはいるのだ。

持たざる者の戦い

戦い方はプレイヤーによってそれぞれ異なっている。もっとも人気のある戦い方は「裸での戦闘」だろう。初期状態である裸とハートが3つの状態で倒すというもの。ライネルの攻撃を生身で受けると即死は免れないので、ダメージを受けないことが重要になる。このなかでもオーソドックスなのが、正攻法での撃破だ。それぞれのライネルには行動パターンがあるので、そのパターンを読み、攻撃を避け、盾で剣を弾きライネルを打ち倒す。DaBoss氏のプレイはこの戦い方の代表だろう。

「裸戦闘」のなかでも少々トリッキーなのは、武器を使わずにライネルを倒すという戦法だ。この戦い方を披露したのはDeliciousTea Gaming氏。氏は武器ではなく「岩」を使って攻撃するというもの。戦うのはフィローネ地方のカーマス台地に出現するライネル。氏は金属の岩をマグネキャッチで持ち上げて、ひたすらそれをぶつけている。こう記述するとかなり地味な印象を受けるかもしれない。しかし、氏が「見た目よりも難しい」と述べるとおり、この戦い方にもテクニックが求められることがわかる。前述したようにライネルは非常に素早く、すぐに間合いを詰めてくるのでうまく距離をあけるために攻撃パターンをつかみ、動きを見極める必要がある。映像を見てみると、リンクとライネルの熱い死闘が確認できる。

プレイヤーAshtronaut氏が試みたのは「気付かれないようにライネル撃破」だ。ターゲットとなるのは雷獣山に生息するライネルで、足音を小さくする「忍び」シリーズ装備を着用し、ライネルに見つかる前に討伐するというものだ。ライネルの背後へと静かに近付き、攻撃する。するとライネルが振り向こうとするので、その動きに合わせてステップで後ろへと回り込む。ひらりと舞いながら敵を攻撃する姿はさながら蜂のようだ。

もちろん、SNSにはこうした特殊な戦い方だけでなく、華麗な撃破映像も投稿されている。特に参考になるのが、Zyzyoro氏が白銀のライネルを倒すプレイ動画だ。白銀のライネルはライネルのなかでも特に攻撃が熾烈で、多くのプレイヤーが手を焼くだろう。面白いのは、白銀のライネルが頻繁に繰り出す、槍を振り回す攻撃をする際にはライネルの真下が安全だということだ。氏はこの攻撃を誘発し、敵をあざ笑うかのように懐へ飛び込み攻撃を避けている。白銀のライネルは一定間隔で距離をとるので、さまざまな攻撃に対応するテクニックは不可欠だが、懐に入りこまれて成す術もなくやられる強敵の姿は、なんとも愉快だ。

おもちゃと化すガーディアン

このように各種のライネルは体力が高く、強力な武器を用意しない限り、ある程度は長期戦になるのがわかる。十分な装備かテクニックを持つ者のみが倒すことができるのだ。一方で、ライネルよりも弱点が多く、登竜門とされている強敵が「ガーディアン」だ。おそらくライネルよりも遭遇回数が多く、プレイヤーを恐怖に陥れるという意味では恐ろしい印象が強い。しかし、HPが少ないのと弱点が多いという特徴のせいか、倒し方のバリエーションが多く、なかばおもちゃにされている。ガーディアンは身体が大きく当たり判定も大きいので大剣で攻撃した際には多段ヒットになる場合がある。馬に乗りながらすれ違いざまに攻撃すれば、確実に多段攻撃できる。

武器を使わずとも、馬だけでガーディアンを倒すことも可能だ。走っている馬に攻撃判定があることは多くのプレイヤーがご存知だろう。前出のDeliciousTea Gaming氏は、この馬を利用してガーディアンを破壊して見せている。氏はうまくガーディアンの周りを動き回りながらガーディアンの「足」を幾度も踏みつけバラバラにしている。自慢の足を失い移動速度が低下していく古代文明の機械の姿には、同情すら覚えるだろう。

ガーディアンはそもそも武器を持たずに倒すことすらもできる。方法はいたって単純で、盾で攻撃を跳ね返すのだ。プレイヤーであるリンク、は盾を構えている際に敵の攻撃に合わせてボタンを入力することで「パリィ」ができる。ガーディアンが放つ強力なレーザーをパリィすればその光線はガーディアンのもとへ返っていき、大ダメージが与えられる。とある場所で特殊能力を手に入れれば、特別な入力をせずただ立っているだけでも、こうしたレーザーを弾くことができる。とにかく弱点が多いのがガーディアンの特徴であり、また愛される要因なのかもしれない。

ほかにも『ブレス オブ ザ ワイルド』にはヒノックスなど、さまざまな強敵がゲーム内には存在している。こうした強敵同士や、強敵とにわとりの「コッコ」を戦わせるといった遊びも生まれており、強敵というテーマをひとつとっても、さまざまな楽しみ方があるだろう。プレイヤーのアイディアの数だけ、遊び方が存在する。発売から一か月以上が経過しているが、『ブレス オブ ザ ワイルド』コミュニティから放たれる熱気は、まだまだ冷めそうもない。