1000円台で10000個の実績を解除。実績愛好家に向けたコストパフォーマンス抜群のSteamタイトル18選
Steamには実績数が数百個、ときには1000個を超えるタイトルがゴロゴロと眠っている。実績とは本来、プレイヤーがゲーム内で特別な何かを成し遂げたときに解除される褒賞である。気に入った実績をプロフィールの実績ショーケースに飾っている方もいるだろう。だがSteamという、何千ものタイトルがひしめき合う玉石混交の市場においては、実績を解除すること自体がゲームの目的と化している作品も少なからず存在する。どんなに小規模な作品でも、認知度が低くても、自身のゲームに大量の実績を投下することで、実績コレクターというニッチな層のハートをつかむことができるからだ。
ゲーム本来の価値に上乗せする実績のドーピング。その劇薬のような力に気づき始めたのか、Steamの実績数ランキング上位に入っているタイトルは、ほとんどが2016年以降にリリースされたものである。ジャンクフードよりも安い超低価格帯で、ボリューム満点な実績解除という快楽を提供する。これが一部のカジュアルゲーム界隈でささやかなトレンドとなりつつある。
本稿では、2017年3月末までにSteamで発売された作品の中から、計1000円台で10000個以上の実績を解除できる実績愛好家必見のタイトルをリストアップした。なおコストパフォーマンスと実績解除までのスピードを重視しているため、単品300円以上またはF2Pのタイトルはリストから除外している。実績解除までに時間を要するタイトルも同様の処置としている。そのため実績数上位の『LOGistICAL』(2182個)、『Zaccaria Pinball』(2138個)、『Tales of Maj’Eyal』(1638個)はいずれもリストに含まれていない。
Zup! シリーズ(全4作品)
実績を語る上では欠かすことのできない物理パズルゲーム。ゲームを起動した瞬間から全ステージを解き終えるまで実績の解除通知が止まらない圧倒的な「実績解除ラッシュ」を体験できる。パズルのルールはステージ上の青いブロック/玉を緑色のタイルに着地させること。クリックすると爆発する赤ブロックと、爆風により飛んでいく黄色ブロックをうまく使って目的を達成する。
実績は新しいステージをスタートまたはクリアするたびに、雪崩のように解除されていく。実績画像はさまざまな色・フォントのアルファベット、数字、記号となっており、実績ショーケースに飾る上でも使い勝手が良い。
Oik シリーズ(全2作品)
『Zup!』のフォロワー作品。パズルのルールは青いブロックを青いタイルに着地させること。灰色・黒色のブロックをクリックして消すことで、積み木を崩すように周りのブロックを動かしていく。『Zup!』との最大にして致命的な違いは、ブロックの爆破要素がないことである。『Zup!』が革新的であったのは、実績が解除され続ける心地よさと、爆発の爽快感を重ね合わせたパズルゲームであった点である。本作には2つの刺激を1つの体験に落とし込むという独自性はない。とはいえ、費用体効果という面ではまずまずの数値を残しているため、実績コレクターであればプレイしておいて損はない。
実績の解除方法は『Zup!』と同じくステージの開始およびクリアである。実績画像はシンプルなフォントの英数字・記号となっている。『Zup!』と『Oik』シリーズのどちらをプレイするか、好みのフォントで判断するのも良いだろう。
Slash It シリーズ(全2作品)
小気味よいBGMに合わせてキーボードを叩くことで実績が解除されていくアーケードゲーム。1作目の『Slash It』には、2つの図形が重なったときにタイミングよくスペースキーを押すクラシックモードと、画面上に表示される英数字をタイプしていく5種類のタイピングモードが用意されている。2作目の『Slash It 2』にはクラシックモードがないかわりに、英単語のタイピングモードが追加されている。デフォルトの通知設定だと、実績解除のポップアップが画面上の文字を隠してしまうので注意しよう。
Dinosaur Hunt シリーズ(全4作品)
『Machine Hunt』『Dinosaur Hunt』『Dinosaur Forest』『Survival Zombies』がセットになった『Dinosaur Hunt Special Bundle』。機械、恐竜、またはゾンビをハントするFPSである。いずれもウェーブ形式で出現する敵を倒していくだけで実績が解除される。138円で計2988個の実績という圧倒的なコストパフォーマンスを発揮しているだけでなく、1作品あたり15分という驚異的な速度で実績をコンプリートできる。
本シリーズではユーザが投稿した名称・画像を実績リストに取り入れている。「アルコールは完璧な溶剤である。結婚生活も、家族も、キャリアも、すべて溶けていく」「知能とは下着のようなもの。大切ではあるが、必ずしも見せびらかす必要はない」といった格言、「間違って911に電話をかけてしまったので、馬鹿だと思われないよう家に放火しました」「遠距離恋愛をしています。私の彼女は未来にいるから」といった軽いジョーク、さらには「なんでこんなゲームがGreenlightを通過したんだ」「こんなゲームをプレイする人がいるなんて信じられない」「マルチプレイモードが面白いかって?ノー」といった自虐ネタまで、ユーザ参加型にすることで眺めるだけでも楽しい、ユーモラスな実績リストに仕上がっている。
Pain Train
地下鉄のホームでゾンビの大群をひたすら撃ち続けるFPS。構内の床が油まみれなのか、滑り歩くようなモーションで向かってくるゾンビたち。噛まれるのではなく接触によりダメージを受けるという、オールドスクールな仕様となっている。駅内にあるゾンビのスポーンポイントをすべて破壊すると、ステージボスのサイボーグが出現する。サイボーグを守るジェネレーターを破壊し、ボス本体を倒せばステージクリア。全12ステージあるが、どれもマップは同じ。マウス感度を調整できないのが難点である。
実績は銃を発砲し、ゾンビを倒すたびに解除されていく。実績画像は数セット分のアルファベットと1から500までの数字。なお続編『Pain Train 2』では実績数が720個に増えているが、価格も698円に跳ね上がっている。1円あたり1.03実績、それも720個中719個で同じ実績画像を使い回すという怠惰ぶりではコストに見合わないと判断し、リストから除外している。
Phantom Soldier
『Pain Train』で完全に味をしめたVirtual Topによる新作FPS。敵がゾンビから幽霊に、マップが地下鉄から住宅街に変わっただけで、フォーマットはまったく同じである。オプション画面がなくマウス感度を調整できないところまで変わっていない。マップがあまりにも暗く、視認性は『Pain Train』よりも悪化している。実績画像はすべて同じで、『Pain Train』の素材を使い回すという体たらくぶり。開発者が「実績数」という劇薬に身を委ねたとき、どれほどまでに向上心が奪い取られてしまうのか。本作の実績を取り終えるころには、劇薬に頼ることの末恐ろしさを感じるだろう。
Dungeon Creepster
『Pain Train』と同じ「VT Publishing」からリリースされた見下ろし視点の魔法シューター。ダンジョンの各層に落ちている「血、海、太陽、大地」のマナ・クリスタルを集め、4種類の属性魔法を操りながらダンジョンの奥深くへと進んでいく。プレイヤーが操作する魔法使いの体力は、モンスターの攻撃を受けるだけでなく、時間経過によっても減っていく。回復アイテムを拾いつつ、手際よく敵を倒して次の階層への階段を見つける必要がある。
実績は500個すべての名称(Enemy Slain Great Job!)および実績画像が同週にリリースされた『Phantom Soldier』と同じである。セールスを伸ばすポイントはあくまで実績の数なのだとしたら、その中身にまで力を入れる必要は確かにない。だが本当にそれでよいのだろうか。ここまでくるとVirtual Topは自身のゲームを通じて、実績というシステムの欠陥を指摘しているとすら思えてくる。
Super Duper Flying Genocide 2017
UFOを飛ばして地上の人間を次々と誘拐していくカジュアルゲーム。左クリックで攻撃、右クリックで吸引というお手軽操作。攻撃対象となる敵はほとんど出現しないため、マウスの右ボタンを押しっぱなしにしているだけでもよい。機体まで人間を吸い込むと経験値がたまり、レベルアップするたびに実績が解除されていく。これをレベル1000に到達するまで小一時間ほど続けるだけで実績をコンプリートできる。リリース当初の実績数は329個であったが、その後のアップデートにより実績が追加されていった。ほかに追加されたコンテンツはなく、実績のみがプレイを継続するインセンティブとして機能している。
ANIMALITY
ドット絵の動物が2つの反転した世界を行き来するランナーゲーム。上下の世界を移動しながら、画面右端からやってくるモンスターを避け、コインを集めていく。モンスターにぶつかるとゲームオーバーとなる。集めたコインで新しい動物をアンロックし、またニューゲームをはじめる。これの繰り返しで実績が解除されていく。どの動物でプレイしても操作やマップが変わらず、極めて単調なゲームである点は否めない。
2つの有料DLCは新しい操作キャラクターを追加するもので、実績の半数近くはDLCがないとアンロックできない。キャラクターが増えるといっても、それぞれ数フレーム分のアニメーションが追加されるだけなので、むしろDLCのメインコンテンツは実績の方だと言える。さすがにこのDLC商法には、実績コレクターといえど眉をひそめるかもしれない。DLC込みのバンドルが257円、実績数は484個とまずまずのコストパフォーマンスではあるが、実績コンプリートまでの時間が長いこともあり、本リストの中ではオススメ度が低い。
Minimalism
四角形の物体を操作してモノクロの世界を進む2Dアクション。移動、ジャンプ、壁蹴りのシンプル操作でトゲ床やトラップを回避しながらゴールとなる扉を目指す。1度でもダメージを受けるとスタート地点に戻される「死にゲー」である。最大の特徴は実績をそのままゲーム内の収集アイテムとして扱っている点であり、ステージ内に浮かんでいる「あ」「じょ」といった文字を拾うことで対応する実績が解除される。実績をコンプリートするのに少々時間がかかるものの、本作だけでひらがなの五十音、濁音、半濁音、拗音がほぼ一通り揃う。実績数ではなく実績画像を重視するコレクターには持ってこいの作品だ。