最大100人のプレイヤーが最後の生き残りになるまで殺し合いを続けるバトルロワイアル形式のマルチプレイ対戦『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』がSteamでの早期アクセス販売を開始した。対象プラットフォームはPC。販売価格は3300円となっている。当ジャンルを好むプレイヤーの間ではアルファおよびベータ段階から注目されてきた作品であり、リリース初日の3月24日にはSteamでの同時接続ユーザ数ランキングでトップ10入りを果たした。
「PLAYERUNKNOWN」ことBrendan Greene氏は、『Arma 2』の「Battle Royale」Mod、および『Arma 3』の同名Modの開発者である。のちにSony Online Entertainment(現Daybreak Games)とライセンス契約を結び、また自らもコンサルタントとして『H1Z1: King of the Kill』の開発に携わっている。いわば現在のバトルロワイアル・ジャンルの雛形をつくった人物なのだ。そんなGreene氏がMMORPG『TERA』のデベロッパー「Bluehole」とタッグを組み、新たなバトルロワイアルゲームを世に送り込む。
基本に忠実ながら進化した戦略性
リリース時点で用意されたゲームモードは、ソロ、2人タッグ、4人スクワッドの3つ。サーバはアジア、ヨーロッパ、アメリカで分かれている。キャラクターは初回プレイ時に性別、顔型、髪型、肌色を選んで作成する。一度キャラクターを確定すると、以降は外見の編集にゲーム内通貨(無償)が必要となる。キャラクター作成後はサーバとゲームモードを選んでマッチングを開始。ゲームが見つかると人数が揃うまで待機用の小島でスタンバイする。
人数が揃うと、航空機に乗って戦場となる「Erangel」島へと向かいはじめる。航空機からの落下タイミングはプレイヤーが自由に選択できる。この時点ですでに駆け引きは始まっている。他のプレイヤーの動向を観察しながら落下先を定めるのだ。マップのサイズは64平方km。地図を開いて目的地をマーキングできるほか、画面右下にはミニマップが表示されるため現在地を把握しやすい。島には大小の町が点在しており、南部の小島には軍事基地も建てられている。各拠点は建物が密集しており武器やアイテムを収集しやすい分、他プレイヤーとも接触しやすい。また拠点間は距離が離れているため、車両を確保しないと難儀する。
まずは身を守るため武器を拾う。続いて持ち歩ける荷物の量を増やすため、バックパックを早い段階で手に入れたいところ。そこから先は、他プレイヤーとの対決にそなえるため武器、弾薬、防弾チョッキ、ヘルメット、救急キットなどを揃えていく。
『H1Z1: King of the Kill』では武器の種類が限られており、どの武器を装備するのか悩む機会は少なかった。武器と弾薬を拾えばひとまず装備が整う。対する本作では、銃だけでもピストル、アサルトライフル、ショットガン、スナイパーライフル、ライトマシンガンなど20種類ある。そこに手榴弾や火炎瓶といった投げ物、マチェーテやフライパンといった近接武器が加わる。さらに銃器はサイレンサー、ドットサイト、グリップ、ストックなどのアタッチメントをつけることでカスタマイズできる。ただし持ち運べる銃器は3つまでだ。どの武器・アタッチメントを装備するのが適切なのか、状況に応じた判断が必要となる。この選択がのちに生死を分かつことも少なくない。銃ごとの性能差がはっきりしており、ミリタリーシミュレーションほどではないが戦略性がある。また室内戦が多いため、ドアは破壊可能、フライパンなど近接武器は一撃死という仕様を覚えておくだけでも、立ち回りが変わってくるだろう。
カジュアルながら緊張感のある駆け引き
マッチ開始から一定時間が過ぎると、島に青色のフォースフィールドが展開されはじめる。時間内に円状の安全地帯に向かわないと、徐々に体力を奪われていく。安全地帯は時間の経過と共に狭まっていき、いずれ他プレイヤーとの接触が避けられなくなる。またフォースフィールドとは別に爆撃エリアというものが存在する。爆撃エリアは地図上に赤色で示される。プレイヤーはフォースと爆撃の両方を避けなければならず、1箇所に留まり続けることは難しい。またマッチ中は航空機からのエアドロップが定期的に降ってくる。他プレイヤーの待ち伏せを食らう可能性が高いが、落下地点まで無事にたどりつけば、トミーガン、M249ライトマシンガン、ギリースーツなど強力な装備品が手に入る。
乗車できる乗り物にはバギーカー、ジープ、セダン、トラックなどがある。いずれもガソリンが尽きるか車両がダメージを負うと移動不能となる。乗車中でも簡単に狙撃されるため、乗り物を手に入れたからといって気を抜いてはいけない。なお『H1Z1: King of the Kill』ではアクセル全開で突進しながらの飛び降りショットが可能だが、本作で同じことをすると死んでしまう。
早期アクセス開始時点ではマイクロトランザクションは存在していない。ゲーム内通貨はマッチ終了時に手に入る無償通貨「BP」のみである。「BP」はルートボックス(クレート)の取得時に消費するもので、ボックスを開けるとコスメアイテムを入手できる。
早期アクセス期間は約半年を想定しており、正式リリースまでにコネクションの改善、カスタムモードのテスト、ハードコアモード(1人称視点限定)およびウォーモード(チームデスマッチ)の導入を予定している。競技性の高い作品だけあって、上記の中でもコネクションの改善は急務だろう。なおModサポートについては正式リリースのタイミングで導入するとのことだ。
『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』は『Arma』シリーズのModにルーツを持つ作品だけあって、タクティカルシューターの要素がほんのりと混じっている。かといってミリタリーシミュレーションほど敷居は高くない。決して革新的ではないが、カジュアルながら緊張感のある駆け引きを味わえる、バランスのとれたプレイフィールに仕上がっているのだ。