バトル・ロワイアル形式のマルチプレイ対戦『H1Z1: King of the Kill』最大同時接続ユーザ数が半年で10倍に

バトルロワイアル形式のマルチプレイ対戦『H1Z1: King of the Kill』の最大同時接続ユーザ数が半年間で10倍まで増加している。Steamの同時接続ユーザ数ランキングでは、これまでランク外であった同作が浮上し、3位から5位の間で安定しつつある。

Daybreak Game Companyによるマルチプレイ対戦『H1Z1: King of the Kill』の最大同時接続ユーザ数が半年間で10倍まで増加していることがわかった。データはSteamのユーザ数やTwitchの視聴者数などを分析している「githyp」が指摘したもので、Steam APIを用いてデータを抽出している「SteamSpy」「Steam Charts」といった他サイトでも同様の結果が出ている。

『H1Z1: King of the Kill』は2016年2月18日にサバイバルゲーム『H1Z1: Just Survive』とは別のスタンドアロン版としてリリースされ直した作品である。近年トレンドになりつつあるバトルロワイアル形式のマルチプレイ対戦に特化しており、ソロ・2人タッグ・5人チームいずれかのモードでラスト・マン・スタンディングの殺し合いに挑む。

本作は2016年9月に早期アクセスから正式リリースへの移行を予定していたものの、急遽延期となった。代わりにTwitchとの親和性を高めるアップデートを筆頭に、新規参入を下げ、またプレイヤーがコミュニティに残るよう、さまざまな施策が打たれていった。

アップデートによりTwitch配信者と視聴者がマッチを組みやすくなった

その結果、2016年9月当時まで1万人前後にとどまっていた同時接続ユーザ数が雪だるま式に増え、2017年3月に入ってからピーク時には10万人を超えるようになった。Steamの同時接続ユーザ数ランキングでは、これまでランク外であった同作が浮上し、3位から5位の間で安定しつつある。なお1位・2位は『Dota 2』と『Counter-Strike: Global Offensive』が変わらずキープしている。

「githyp」によると、ユーザ数の増加はTwitchの視聴者数とも連動しており、昨年9月時点では関連チャンネルの平均視聴者数は5000人に過ぎなかったが、今年に入り平均3万人にまで増加しているという。昨年9月のアップデートにより、ゲーム内にTwitch配信者向けの設定項目が用意されたことも影響しているだろう。視聴者との交流を図りやすくなったからだ。

まずゲーム内でTwitchアカウントとの連携、マッチへの視聴者招待が簡単に行える。視聴者目線でいうと、ゲーム内から現在実況中の配信者を検索し、配信されているチャンネルまでワンクリックで遷移できる手軽さがある。ゲームをプレイしながら、お気に入りの配信者をチェックできるだけでなく、新しい配信者とも簡単に出会える。Twitch配信者と視聴者をつなげる一つの成功例といえるだろう。

もちろん、Twitchとの親和性を高めるだけでなく、ゲームそのものも洗練されていった。9月の大型アップデート以降、ゲーム内のUIが軒並み改善されたほか、毒ガス投下の心配がないチュートリアル付きのトレーニングモードが追加されたことで、新規参入のハードルが低くなった。それでもベテランプレイヤーとのスキル差は歴然であるが、レベルアップによる報酬獲得や、有償/無償ゲーム内通貨を使ったバウンティシステムが、プレイし続けるインセンティブとして機能している。またシーズン制度を導入することで、新シーズン開幕にあわせてゲームに復帰するきっかけを作れている。

改善されたUI

マネタイズ面でもマーケットと通貨システムが整理された。ルートボックスやスキンの購入に使用する有償ゲーム内通貨「CROWNS」、リワード(報酬)のアンロックに使う無償ゲーム内通貨「SKULLS」、重複したコスメ・スキンアイテムをリサイクルして入手する「SCRAPS」。3つの通貨が存在することで、次のインセンティブ・アイテム獲得までの道筋が増え、プレイし続ける上での分かりやすい動機をつくれている。このようにプレイヤー人口の増加はTwitchとの連携による影響が大きいものの、プレイヤーをつなぎとめる地道なアップデートを継続してきたことが人口維持の支えとなっている。

コスメアイテムも定期的に追加されている

一方で『H1Z1』の片割れである『H1Z1: Just Survive』の状況はと言うと、2016年2月にスタンドアロン版として再発進して以降、同時接続ユーザ数は数千人規模のままである。規模としては同ジャンルの『DayZ』と大きな差はなく、極端に過疎化しているわけではない。ただ『H1Z1: King of the Kill』で適用されたエリア追加、Twitch連携、UI改善、操作キャラクターの追加などはいまだ『H1Z1: Just Survive』に引き継がれておらず、停滞感があることは否めない。とくにインベントリーUIに関しては『H1Z1: King of the Kill』をプレイしたあとであれば、なおさら不便に感じるだろう。

画像左:エリア追加前、画像右:エリア追加後

なお『H1Z1: King of the Kill』は当初2016年夏にPlayStation 4/Xbox One向けのリリースを予定していたが、無期延期となったままである。今年3月に行われたたReddit Q&Aでも、現時点ではPC版の開発に注力しており、コンソール版のリリース時期は未定であると回答している。

3月24日には同作と似たバトル・ロワイアル形式のマルチプレイ対戦『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』が早期アクセス販売を開始する。新たなライバルの登場に触発されゲームの改善・進化へとつながっていくのか、またプレイヤー人口に変化が見られるのか、今後の動向に注目していきたい。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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