Wii U/Nintendo Switch向けに発売された『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(以下、ブレス オブ ザ ワイルド)』が国内外で称賛されている。同作は、任天堂の看板タイトル『ゼルダの伝説』シリーズの最新作。これまでのシリーズ作品でも広大なフィールドを冒険できたが、『ブレス オブ ザ ワイルド』では本格的なオープンワールドが導入されている。『ゼルダの伝説』は任天堂の看板タイトルのなかでもコアなファンを抱える人気シリーズであったが、これまでの『ゼルダの伝説』のゲームデザインにオープンワールドを融合させた本作は、世界的に高い評価を得ている。
ゲームタイトルの評価の指標になるのが、Metacriticだ。Metacriticは、さまざまなサイトからレビューを取得し集積した数字を使って加重平均値を割り出し、百点満点の「Metascore」を算出する「Critic Score」と、ユーザーが投稿したレビュースコアの平均を割り出す「User Reviews」が存在する。Critic Scoreは一定の信用性のあるメディアやサイトからデータを取得しており、一般的な評価の傾向がわかるという点でデベロッパーやユーザーの参考にされることが多い。SteamストアにCritic Scoreが掲載されていることからも、影響力の大きさがわかるだろう。
このMetacriticのCritic Scoreにおいて、3月8時17時時点で『ブレス オブ ザ ワイルド』のレビューは71件掲載されている。この71件のうち44件が満点を記録し、Metascore は98点を叩き出しているのだから驚きだ。Critic Scoreでそもそも90点以上を記録することが難しく、2016年に発売され、90点以上のMetascore を記録したタイトルは13本しかない。レビューの半数以上が満点で、98点というMetascoreを出したことがいかに快挙であるかよくわかるだろう。Wii U版とNintendo Switch版の両方でフレームレート低下などが指摘されており、こうした技術的な問題はレビューの点数の低下に結びつきやすい。しかし、指摘されている問題はゲームプレイに大きく影響を及ぼさないからか、それほど重要視されていないようだ。
User Reviewsについてはおおむね高い評価を得ているが、Negativeレビューも多い。Negativeレビューでは「時代遅れでつまらない」「これほど評価されるゲームじゃない」など抽象的な批評で0点をつける極端なユーザーレビューも少なくない。User Reviewsではユーザーの率直な意見が聞けるものの、誰にでも投稿できる分、レビューの信憑性は書き手の質に大きく依存することになる。『ブレス オブ ワイルド』がUser Reviewsは7.5を記録し、Critic Scoreほど高い数字が出ていないのは、こうした理由が背景にあるだろう。
またMetacriticと同様の機能を持つレビュー集積型ウェブサイト「OpenCritic」でも『ブレス オブ ザ ワイルド』は高評価を記録している。OpenCriticにおいては66件のレビューを集積し97点を叩き出している。この数字は『Grand Theft Auto V』を抜きOpenCriticに掲載されているタイトルのなかでは最高の数字となっている。
一方で、海外レビューでは任天堂の据置ハード向け『マリオ』シリーズ、『ゼルダの伝説』シリーズ、『Grand Theft Auto』シリーズが特に高く評価されると指摘する声が存在している。確かにMetacritic のCritic Scoreの歴代のハイスコアタイトル一覧を見ていくとこの3作品が目立つ。しかし『スーパーマリオ 3Dワールド』は90点、『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』は93点。『Grand Theft Auto IV』のDLCは90点を下回るものが多い。人気シリーズであるほどスコアが高くなりやすいという部分は否定できないものの、シリーズタイトル、あるいはコンテンツであれば無条件に高評価されるというわけでもない。
MetacriticやOpenCriticは「ゲーム内容を強引に点数化し平均化する」という特殊な構造から、必ずしも指標に適しているとはいえない。しかし、『ブレス オブ ザ ワイルド』がどれほど海外で受け入れられるかという点では、参考にはなるだろう。Switch版『ブレス オブ ワイルド』は北米での2日間の売り上げでは歴代ローンチタイトルとして最高の滑り出しを記録したことが報告されており、評価だけでなく売り上げも順調なスタートを見せている。順調な売り上げを見せるNintendo Switchと新作『ゼルダの伝説』がどこまで伸びていくのか、今後が楽しみだ。