『Overwatch』カスタムゲームブラウザが全プラットフォームで実装、「バスティオン」の大幅調整も


Blizzard Entertainmentは2月28日、チーム対戦型FPS『Overwatch』(オーバーウォッチ)の最新アップデートを配信し、カスタムゲーム用のサーバーブラウザを全プラットフォーム向けに実装した。これまでは対戦メンバーをフレンドもしくはAIから指定できる以外に特別なカスタム要素はなかったが、新たな機能を使えばマップルールの細かな調整はもちろん、キャラクターごとに最大体力や移動速度といった各パラメータを変更することも可能だ。先日からPC向けのパブリックテスト環境(以下、PTR=Public Test Region)にてテスト実装されており、ボスバトルやペイントボールといったユニークな遊び方で賑わっていた。また、今回のパッチで以前から予告していた「バスティオン」の大幅調整が施されたほか、旧正月イベントで人気を博したゲームモード「キャプチャー・ザ・フラッグ」がアーケードに常設されている。

 

カスタムゲームブラウザ

『Overwatch』は、おもに6人ずつのチームに分かれて計12人でオンライン対戦が楽しめる一人称視点のMOBA系アクション・シューティング。Blizzard EntertainmentがWindows/PlayStation 4/Xbox One向けにリリースした十数年ぶりの完全新規タイトルである。多種多様な武器や装備、特殊能力を操るヒーローが特徴で、キャラクターによって得意分野や役割分担が大きく異なる。カスタムゲーム用のサーバーブラウザが導入されたことで、マップおよびルール内容、キャラクターやスキルごとに細かな仕様が変更できるようになった。たとえば、キャラクターの最大体力・攻撃力・防御力・回復量・移動速度のほか、特定スキルの使用の可否や、クールダウン時間も自由に設定できる。

特筆すべきは、それぞれのチーム人数を非対称に設定したり、チーム別に使用できるキャラクターを固定したりと、サーバーブラウザを使って発想力に富んだ多種多様なカスタムゲームが楽しめる点だ。先日のPTRでは、超ハイスピードの「ゲンジ」のみで戦うプロゲンジシミュレーターや、「ソンブラ」扮する凶悪なプレデターにスキルを封じられた3人の「ソルジャー76」が挑むプレデターモードなど、ユーザーが考案した自由な遊び方が続々と登場した。中でもおすすめなのが、ワンショット・ワンキルできるように体力と攻撃力を調整した「アナ」によるペイントボール。N64タイトル『ゴールデンアイ 007』の黄金銃オンリー対戦を彷彿とさせる緊張感が味わえる。

非対称のチーム構成で戦ういわゆるボスバトルも人気だ。設定によってはボス側が強過ぎたり弱過ぎたりとゲームバランスの調整が難しい遊び方だが、中には「マーシー」のネクロマンサーごっこのような完成度の高いカスタムゲームも存在する。このモードでは、「マーシー」扮するネクロマンサーが5体のAIミニオンを率いて、6人のアタッカーから拠点もしくはペイロードを防衛する。ボス側の「マーシー」は、最大体力をもちろん全体的に強化されていることに加えて、アルティメットゲージが驚愕のスピードで回復する。これによりAI操作の下僕たちはやられてもやられても「リザレクト」でゾンビのように蘇り続けるというわけだ。AIキャラクターはアルティメットアビリティの使用を封じられているが、通常よりタフに設定されているほか「マーシー」による回復量も増加している。

このほか、既存のゲームルールから外れた遊び方もお祭り気分で盛り上がっている。その内容は、「アナ」の「スリープ・ダーツ」を撃ち合うドッヂボールや、6人の「メイ」と「ロードホッグ」で行うハチャメチャなこおり鬼、マクリー強盗団とソルジャー保安官によるケイドロなど、どれも童心に帰れる内容ばかりだ。中には、「ザリア」同士が「パーティクル・キャノン」で突き刺し合うジョスト(中世ヨーロッパで盛んに行われた騎士同士の馬上槍試合のこと)というもはや訳がわからない遊び方をするユーザーも。また、ルシオレーシングでは、移動速度をチューンナップした「ルシオ」で「クロスフェード」と「アンプ・イット・アップ」を駆使してゴールまでのタイムを競い合う。

 

バスティオンに大幅調整

今回のアップデートにより、以前ゲームデザイナーのGeoff Goodman氏が言及していた「バスティオン」への大幅調整が施された。先日の変更プランで大まかな内容を説明していたとおり、「セントリー・モード」への変形時間が1.5秒から1秒へ短縮される代わりに、集弾率の50パーセント低下と共にヘッドショットによるクリティカル判定がなくなった。なお、これまでは連射時間に応じて集弾率が徐々に低下していく仕様だったが、今後は上記の最大値に固定される。また、セントリー時の装弾数が200発から300発へ増加している。一方、「偵察モード」では逆に集弾率が25パーセント上昇。装弾数も20発から25発に底上げされている。

大幅調整でさらなる活躍が期待できる

次に大きく変更されたのが「自己修復」スキル。これまで回復中は完全に無防備な状態だったが、移動中も使用できるようになり、修復中にダメージを受けても中断されることがなくなった。また、「D.Va」の「ディフェンス・マトリックス」のようなゲージ消費システムが導入され、非使用時に自動回復するリソースメーターの容量だけ回復できる仕組みに変更された。なお、このアップデートにより「自己修復」のキー割り当てが、アビリティ2からセカンダリファイアへ切り替えられている。最後に、アルティメットアビリティの「タンク・モード」からボーナスアーマーがなくなり、代わりに「セントリー・モード」および「タンク・モード」時に被ダメージ量が35パーセント減少する仕様になった。より幅広いシチュエーションにおける「バスティオン」の活躍が期待できるだろう。

このほか、「D.Va」の「ディフェンス・マトリックス」は一定の至近距離における敵の投射物がブロックできなかった仕様が修正された。「メイ」の「クリオフリーズ」は、自分が氷漬けになっている間も回復やシールド付与といった味方からのターゲット指定が有効になった。「マーシー」は「リザレクト」発動中は味方が復活するまで一時的に無敵状態に。また、今後は「ゼニヤッタ」が「心頭滅却」を発動している間は、「カデュケウス・スタッフ」を「ゼニヤッタ」に使うことはできない。加えて、ヒーロー別の設定オプションとして、「ガーディアン・エンジェル」と「カデュケウス・スタッフ」の照準感度を自由に調整できるようになった。

以前強力過ぎるという理由で弱体化された「ロードホッグ」にも再び調整が加えられている。「スクラップ・ガン」の拡散率を20パーセント減少させる代わりに、「チェイン・フック」で引き寄せられたターゲットの移動先が、「ロードホッグ」から3.5メートル離れた位置に変更された。これまでは2メートルだったために、直後の近距離射撃があまりにも強力過ぎたのが理由だ。クールダウンも6秒から8秒に延長されている。また、ヘッドショット判定が大き過ぎて格好の的だった「ウィンストン」は、判定領域が15パーセント小さくなった。ほかにも「アナ」の「ハック」、「ウィドウメイカー」の「グラップリング・フック」、「ザリア」の「バリア・ショット」、「ゼニヤッタ」の「調和のオーブ」「不和のオーブ」などにも、「マーシー」と同様に感度設定が用意されている。