Failbetter Games(以下、Failbetter)は2月2日、『Sunless Skies』のKickstarterキャンペーンを開始した。初期目標資金額の1万ユーロ(約1200万円)は初日のうちに達成している。本作は『Sunless Sea』と同様、2D見下ろし型のタイトルである。対象プラットフォームはPC/Mac/Linux。ローグライクな要素を取り入れつつも、探索とサバイバル、そして行く先々で出会う人々の物語によりプレイヤーを太陽なき宇宙へと引きずり込む。
ときは20世紀初頭。前作『Sunless Sea』から10年の年月が流れ、英国のヴィクトリア女王はロンドンの街を捨て、大宇宙に新たな帝国を築きつつある。Failbetterの過去作と同じく「Fallen London」の世界が描かれるが、これまでにない新たな境地へと飛び出している。Failbetterは本作の開発にあたり影響を受けた作家として、H. G. WellsやC. S. Lewis、惑星冒険もので有名なLeigh Brackettの名を挙げており、アール・ヌーヴォーやRPGゲーム『Planescape: Torment』からも着想を得ているという。
プレイヤーは宇宙船の船長として港から港へと飛び渡り、物資や情報を運ぶ。宇宙船は蒸気機関車の進化系であり、装甲部分が乗組員を低温から守り、蒸気エンジンの力により終わりなき宇宙空間を突き進む。取引を続け資金を貯めれば、より素早い、あるいはより強力な武器を搭載した宇宙船が手に入る。トレイラー動画を見る限り宇宙船での移動は『Sunless Sea』の蒸気船よりもスピード感がある。動きのある戦闘が期待できそうだ。また前作のように多種多彩な乗組員を雇うことができ、それぞれに固有の物語がある。宇宙は未知の生命体で溢れており、乗組員の恐怖値には常に気を配らなければならない。
より具体的な世界観をイメージできるよう、Kickstarterキャンペーンページでは新世界に広がるいくつかの地域が紹介されている。帝国の心臓部にある「Albion」は技術力の結晶でもある「時計仕掛けの太陽」によって照らされている。「時の玉座」に座るヴィクトリア女王は時を支配下に置くことで権力を振るっている。女王に気に入られた者の寿命は延長され、歯向かう者は「1分が1日」の長さになる「深夜の牢獄」に送りこまれるという。
「The Reach」は宇宙の最前線にある未開拓地であり、帝国が支配下におき搾取しようと企んでいる。ヴィクトリア女王が操る時間はこの地域で採掘されるようだ。「The Reach」は荒れくれた地であり、帝国の圧政に反発した開拓移民たちが自治を強めようと戦っている。帝国側につく貿易企業が反乱軍を根絶やしにしようと機会を窺っているが、対する反乱軍は統制がとれておらず、このままでは自治を守りきれない。帝国と反乱軍のどちらに味方するかはプレイヤーの選択にかかっている。
「Port Prosper」は貿易企業「Windward Company」の本拠地である。採掘された時間を加工し「Albion」へと発送する工場でもあり、「The Reach」から続く線路なき鉄道の終着駅でもある。別名「Little London」とも呼ばれており、ロンドンらしいティーショップ、サロン、派手なシアターが立ち並んでいる。
プレイヤーはこれらの地域での勢力争いに加担したり、人々の依頼に応えることで英国の未来を左右していく。なお前作『Sunless Sea』ではパーマデス制度を採用した結果、序盤のコンテンツを何度も繰り返す必要があった。対する『 Sunless Skies』では港に着く度にゲームデータがセーブされる。旅の途中で死亡した場合、最後のセーブポイントからやり直せる。一方、死を受け入れることで次の船長に代替わりすることも可能だ。先代の持ち物と経験値の一部は引き継がれる。先代が取った選択や世界に与えた影響はリセットされずに永続する。
また前作のように、船長のスキルと勝利条件はプレイ開始時に選択する。資産家になること、冒険家として名を残すこと、権力を手にすること。ロマンあふれる大宇宙の中で大いなる野望を叶えるのだ。