『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』を開発運営するRiot Gamesおよびその親会社であるテンセントが、今年7月に新たな国際大会を開催することが明らかになった。発表が行われたのはLPL(中国プロ一部リーグ)シーズン開始に当たってのプレスカンファレンスで、すでに例年通りの開催が決まっているMid-Season Invitational(MSI)および世界大会とは別の国際大会を立ち上げるとのこと。
プレスカンファレンスは、テンセントのJin Yibo氏とRiot Games中国支社のYe Qiang氏が記者陣の質問に答える形で行われた。新しい国際大会について詳細は明かされなかったものの、「MSIとも世界大会とも違うフォーマットになる」とのこと。Ye Qiang氏は「ファンからの興味を大きく集められる大会形式を現在も模索している。たとえばワールドカップ形式などはどうか。今年の7月に開催したいのは、もっと多様でもっとファンが満足する『LoL』イベントだ。期待して待っていてほしい」とコメントした。例年5月に行われるMSIは五大リーグとワイルドカード地域から春期スプリットの王者のみが集って競い合う国際大会だ。他方、10月に開催される世界大会は春夏の総決算として各地域から複数の代表チームが世界最強の座を巡って争う(参考:プロシーンのスケジュール解説)。MSIが開催されるようになったのは2015年からで、当時も中国での発表からスケジュール変更が明らかになったため、今回の発表も信憑性があると見ていいだろう。
国際大会の機会を絞ることで、地域ごとに独自のメタゲームを育成してほしいという意図をRiot Gamesは持っている。しかし実際の国際大会では、充実したコーチ陣が的確なゲーム研究を行い、権威をもって選手に手堅い選択を行わせる韓国のチームや、技量に優れた韓国人選手の活躍が華々しい。国際大会の新設にあたり、一部地域のチームや選手のみを除外するのは現実的ではないが、国際的な競技の機会をさらに求める声は少なくない。ほとんどの地域がレギュラーシーズンの対戦をBo3(3本先取)方式で行っている現在、スケジュール調整の問題も大きい。7月といえば例年は夏期スプリットの後半戦が進行している最中だ。今年の春夏は昨年までと同じスケジュールなので、どういった開催形式になるかは今後の詳細発表が待たれる。
記者陣からの質問は他にも、LPLの運営や昨年の世界大会の話題、今後の競技シーン全体のスケジュール、e-Sports業界の成長と生態系が抱える問題点など多岐にわたった。中国では国家がe-Sportsをスポーツとして認定しており、オリンピック種目への採用の可能性も話題になっている。「競技・装飾・戦略・賭博などの面で、ゲーミングとスポーツは現在とても似た立ち位置にいる。『LoL』をただの遊び場にしたくはないが、ゲーミングとともにオリンピックのスポーツ種目になる可能性は歓迎している。パイは大きくなり、産業化が進むが、それこそが我々の最終的な目的」とYe Qiang氏は答えている。
またここ数年でシステムが整備されつつある大学リーグについては、「大学リーグは我々のトーナメントシステムに必要不可欠だ。こういった試合で出場選手が大いに楽しみ、さまざまな地域のさまざまな大学が競技の楽しみを見せられることはとても重要だと考えており、今後も促進していきたい」と述べた。大学イベントの国際化については「International College Invitationalのようなものを以前考えたが、アジア有利なものであり、世界中の大学が参加できるようなものでないので、今後じっくりと準備計画していく。今は少なくとも基礎を作ることが重要で、既存の大学リーグの発展維持を行っていく」とし、世界の各地域で推進されている大学リーグには今後常に力を入れていくと明言した。
テンセントとRiot Gamesの姿勢が、生態系そのものの大きな発展であることがうかがえる。新しい国際大会の開設や既存大会の周辺整備は、今まで以上の『LoL』競技シーンの盛り上がりにつながるだろう。