マスターチーフがブロック玩具の惑星に降り立つ、開発中止された未発表の『Halo』ゲーム映像が発掘。MSも存在を認める

ゲームのプロトタイプ版の情報を収集しているPtoPOnlineのAndrew Borman氏が1月7日、未発表の『Halo』シリーズタイトルのゲームプレイ映像を自身のPatreonページおよびYouTubeに投稿した。

ゲームのプロトタイプ版の情報を収集しているPtoPOnlineのAndrew Borman氏が1月7日、未発表の『Halo』シリーズタイトルのゲームプレイ映像を自身のPatreonページおよびYouTubeに投稿した。Borman氏によると、これは匿名の情報提供者によってもたらされた映像で、Xbox 360向けにUnreal Engine 3を用いて2013年の初頭から11月頃にかけてプロトタイプが制作され、その後開発中止になったゲームだという。

その内容はMega Bloks(メガブロック)版の『Halo』ゲームで、『HAGGAR』というコードネームで呼ばれていたそうだ。映像の中のタイトル画面でも『Halo』のロゴ風に表示された『HAGGAR』の名が確認できる。メガブロックは、LEGO社が持っていたLEGOブロックの基本特許が切れた後に現れたさまざまなブロック玩具のひとつで、日本でも株式会社バンダイから発売されている。

ゲームはマスターチーフを主人公とする三人称視点のアクションシューティングで、デフォルメされた『Halo』の世界にメガブロックのキャラクターや構造物が登場している。基本的なゲームシステムはオリジナルの『Halo』シリーズを踏襲しており、『Halo』プレイヤーなら馴染み深く感じられる要素が随所に見て取れる。マスターチーフだけでなくほかのスパルタンでプレイする場面もあり、マスターチーフはバブルシールドが使用可能で、オレンジ色のスカウトアーマーのスパルタンは光学迷彩が使えるなど能力に違いがあるようだ。

一方メガブロックらしい要素はというと、敵を倒したりオブジェクトを破壊したりするとバラバラのブロックに分解されてそれを回収することができる。そして地面にメガブロックの突起がついた場所へ行くと、回収したブロックを消費してその場所に応じたアイテムを組み立てられる。映像では敵を自動で攻撃してくれるタレットや、敵の攻撃から身を隠すための壁などを戦闘中にリアルタイムに設置している。また、入手した設計図をもとに複数のメガブロックを組み合わせ、ステージを進むために必要なエレベーターを作る場面も確認できる。

ゲーム内ではワートホグなども登場しているが、興味深いのは特定の場所でそういった乗り物を組み上げることができ、さらにカスタマイズする要素が用意されていることだ。色やデカールの変更といった見た目だけではなく、搭載する武器やツールを選ぶこともできる。相対する敵やステージの攻略に合わせて選択することが求められるのだろうか。

キャンペーンモードはシングルプレイに加えて2人協力プレイにも対応しており、画面分割でのプレイが可能。マスターチーフのアーマーのスタイルなどから2012年に発売された『Halo 4』に近い時代だと推測できるが、Borman氏はどのようなストーリーを描いていたのかは分からないとしている。ゲームにはほかにFirefightのようなゲームモードも収録されている。前述したアイテムを組み立てる機能を使って攻撃・防御アイテムを設置し、襲いくるコヴナントの波状攻撃から拠点を守るというものだ。

Borman氏は映像の中で“Vertical Slice”であると語っているため、十分に仕上がっているように見える場面は、序盤のステージだけをほぼ完成に近い状態に組み上げたビルドだと考えられる。TPSながらオリジナルの雰囲気を感じられるゲームプレイはスピンオフとして申し分ない出来のように見える。またメガブロックゲームならではのビルド機能も興味深く、開発中止になってしまったのは実に残念だ。

メガブロック Halo Warthog Resistance
メガブロック Halo Warthog Resistance

メガブロックはゲームとのコラボレーションセットを手がけており、『Halo』シリーズのメガブロックも数多く発売している。ご存知のようにLEGOも映画作品などのLEGOブロックセットを販売しており、それをモチーフにしたゲームも制作している。それと同じようにマイクロソフトとメガブロックがゲームでもコラボレーションする企画が持ち上がるのはあり得ない話ではない。

しかしこの『HAGGAR』が開発されていたとされる2013年はXbox Oneが発売された年だ。映像の中でBorman氏もこの時期が開発中止になった要因ではないかと推測しているが、Xbox Oneへの移行期にマイクロソフトがXbox 360専用タイトルとして本作を企画したことには首をかしげざるを得ない。Xbox One向けに変更あるいは追加することも可能だったのではと考えられるが、開発中止されたのは後述する『Halo』ブランドの展開方針などほかの要因もあったのかもしれない。

そんな本作の開発を担当していたのは昨年閉鎖されたn-Spaceだという。『Call of Duty』シリーズのニンテンドーDS版などの開発実績を持つスタジオで、2015年には初のオリジナルタイトルとして『Sword Coast Legends』を発売していた。 2007年にIGNが報じた未発表のニンテンドーDS版『Halo』の開発元だとされており、その縁で本作の開発を任されることになったのだろうか。

『Halo』シリーズは『Halo: Reach』を最後にBungieの手を離れ、その後はマイクロソフト傘下の343 Industriesがフランチャイズを管理している。その343 Industriesを率いるBonnie Ross氏は、昨年10月におこなわれた海外メディアFast Companyとのインタビューの中で『Halo』ブランドの展開について語ってる。その中で、コアな『Halo』シリーズファンを失望させないように判断は常に慎重におこなわなければならないとし、たとえば“LEGO Halo”のようなゲームは誰も求めていないだろうと考えていたという。しかし、近年になってそういったゲームの要望が寄せられてきていると話している。

今回まさに“LEGO Halo”のようなゲームといえる『HAGGAR』の映像が公開されたことを受けて、Ross氏は『Halo』シリーズ公式サイトHalo Waypointにコメントを寄せている。Ross氏はまず『HAGGAR』の存在を認めたうえで、このプロトタイプでは『Halo』の世界におけるアクションや探索、あるいはユーザー作成機能といった要素に焦点を絞っていたと説明している。多くの面白いアイデアや発明が生まれたものの、初期のプロトタイプから先の段階へ進むことはなかったそうだ。Ross氏は、このようなプロジェクトはこれまでにもいくつかあり、いまも常に可能性を探っていると語っている。

このプロトタイプを通じてコアな『Halo』ファンには受け入れられないと感じたのか、それとも要望を受けて開発を始めたものの断念せざるを得なかったのか、Ross氏はどのような理由で中止したのかは明らかにしていない。ただ今回の映像を見た『Halo』ファンからは多くの声が寄せられているとしており、要望が高まればいずれ本当に実現するチャンスが訪れるかもしれない。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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