イカダで生活するサバイバルゲーム『Raft』のプロトタイプが公開中。漂流ゴミを漁りサメの脅威から身を守れ


手製のイカダに乗って海洋のど真ん中を漂流するサバイバルゲーム『Raft』。そのプロトタイプ版がitch.io(Windows/Mac/Linux)にて公開されている。見渡す限りの水平線、海面にちらつくサメの背びれ、手元に残されたのはロープに結びつけたフックのみ。そんなロマンあふれる設定もあってか、開発者のブログによると12月中旬に公開されてから一週間で10万ダウンロードを達成したという。

ゲームエンジンはUnity、購入価格はユーザが自由に指定できる“Name your own price”形式を採用。開発を手がけているのはスウェーデンのウプサラ大学に在籍する学生チームである。メンバーはSemih Paralayan氏、Ellen Mellåker氏、André Bengtsson氏の3人のみ。開発は2016年10月に開始したばかり。これらを踏まえると10万ダウンロードというのは快挙であろう。

『Raft』はサバイバルゲームに多く見られるオープンワールド形式を取っていない。「イカダで大海原を彷徨う」という設定上、景観は開けているが延々と続く海が周囲に広がる閉鎖空間が舞台となっている。開発チームが在籍するウプサラ大学のゴットランド・キャンパスもまた、バルト海に囲まれた島に位置している。360度海に囲まれた空間というのはチームにとっては身近な題材だったのだろう。

遭難者となったプレイヤーが生活の拠点とするのは、寝返りを打てば海に落ちてしまうほどに小さなイカダである。限られたスペースの中で「空腹度・喉の渇き・体力」を管理しながらサバイブしていく。ほぼ手ぶらの状態からはじまり、クラフト材料の収集からスタートする点はほかのサバイバルゲームと変わりない。ただし切り落とす木も掘り起こす土も(少なくともゲーム開始時点では)ここにはない。どこからともなく流れてくる漂流ゴミを必死に拾い集めることになる。

おもな漂流物は木材、ヤシの葉、くず鉄の3種類。イカダから手を伸ばして拾うか、手元にあるフックつきのロープを投げて手繰り寄せることになる。泳いで取りにいくこともできるが、すぐに体力を切らしてしまう。それにイカダの周りではサメが遊泳している。獲物みずから海に飛び込むというのは危険である。そうして素材をかき集めたら必需品をクラフトしはじめる。まずは海上生活に不可欠な浄水器と、食料を確保するための釣竿から取り掛かる。サメを追い払うための手槍も欠かせない。サメに破壊されたイカダを修復するため、木槌も早めに確保したいところだ。

まずは質素な暮らしから
まずは質素な暮らしから

はじめのうちは魚を釣りながら漂流物を集め、合間を縫って水分補給と調理をこなすという慌ただしいゲームプレイとなる。手製のコップ一杯分では喉の渇きを癒せないため、浄水器を複数設置できるまでは海水をくんで浄水するというプロセスを絶え間なく繰り返すことになる。だがゲーム開始から十数分もすれば道具が揃い、落ち着いてプレイできるようになる。網を張って漂流物の収集を自動化すればなおさらだ。

ある意味ここからが本番である。快適な海上生活を送れるよう、イカダの拡張に取り掛かれるからだ。木槌と木材を使って足場を広げ、十分なスペースができれば階段と支柱を建てることで巨大建造物へと変貌していく。漂流物に混ざったジャガイモやココヤシの種を植えて自活を図れば、ちょっとしたリゾートハウスにもなる。

イカダがこんな重みに耐えられるわけがないという指摘は野暮なのだろう
イカダがこんな重みに耐えられるわけがないという指摘は野暮なのだろう

raft-003

一通り道具を揃えたあとはクラフト材料の確保に奔走する必要がなくなる。唯一の外的脅威であるサメも一体ずつしか襲ってこない。手槍さえあればこわくない。むしろサメ肉はご馳走であるため、プレイヤーの立ち位置は獲物から狩り手へと逆転する。マイペースなサバイバルライフを満喫できるというわけだ。身の危険を感じることが少ない本作は、サバイバルゲームの中では肩の力を抜いてプレイできる部類に入るだろう。

『Raft』は学生プロジェクトという性質上、製品版として完成されるかは未定である。公式ブログでも言及されているように、冬期休暇が終われば学業を優先するためアップデートの頻度は落ちる。シングルプレイモードのみでコンテンツ量も限られている。それでも、イカダに乗って延々と漂流するという設定はシンプルながら確実にポテンシャルを秘めている。海上サバイバルにロマンを感じるゲーマーであれば試す価値のある作品だ。