「Crytek」、ふたたび給料の未払い問題が発生か?インターネット上で従業員の声「半年以上支払われていない、助けてくれ」

ドイツのゲーム企業「Crytek」にて、従業員に対する給料の未払い問題が発生しているとの情報が浮上している。

ドイツのゲーム企業「Crytek」にて、従業員に対する給料の未払い問題が発生しているとの情報が浮上している。現時点でCrytek側はまだ同件についてコメントしていないが、海外フォーラムや就職支援サイトなどでは従業員とみられるユーザーからの投稿が相次いでおり、徐々に真実味が増している状況だ。

ことの発端となったのは海外フォーラムRedditに立てられた1つのスレッドだ。ドイツに住むユーザー「CrytekThrowaway」なる人物は、「Crytekは私と同僚たちに6か月も給料を支払ってない。助けて!」と伝え、法的にどうすればよいかとユーザーたちに相談している。投稿によれば、従業員の多くは他国からCrytekへと出稼ぎで働いており、給料が長く支払われていない現状では故郷に帰ることもままならないという。この問題はCrytekの全てのオフィスに広まっており、Crytek上層部は従業員との話し合いを拒否しているとも同ユーザーは伝えている。

コメントなどの履歴を見ると、ユーザー「CrytekThrowaway」は同件を訴えるためだけにRedditのアカウントを取得した模様である。また複数のサブレディットにスレッドを立てては消されるといった行動を繰り返してもいる。Crytekは過去にも給料の未払い問題が発生しており、今回の投稿はそれを参考にした悪い冗談という可能性も捨てきれない。

Redditへの投稿
Redditへの投稿

一方で現地時間の11月28日には、英国の就職支援サイト「glassdoor」にて、「7か月のあいだ遅れた給料、嘘と言い訳」と題したCrytekへの評価が投下されていた。この人物はCrytekで3年間にわたり働いてきたそうで、過去7か月にわたり数日か数週間も支払いが遅れることが何度も発生していると訴えている。経営陣との対話は上手くいかず、毎回いいわけを聞かされているのだという。このほかにも10月には、2016年5月から給料の支払いが遅れていると訴える投稿もある。前述のRedditでの件もふくめ、それぞれの投稿は「ここ半年間ほど給料の支払いが遅れている」という点で符号している。

このほか、どちらもリーク情報に強いメディアとして知られているわけではないが、海外の「Let’s Play Video Games」と「KitGuru」は、それぞれ匿名のCrytek従業員たちから同様の情報を得たというニュースを報じている。「Let’s Play Video Games」に情報を伝えたのは3か月半のあいだ給料を受け取っていないという「Crytek Black Sea」の従業員。「Crytek Black Sea」はブルガリアの開発スタジオであり、同サイトはゆえにこの問題はドイツだけでなくCrytek全体で発生している問題だと推測している。この従業員は、Crytekが長い期間にわたり利益を上げていないことや、おそらく本社に対するCryEngineのライセンス契約金の支払いが遅れていることなどを上げ、さらに“有名企業”が「Crytek Black Sea」の売却に関連していると伝えた。

F2Pタイトルへの事業転換や次世代機向けタイトルへの投資が上手くいかなかったのではとささやかれてきたCrytek。近年はVRタイトルなどに注力しているようにも見えた
F2Pタイトルへの事業転換や次世代機向けタイトルへの投資が上手くいかなかったのではとささやかれてきたCrytek。近年はVRタイトルなどに注力しているようにも見えた

ゲームエンジン「CryEngine」で知られるCrytekは、Cevat氏、Avni氏、Faruk氏のYerli三兄弟によって設立されたスタジオ。ゲームタイトルとしては当初『Crysis』シリーズで名を馳せ、近年ではFree-to-PlayやVRへと事業を転換しつつあった。なお給料の未払いは2014年6月にも発生していた問題で、当時Crytekは同件を正式に認め、さらに『Homefront』のIPとCrytek UKを売却。今後は財政状況を改善すると約束していた。近年の動きを見ると、Amazonとのライセンス契約で「CryEngine」を「Lunberyard」という名で提供したり、また“Pay What You Want”方式で使用できる「CryEngine V」を発表している

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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