コナミが欧米でPCエンジンの海外名「TURBOGRAFX」を相次いで商標登録。「PCエンジンミニ」を期待する声も
株式会社コナミデジタルエンタテインメント(以下、コナミ)がアメリカで「TURBOGRAFX」なる商標の登録を申請していたことが、海外フォーラムNeoGAFなどで話題になっている。この「TURBOGRAFX」は、NECが1987年に発売した家庭用ゲーム機「PCエンジン」の海外版である「TurboGrafx-16」に関連した商標であると考えられる。
PCエンジンはNECとハドソンが共同開発したもので、ハドソンはのちにコナミの傘下に入り、2012年に吸収合併された。現在国内ではコナミとビッグローブ株式会社(旧NECビッグローブ)がPCエンジンの商標を所有している(1987年当時から更新され続けている)。ちなみにNECは過去に「TURBOGRAFX」「TurboGrafx-16」ともにアメリカで商標登録していたが、すでに失効している。
今回発見された商標「TURBOGRAFX」は、つい先週の12月1日に登録されている。その使用目的としては、ゲームソフト・ゲームプログラム・ゲームコントローラー・ゲームコンソール・オンラインゲームサービスなどが記載されており、PCエンジンの資産を利用した何らかのゲームコンテンツが想定されているようだ。
実は「TURBOGRAFX」は、この一か月前にヨーロッパでも商標登録されていた。こちらはMilojevic, Sekulic & Associatesという特許商標事務所が申請しているため、コナミによるものかどうかははっきりしない。しかし、この特許商標事務所は日本企業の商標申請を数多く代行しており、そしてこの商標の使用目的はアメリカで申請されたものとまったく同じであるため、やはりコナミの代理で登録されたものと思われる。
さて、なぜコナミは今になってPCエンジンの商標を登録したのだろうか。前述の海外フォーラムなどで期待が集まっているのは、いわゆる「PCエンジンミニ」だ。任天堂が今年9月に発表し、11月に発売した「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ(以下、ファミコンミニ)」のPCエンジン版の発売を、コナミが計画しているのではないかという予想だ。
ファミコンミニは、1983年に発売されたファミコンの本体を約60パーセントのサイズで精巧に再現し、その中に30本の人気タイトルを収録したものだ。海外では本体デザインや一部収録タイトルは違うものの、「Nintendo Classic Mini」として同じコンセプトで発売されている。こういった多数のゲームソフトがあらかじめ収録されたプラグ&プレイゲーム機はこれまでにも存在したが、任天堂自らパッケージを含め高いクオリティで“復刻”してみせたことで、どちらもいまだに世界中で品薄状態が続く人気商品になっている。
PCエンジンでは『PC原人』シリーズなど数多くの人気作が生まれ、プラットフォームの中心的な役割を担ったハドソンの資産を保有するコナミが、PCエンジンミニをもって二匹目のドジョウを狙っていても何ら不思議はないだろう。もちろん、まったく別の目的である可能性もある。たとえば、PlayStationプラットフォームで展開しているPCエンジンアーカイブスや、任天堂プラットフォームで展開しているバーチャルコンソールのようなゲーム配信サービスを、新たなプラットフォームで立ち上げる準備かもしれない。あるいは、単純に自らの保有資産の商標権を確保しておきたいということも考えられる。目的は不明だが、今年に入ってからMonkey Paw GamesやFlying Tiger Entertainmentといったゲームスタジオが「TURBOGRAFX-16」や「TURBOGRAFX 16」といった商標をアメリカで登録している。コナミが「TURBOGRAFX」の商標登録を申請したのはその後のことだ。
いずれにせよ、その商標の使用目的として記載されている内容はさまざまで、またそれらが必ずしも製品の発売に結びつくとは限らないため、何とも言えない状況だ。コナミがPCエンジン/TurboGrafx-16に関して、我々の目に見える形のなにかを計画しているのかどうか、今後の動きに注目したい。