ゲーム業界の転職、どんなスキルが求められる?足りてないのはどの職種?ゲーム専門転職エージェントにいくつか訊いた【ミニインタビュー】
国内だけでもさまざまな企業が存在するゲーム業界。専門的な知識・スキルを求められる業界でもあり、企業や職種によって活かせるスキルもまちまち。一般的な転職ノウハウがしっくりこない傾向もあるだろう。
弊誌はそんなゲーム業界での転職について、ゲーム人材の紹介・派遣サービスで30年の実績を誇るIMAGICA GEEQに気になる質問をさまざまぶつけていく。実績ある同社から得られた回答を連載で紹介していこう。本稿はその第1回だ。
IMAGICA GEEQは、ゲーム制作のEtoEサービスを掲げ東京・大阪・新潟などに拠点を置く一方、全国でゲーム転職サービスを展開する企業だ。直近ではカプコンやCygamesなど有名企業が多数参加する転職イベント「ゲームクリエイターズドラフト」を主催している。
まず第1回となる本稿では、ゲーム業界において「そもそもどのようなスキルが求められるのか」を同社エージェント部のマネージャー・菅原芳樹氏に伺った。なお、IMAGICA GEEQは転職エージェントであるため、ポジショントーク要素もあるかと思われ、その点を留意していただければ幸いだ。
Q.ゲーム業界において、需要のある経験値やスキルセットはありますか?
A.
ゲーム業界では開発チームを率いる「マネジメントライン」と、自身のスキルや知見を極めていく「スペシャリストライン」とに分かれます。
「マネジメント職(ディレクターや各職種のセクションリーダー)」の経験は常に需要が高いです。
どれくらいの規模で、どんな役割で立ち回ったかがアピール材料となり、その内容が新天地での期待ポジションとどれくらいマッチするかがポイントになってきます。一方で「自社の組織をいかに効率的に運営していくか」という課題はどの企業も常に抱えているので、その改善に一役買ってくれる方を求めているケースもありますね。
もちろん、各種スペシャリストも需要が高いです。例えば、アーティスト(デザイナー)で言うと、デザイン力の上に何かひとつ秀でたものをお持ちの方が重用されています。
具体的には、コンセプトアートやプロトタイプのデザインなど、ゲーム開発プロジェクトの企画段階から携わった経験値は高く評価されますね。
あるいは、「モデリング+シェーダー経験」「モーションデザイン+プラグイン開発経験」といった、デザインと技術の複合的な経験をお持ちの方もスペシャリストとしての需要が高い傾向にあります。
技術面の需要から言えば、さまざまなゲームエンジンがある中で「Unreal Engine(以下「UE」)」の経験・スキルを身に着けるのは非常におすすめです。2024年は「高精細・ハイエンド・大規模」プロジェクトが多かったため重用されていました。
UEはゲーム業界に限らず、映像や放送、自動車や建築の業界でも広く使用されていましたので、秀でた技術をお持ちであれば、異業界からチャレンジの際にもアピール材料になるかもしれませんね。
Q.ゲーム専門転職エージェントから見て、今業界で足りてないと思うポジションは?
A.
現状ですと『「テクニカルアーティスト(以下「TA」)」を紹介してくれませんか』というお問い合わせを多くいただきます。TAはまだ比較的新しい職種であり、企業様それぞれ定義が異なる印象もありますが、アーティストとエンジニアの間に立って、お互いが円滑に連携できたり、それぞれの役割に専念できるよう、データや開発環境の整備・改善を行いながら両者の橋渡しを行う役割です。
TAは希少性の高さから足りていないのですが、需要の高まりから足りていないのは「プロジェクトマネージャー(以下「PM」)」です。
以前は企画職が兼務するケースが多かったPMですが、ゲーム開発プロジェクトは年々大規模化しており、それに伴い専門ポジションとして役割を設けるケースが増えてきました。特にAAAタイトルと言われるような大型ゲームの開発プロジェクトは携わる人数が数百名に及ぶケースも珍しくなく、重要性が増してきたといえるでしょう。
第1回の内容は以上となる。今後も弊誌ではIMAGICA GEEQに、ゲーム業界での転職にまつわるさまざまな質問をぶつけていき、日曜日に不定期掲載予定。気になる人はチェックしてほしい。