個人でゲームを制作し、販売するまでを体験する『Indie Game Sim』。インディーで作り続ける困難も描くシミュレーション

第300回目のIndie Pickで紹介する『Indie Game Sim』は、特殊なアプローチのシミュレーションゲーム。『Indie Game Sim』はタイトルどおり、個人や少数のスタッフでインディーゲームを制作し、販売するまでの一連のプロセスを体験できる内容。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第300回目は特殊なアプローチのシミュレーションゲーム『Indie Game Sim』を紹介する。

基本は『スーパーマリオメーカー』のように簡単にステージを制作できる。
基本は『スーパーマリオメーカー』のように簡単にステージを制作できる。

『Indie Game Sim』はタイトルどおり、個人や少数のスタッフでインディーゲームを制作し、販売するまでの一連のプロセスを体験できるシミュレーションゲームだ。プレイヤーは簡単なアセットを使ってアクションゲームを制作し、完成したゲームをSteamに似たストアで販売していく。

出来上がったゲームはストアにてレーティングや売り上げが評価される。ストアのページの閲覧数やクリック数、ゲームプレイの満足度や作品のオリジナリティなど、細かな評価点も表示される。稼いだ資金で新しい仕掛けのアセットを購入し、よりクオリティの高いゲームを制作することが可能になっていく。

不気味な人物がゲーム制作者であるプレイヤーに問いかける。
不気味な人物がゲーム制作者であるプレイヤーに問いかける。

また、ゲーム制作と販売だけではなく、謎の人物に「君は何も知らない。君は自分をとても賢いと思ってる。だけど君は嫌な事実を知るよ」と問いかけられるシーンもある。本作の解説には「自信喪失を克服して、あなたが夢見たクリエイターになる」という一文もあり、単なるシミュレーションには終わらず、個人のゲーム制作で直面する困難にもアプローチするようだ。

『Indie Game Sim』からうかがえるのは、インディーゲームの制作と販売のシミュレーションゲームというだけではなく、インディゲーム業界のパロディの面である。その意味で思い出すのは2013年にリリースされた『DLC Quest』だ。このゲームでは先に進むために、集めたお金で仕様を追加していくというゲームデザインで、現在でも続いているDLC販売を徹底してパロディにしていた。では『Indie Game Sim』が何をパロディにしているのかというと、個人のゲーム制作から販売までのハードルが下がり、ストアに膨大な数の作品がリリースされている状況だ。

いまやUnityからUnreal Engine 4、Game Maker Studioなどの著名なゲーム開発ツールが基本無料で使用可能な時代である。たとえ高価なプロ用であったとしても、今年の9月に販売されたGame Maker Studioのバンドルのように安価で手に入れることもできるほど、個人のゲーム制作が活発な時代である。それを反映している『Indie Game Sim』は現在Steam Greamlightに登録中。興味を持った方はチェックしてほしい。

Hajime Kasai
Hajime Kasai

ブログ「GAME SCOPE SIZE」を運営。その他のメディアにも寄稿しています。

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