謎のユニコーン男の実写映像取り込みエロティック・コメディ『Project Tingler』の制作が発表

第279回目のIndie Pickで取りあげる『Project Tingler』は、FMV(Full Motion Video、実写の動画取り込みのビデオゲームの意味)デートシム。ただし、制作がスタートしたばかりなので、タイトルは仮のものだという。どのようなアプローチを取っていくのか興味深い。

【UPDATE 2016/10/27 18:28】 『Project Tingler』のKickstarterキャンペーンがスタートしている。初期ゴールの目標額は6万9420ドル。

【原文 2016/8/29 14:56】 発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第279回目は『Project Tingler』を紹介する。まだ制作がスタートした段階のため、これは仮タイトルである。

『Project Tingler』の制作中の動画を見てみると、冒頭からユニコーンのマスクをかぶった男やゴリラのマスクをかぶった海賊の男らが出てくる。本作はいったい何のジャンルなのかと戸惑うのだが、なんとFMV(Full Motion Video、実写の動画取り込みのビデオゲームの意味)デートシムだという。

FMVは昔からアドベンチャーゲームなどで活用されてきた。セガのメガCDでリリースされた『ナイトトラップ』が有名なほか、最近でも往年のデスクトップパソコンに残された動画データを再生し、事件の真相を探っていく『Her Story』が高い評価を受け、話題となった。

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本作のクリエイターはあのZoe Quinn氏だ。うつ病をテーマとしたノベルゲーム『Depression Quest』を代表作としている。一方、スキャンダラスな話題になったクリエイターでもある。『Depression Quest』のメディアでの高評価の裏にはZoe Quinn氏とゲームメディアの関係者が性的関係を持っているせいだという、真偽の不明な情報からネット掲示板などがゲームジャーナリズムの不信感を騒ぎ立てるほかにZoe Quinn氏本人のSNSアカウントを乗っ取り、個人情報が暴き立てるなど大問題となった。いわゆるGamerGate騒動で大きく注目された。

今回の『Project Tingler』ではゲイを題材にした官能小説家Chuck Tingle氏とタッグを組んで制作している。Chuck Tingle氏は単なる官能小説家ではなく、Amazonでの自費出版のみで作品を公開しておりカルト的な人気を得ている。また、優れたSF小説に与えられる賞であるヒューゴー賞にノミネートされた経験も持つ。

近年では単なるポルノの役割ではなくセクシャルな題材を扱った作品が現れている。昨年の優れたインディーゲームに与えられる賞IGF AwardのNuovo Award部門を受賞した『Cibele』では、クリエイターNina freeman氏自身が演じる主人公の女の子がMMORPGでの出会った男性とチャットするうちに下着姿の写真を送るようになるまでに過剰になっていく関係についてを描いた。また、『Analogue: A Hate Story』のクリエイターのChristine Love氏の制作中の新作『Ladykiller in a Bind』では過去作以上にセクシャルなテーマを押し広げたビジュアルノベルとなる予定だ。『Project Tingler』がどのようなアプローチを取っていくのかは、続報を待ちたい。

Hajime Kasai
Hajime Kasai

ブログ「GAME SCOPE SIZE」を運営。その他のメディアにも寄稿しています。

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